けがや矯正で練習を休む時期の食事

「骨折で1か月、練習はお休み。動かないなら、ごはんは軽めにしたほうがいい?」「矯正の装置をつけてから、歯が痛くて食べられないみたい」。練習を休む時期の食事、迷いますよね。
答えは、休んでいる時期こそ、しっかり食べるです。けがを治すにも、成長期の体を大きくするにも、材料とエネルギーがいります。この記事では、けがで休む時期と、矯正で噛みにくい時期の、食事の具体例を紹介します。
休んでいる間も、体は「工事中」
成長期の子どもやティーンの選手のけがと栄養をまとめた総説では、けがの回復を支えるために、エネルギーを十分にとること、たんぱく質を毎食とること、カルシウムとビタミンDで骨を支えることが挙げられています(Alcockほか 2024)。練習を休んで動く量が減っても、けがの回復と成長にはエネルギーが使われます。
食事摂取基準では、子どもの1日のエネルギーに、体を大きくする分(エネルギー蓄積量)を足しています。1年に増える体重の目安は、10〜11歳で男子4.6kg・女子4.5kg、12〜14歳で男子4.5kg・女子3.0kgです(表6)。休んでいる1か月の間にも、体は育ち続けています。

たんぱく質:毎食ひとつ、体をつくる材料
| 年齢 | たんぱく質(推奨量) | カルシウム(推奨量) |
|---|---|---|
| 10〜11歳 男子 | 45g | 700mg |
| 10〜11歳 女子 | 50g | 750mg |
| 12〜14歳 男子 | 60g | 1,000mg |
| 12〜14歳 女子 | 55g | 800mg |
(出典:日本人の食事摂取基準2025 たんぱく質 p103・カルシウム p283)
1日の推奨量は、3食に分けて毎食とるのが近道です。
| 食品と量 | たんぱく質 |
|---|---|
| 鶏むね肉(皮なし)100g | 23.3g |
| しろさけ 1切れ(80g) | 17.8g |
| さば水煮缶 1/2缶(90g) | 18.8g |
| 卵 1個(50g) | 6.1g |
| 木綿豆腐 1/3丁(100g) | 7.0g |
| 納豆 1パック(40g) | 6.6g |
| 牛乳 コップ1杯(200g) | 6.6g |
(日本食品標準成分表で計算)
たとえば12歳男子なら、朝に卵1個と牛乳1杯(12.7g)、昼の給食、夜に鮭1切れと豆腐のみそ汁(24.8g)。主菜を毎食ひとつそろえれば、推奨量に届きます。
鶏むね肉
しろさけ
さば水煮缶
卵
木綿豆腐
納豆
カルシウム:骨折のときは、とくに意識して
骨をつくり直すには、カルシウムが材料になります。
| 食品と量 | カルシウム |
|---|---|
| 牛乳 コップ1杯(200g) | 220mg |
| ヨーグルト 1カップ(100g) | 120mg |
| プロセスチーズ 1個(20g) | 126mg |
| こまつな 80g | 136mg |
| しらす干し(半乾燥品)大さじ2(10g) | 52mg |
| さば水煮缶 1/2缶(90g) | 234mg |
(日本食品標準成分表で計算)
牛乳1杯、ヨーグルト1カップ、チーズ1個で466mg。毎日の食事に乳製品を2〜3回入れると、カルシウムがしっかりとれます。骨のくわしい話は骨と成長とカルシウムだけじゃない骨づくりで紹介しています。
牛乳
ヨーグルト
プロセスチーズ
こまつな
しらす干し
1日のカルシウムを、食品の量で見てみる
カルシウムの多い食品を、ふだん食べる量で並べました(日本食品標準成分表で計算)。
| 食品 | 量 | カルシウム |
|---|---|---|
| 牛乳 | コップ1杯(200g) | 220mg |
| プロセスチーズ | 1個(20g) | 126mg |
| さば水煮缶 | 半分(50g) | 130mg |
| ヨーグルト | 1カップ(100g) | 120mg |
| こまつな | おひたし1皿(70g) | 119mg |
| 木綿豆腐 | 1/3丁(100g) | 93mg |
| しらす干し | 大さじ2(10g) | 52mg |
(このサイトのまとめです)
