本文へ移動
← 読み物の一覧
約9分

子どもの疲労回復:食事・睡眠・お風呂

「練習のあと、ぐったりしている」「次の日まで疲れが残っているみたい」「疲労回復にいい食べ物やサプリってある?」。サッカーをがんばる子どもを見ていると、疲れをとってあげたくなりますね。

この記事では、子どもの疲労回復について、食事・睡眠・お風呂の3つから、根拠のあることをお伝えします。よく聞く「クエン酸で疲れがとれる」という話についても、はっきりお答えします。

先に答えを言います。子どもの疲労回復の基本は、練習のあとの炭水化物とたんぱく質、そしてたっぷりの睡眠です。 特別なサプリメントは必要ありません。毎日のごはんと布団が、いちばんの回復の道具です。

疲労回復の3本柱

柱すること目安
食事練習のあと、なるべく早く食べる練習後2時間以内
睡眠たっぷり眠る小学生9〜12時間(厚生労働省)
お風呂湯船につかって、早めに布団へ寝る1.5〜2時間前の入浴で調べた研究あり

(このサイトのまとめです)

1. 食事:練習のあとは、炭水化物とたんぱく質

なるべく早く食べる

JFA栄養ガイドラインは、練習が終わったら、なるべく早いタイミング(2時間以内)で食事をとれるよう予定を組むことをすすめています。

炭水化物:使ったエネルギーを補う

練習で使うエネルギーのもとは、筋肉にためられた糖質です。練習後2時間以内は、1時間あたり体重1kgにつき1〜1.2gの炭水化物が目安とされています(は成人の競技者が対象)。

体重1時間あたりの炭水化物の目安
30kg30〜36g
40kg40〜48g
50kg50〜60g

(の目安をもとに計算)

おにぎり1個(ごはん100g)で、炭水化物は約37gです。

たんぱく質:体を回復させる材料

運動のあとの早い時間のたんぱく質は、体重1kgあたり0.25〜0.3gが目安です(成人の競技者が対象)。体重40kgなら10〜12gです。

練習のあとの補食の例ねらい
おにぎり+牛乳炭水化物+たんぱく質
バナナ+ヨーグルト炭水化物+たんぱく質
肉まん・あんまん炭水化物+たんぱく質
カステラ+牛乳炭水化物+たんぱく質

(このサイトの例です)

夕食まで時間があくときは、補食でつないで、家に帰ったらしっかり夕食を食べましょう。練習のあと向けのレシピは練習・試合のあとのレシピで探せます。くわしくは練習後の食事でも紹介しています。

  • ごはん
  • バナナ
  • 牛乳
  • ヨーグルト
  • 卵
  • 鶏むね肉

練習が終わったら、まずはおにぎりと牛乳。食べることが、いちばんの回復のスタートです!

2. 睡眠:いちばんの回復の時間

子どもの睡眠時間の目安

年齢睡眠時間の目安出典
小学生9〜12時間厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023
中学生・高校生8〜10時間厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023
育成年代のサッカー選手9時間以上JFA栄養ガイドライン

厚生労働省の睡眠ガイド2023では、こどもについて、朝は太陽の光を浴びて、朝食をしっかりとり、日中は運動をして、夜ふかしの習慣化を避けることも挙げられています。サッカーで体を動かしている子は、よく眠るための条件を1つ満たしていることになります。

睡眠とケガ

12〜18歳のスポーツ選手を調べた研究では、睡眠が1日平均8時間未満の選手は、8時間以上の選手より、ケガをした割合が1.7倍でした(Milewski ほか 2014)。112人を調べた小さな研究ですが、よく眠ることは、疲れをとるだけでなく、ケガの予防にもつながると考えられます。

早く寝るための工夫

  • 練習から帰ったら、すぐに夕食
  • 夕食のあと、早めにお風呂
  • 寝る前の画面(スマートフォン・ゲーム・テレビ)は、時間を決める
  • 休みの日も、起きる時刻を大きくずらさない

夜の練習の日の流れは睡眠と成長で紹介しています。

3. お風呂:湯船につかって、ぐっすり眠る

お風呂の効果を、睡眠との関係で調べた研究があります。20〜50代の大人23人が、自宅で寝る1.5〜2時間前に、シャワーだけ・短い入浴・長い入浴の3つの方法を試しました(Maeda ほか 2023)。

結果内容
寝つき長い入浴は、シャワーだけより寝つくまでの時間が短かった
眠りの感じ方長い入浴は、寝つきと眠りの質の感じ方がよかった
しくみお風呂で上がった体温が、寝るまでに大きく下がることが、寝つきを助けると考えられる

(出典:Maeda ほか 2023)

大人を対象にした研究ですが、湯船につかって、少し時間をおいてから布団に入るのは、家庭で取り入れやすい方法です。練習から帰ったら、夕食、お風呂、そして早めに布団へ。この流れが、疲労回復のリズムになります。

ごはん、お風呂、おやすみなさい。この順番が、明日も元気に走るための近道です!

夕方練習の日の回復スケジュールの例

時間すること
15:30練習前の補食(おにぎり1個)
16:00〜18:00練習
18:10補食(バナナ・牛乳)
19:00夕食(ごはん・肉や魚のおかず・野菜・みそ汁)
19:45お風呂(湯船につかる)
21:00布団に入る
7:00起きる(10時間)

(このサイトの例です)

練習後2時間以内の夕食、9時間以上の睡眠、寝る前の入浴が、1日の流れの中にそろっています。特別なことは何もありません。毎日の順番を整えることが、そのまま疲労回復になります。

回復できているかのチェック

チェック回復できているサイン
朝自分で起きられる、朝ごはんを食べられる
昼学校で元気に過ごせている
練習いつものように走れている
食事3食しっかり食べられている
睡眠布団に入ったら、すぐに眠れている

(このサイトのまとめです)

朝起きられない日が続く、食欲が落ちている、といったときは、食事の量と睡眠時間を見直してみましょう。食べる量の目安は小学生・中学生サッカー選手の食事の量で紹介しています。

家族みんなで「回復の時間」をつくる

子どもの疲労回復は、子どもだけでがんばるものではありません。夕食の時間、お風呂の順番、寝る時刻は、家族の生活の流れで決まります。

家族でできること例
夕食を早めに用意練習の日は、作りおきや下ごしらえで時間を短く
お風呂の順番練習の日は、子どもを先に
夜の画面の時間家族みんなで時間を決める
寝る時刻「21時には布団」を家族のルールに

(このサイトのまとめです)

練習の日の夕食を手早く用意するには、練習・試合のあと向けのレシピも役立ちます。

「クエン酸で疲れがとれる」は本当?

「疲れにはクエン酸」「疲労回復のサプリ」という話をよく聞きます。

クエン酸と疲労の研究には、健康な大人18人がクエン酸を8日間とったあと、運動後の疲れの感じ方が小さかったという報告があります(Sugino ほか 2007)。ただし

  • 18人の大人を対象にした、小さな研究
  • 子どもを対象にした研究ではない
  • 1日2,700mgという量を、とり続けたもの

です。子どもの疲労回復にクエン酸が役立つと言えるだけの根拠はありません。

そして、国際オリンピック委員会(IOC)の声明では、運動能力の向上を目的に、若い選手に栄養補助食品をすすめることは適切ではないとされています。子どもの疲れをとるのは、ふだんのごはんと睡眠です。

よく聞く話実際は
疲れにはクエン酸子どもでの根拠はない。大人の小さな研究が1つ
疲労回復のサプリが必要若い選手にすすめるのは適切ではない(IOC)
疲れたら食欲がないので、軽くすませる練習のあとこそ、炭水化物とたんぱく質
寝る前のゲームでリラックス画面の時間を決めて、早めに布団へ

(このサイトのまとめです)

サプリメントの広告の読み方はサプリメントの広告の読み方で紹介しています。

疲れがたまりやすい日の過ごし方

場面回復のポイント
夜の練習の日練習前に補食、帰ったらすぐ夕食。お風呂は手早く
試合の翌日いつもどおり3食しっかり。早めに寝る
連戦・大会試合の間に炭水化物を補う
暑い日水分と塩分も忘れずに

(このサイトのまとめです)

試合の翌日の食事は試合の翌日の食事、大会の日は大会の日の食事で紹介しています。

よくある質問

Q. 練習のあと、食欲がないと言います

練習の直後は、食べやすいものから。バナナやヨーグルト、牛乳など、口に入りやすいものを少しずつとって、落ち着いたら夕食をしっかり食べましょう。

Q. 疲労回復にいい食べ物はありますか?

特定の食べ物ではなく、炭水化物とたんぱく質を、練習のあと早めにとることが、いちばんのポイントです。ごはん、パン、めんと、肉・魚・卵・大豆製品・牛乳を組み合わせましょう。

Q. 昼寝はしてもいい?

昼寝の時間を、子どもで調べた確かな研究は見つかりませんでした。夜にたっぷり眠ることを、いちばん大切にしましょう。

Q. シャワーだけではだめ?

シャワーでも汗は流せます。寝つきのためには、時間があるときは湯船につかるのがおすすめです(Maeda ほか 2023、大人の研究)。

Q. スポーツドリンクで疲れはとれる?

スポーツドリンクは、練習中の水分と糖質の補給に使えます。疲れをとるのは、練習のあとの食事と睡眠です。飲み方はスポーツドリンクの記事で紹介しています。

Q. マッサージはしたほうがいい?

子どもの疲労回復でマッサージの効果を調べた確かな研究は見つかりませんでした。親子のスキンシップとして、気持ちよい範囲で楽しみましょう。

Q. 疲れがなかなかとれないときは?

食事と睡眠を見直しても、だるさが続く、食欲がない日が続くときは、小児科で相談しましょう。

Q. 朝練がある日は、どうすれば?

朝が早い日は、前の晩に早く寝るのがいちばんです。朝練の前は、おにぎりやバナナなど、食べやすいものを口に入れてから出かけましょう。

Q. 休みの日は、ゆっくり寝かせてもいい?

厚生労働省の睡眠ガイド2023では、夜ふかしの習慣化を避けることが挙げられています。休みの日も、起きる時刻を大きくずらさないほうが、次の週も元気に過ごせます。

Q. 筋肉痛のときは、練習を休むべき?

筋肉痛と練習の関係を、子どもで調べた確かな研究は見つかりませんでした。いつもより疲れているときは、しっかり食べて、早めに寝ることを優先しましょう。

子どもへの声かけ

  • 「おつかれさま! まずはおにぎり食べよう」
  • 「今日はたくさん走ったから、早めに寝ようね」
  • 「ぐっすり寝たら、明日はもっと走れるよ」

疲れは、がんばった証拠。食べて、温まって、ぐっすり眠って、明日もボールを追いかけよう!

まとめ

  • 練習のあとは、なるべく早く(2時間以内)食事をとる
  • 炭水化物は1時間あたり体重1kgにつき1〜1.2g、たんぱく質は0.25〜0.3g/kg
  • 睡眠は小学生9〜12時間、中高生8〜10時間(厚生労働省)、サッカー選手は9時間以上
  • 寝る1.5〜2時間前の長めの入浴で、寝つきがよくなった研究がある(大人)
  • クエン酸やサプリメントは不要。子どもの疲れをとるのは、ごはんと睡眠

練習のあとのレシピは練習・試合のあとのレシピ、睡眠のことは睡眠と成長、練習後の食事は練習後の食事で紹介しています。

出典:米国栄養士会・カナダ栄養士会・米国スポーツ医学会「Nutrition and Athletic Performance」(2016)、IOC 若年競技者に関する合意声明(2015)、日本サッカー協会「JFA栄養ガイドライン」、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(出典の一覧は「出典」のページを参照)

この記事の間違いを知らせる