たとえば、朝に牛乳1杯、おやつにヨーグルトとチーズ、夕食にこまつなのおひたしをつけると、この4つで585mgになります。給食のある日は、給食の牛乳もここに加わります。
骨折で休む時期は、夕食の主菜を週に1〜2回さば缶にすると、たんぱく質とカルシウムがいっしょにとれます。さば缶半分(50g)でたんぱく質10.5gです。しらす干しは、卵焼きやおにぎりに混ぜると毎日使えます。
エネルギー:主食はいつもどおり
「動かないから、ごはんは半分に」は、けがの時期にはおすすめしません。主食はいつもどおり盛り、お腹のすき具合に合わせます。
| 食事 | 休む時期の献立の例 |
|---|---|
| 朝 | ごはん、納豆、卵焼き、こまつなのみそ汁、牛乳 |
| 昼 | 給食・お弁当 |
| おやつ | ヨーグルトとバナナ、チーズ |
| 夕 | ごはん、鮭の塩焼き、豆腐とわかめのみそ汁、ブロッコリーのごまあえ、果物 |
(このサイトの献立例です)
毎食、主食・主菜・副菜・牛乳・乳製品・果物の5つをそろえます。睡眠は、育成年代で9時間以上が目安です。よく食べて、よく眠ることが、休む時期のいちばんの練習です。
松葉づえ・ギプスの時期の工夫
片手がふさがっている、テーブルまで移動しにくい時期は、食べやすさを工夫します。
- おにぎりを小さめに、おかずは一口大に切って出す
- 汁物は具だくさんにして、マグカップで
- おやつのヨーグルトやチーズは、手の届く冷蔵庫の段に置く
矯正で噛みにくい時期は、やわらかく
日本矯正歯科学会のQ&Aでは、装置をつけたはじめのころは痛みが出て、肉や繊維の多い野菜が噛み切りにくいことがあると説明されています。慣れるまでの間はやわらかく調理して、食事の組み合わせはそのままにします。

| いつもの料理 | 噛みやすい形 |
|---|---|
| から揚げ・ステーキ | 鶏ひき肉のそぼろ、肉団子のスープ煮 |
| 焼き魚 | 鮭のほぐし身の混ぜごはん、さばのみそ煮 |
| 生野菜のサラダ | やわらかく煮た野菜のスープ、ほうれんそうのおひたし |
| おにぎり | おかゆ、雑炊、やわらかいうどん |
| 硬いパン | 牛乳にひたしたフレンチトースト |
- 絹ごし豆腐は100gでたんぱく質5.3g。冷ややっこや豆腐のみそ汁は、噛まなくても食べられる主菜です
- 卵は、茶わん蒸し、スクランブルエッグ、卵とじにすると、するっと入ります
- ヨーグルト・飲むヨーグルトは、たんぱく質とカルシウムを一度にとれます
装置をつけた日の練習前の補食は、バナナ、カステラ、飲むヨーグルトなど、やわらかいものを。食べたあとは歯みがきを忘れずに。
休む時期の1週間の夕食の例
毎日ちがう主菜を回すと、たんぱく質のもとがかたよらず、子どもも飽きません。
| 曜日 | 主菜 | カルシウムをとる1品 |
|---|---|---|
| 月 | 鶏むね肉の照り焼き | こまつなとしらすのおひたし |
| 火 | 鮭のホイル焼き(チーズのせ) | 牛乳 |
| 水 | 豚肉と豆腐のしょうが煮 | ヨーグルト |
| 木 | さば水煮缶とキャベツのみそ煮 | さば缶の骨ごと |
| 金 | 卵とじ親子丼 | 牛乳 |
| 土 | ハンバーグ(豆腐入り) | チーズ |
| 日 | 鮭とブロッコリーのクリームシチュー | 牛乳で作るシチュー |
(このサイトの献立例です。どの日も、ごはんをしっかり、野菜のおかずと果物を添えます)
クリームシチューやグラタン、ミルクスープは、牛乳を料理に使うので、飲むのが苦手な子でもカルシウムがとれます。牛乳の楽しみ方は牛乳をおいしくで紹介しています。
気持ちが落ちこむ時期の食卓
試合に出られない時期は、子どもの気持ちも沈みがちです。好きなおかずの日を作る、チームの試合を家族で応援しに行って帰りに一緒に食べるなど、食事の時間を楽しみにできる工夫をしてみましょう。「ごはんも体を治す練習」と伝えると、食べることに前向きになれます。
鉄とビタミンも、いつもの食事で
けがの回復には、たんぱく質やカルシウムのほかに、血液をつくる鉄や、野菜・果物のビタミンもかかわります。特別なものを足すより、いつもの食事の中で、次の食品を回していきましょう。
| 食品 | 量の例 | とれるもの |
|---|---|---|
| こまつな | 80g | 鉄2.2mg・カルシウム136mg |
| 納豆 | 1パック(40g) | 鉄1.3mg・たんぱく質6.6g |
| 卵 | 1個(50g) | 鉄0.8mg・たんぱく質6.1g |
| 冷凍えだまめ | 50g | 鉄1.3mg・たんぱく質6.5g |
| ブロッコリー(ゆで) | 50g | 野菜のおかずの定番 |
| みかん・オレンジ | 1個 | 果物で、さっぱりとした甘さ |
(日本食品標準成分表で計算)
鉄のくわしい話は鉄の話で紹介しています。
矯正中の1日の献立の例
| 食事 | 献立 |
|---|---|
| 朝 | フレンチトースト(牛乳・卵)、バナナ、ヨーグルト |
| 昼 | 給食(硬いものは小さく切る)、または家でうどんと茶わん蒸し |
| おやつ | 飲むヨーグルト、カステラ |
| 夕 | ごはん、さばのみそ煮、豆腐とかぼちゃのみそ汁、ほうれんそうのおひたし |
(このサイトの献立例です)
やわらかい料理でも、主食・主菜・副菜・牛乳・乳製品・果物の5つはそのままそろえられます。
復帰に向けて
練習に戻る時期は、体を動かす量が増えていきます。主食の量も、練習の量に合わせて元に戻していきましょう。けがの種類によっては、復帰の時期や練習の内容を、主治医やチームのトレーナーと決めていきます。成長期のひざの痛みはオスグッドとサッカー、かかとの痛みはシーバー病、回復の基本はリカバリーで紹介しています。
よくある質問
Q. 練習を休むと太りませんか?
成長期の子どもは、休んでいる間も背が伸び、体が大きくなっています。体重が増えるのは成長のしるしでもあります。主食・主菜・副菜をそろえた食事を続けましょう。体重の見方は体重の見方で紹介しています。
Q. プロテインを飲んだほうが早く治る?
ふだんの食事で、主菜を毎食とり、牛乳・乳製品をとっていれば、たんぱく質はしっかり届きます。サプリメントについては食事が先、サプリはあとで紹介しています。
Q. 矯正の痛みで、ほとんど食べられない日は?
おかゆ、うどん、茶わん蒸し、ヨーグルト、飲むヨーグルトなど、噛まずに食べられるものを、回数を分けて出します。慣れるまではやわらかい献立で乗り切りましょう。
Q. 骨折したら、牛乳をたくさん飲めば早く治る?
牛乳だけで早く治るという研究はありません。骨をつくり直すには、カルシウムに加えて、たんぱく質やエネルギーも必要です。牛乳・乳製品を毎日とりながら、主食・主菜・副菜をそろえた食事を続けましょう。
Q. 練習を休んでいる間、おやつはどうする?
おやつは「4回目の食事」と考えて、ヨーグルト、チーズ、おにぎり、バナナ、ふかしいもなどを。甘いお菓子も楽しみのひとつとして、食事3回をしっかり食べたうえで楽しみましょう。
Q. かめない時期、たんぱく質は何で足す?
やわらかい食品で足せます。絹ごし豆腐1/3丁(100g)でたんぱく質5.3g、卵1個(50g)で6.1g、ヨーグルト1カップ(100g)で3.6g(日本食品標準成分表で計算)。茶わん蒸しや豆腐のみそ汁、卵とじうどんにすると、矯正中でも食べやすくなります。
子どもへの声かけ
- 「今は体を治す練習中。ごはんも練習のうちだよ」
- 「骨をくっつける材料、牛乳で入れておこう」
- 「噛むの痛い? 今日はやわらかいうどんにしようか」

休んでいる時期に、体の中ではしっかり工事が進んでいる。食べて、眠って、もっと強くなって戻ろう!
まとめ
- けがで休む時期も、成長とけがの回復にエネルギーがいる。主食はいつもどおり
- たんぱく質は毎食ひとつ。鶏肉・魚・卵・豆腐・納豆・牛乳を回して
- カルシウムは、牛乳・ヨーグルト・チーズ・小魚・こまつなで
- 矯正で噛みにくい時期は、やわらかく調理して、組み合わせはそのまま
- 復帰に合わせて、主食の量も練習量に合わせて戻す
わが子に合った量は栄養の目安で計算できます。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、日本サッカー協会「JFA栄養ガイドライン」、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(出典の一覧は「出典」のページを参照)
