かかとが痛い:シーバー病と成長痛

「練習のあと、かかとが痛いって言う」「朝は平気なのに、走ると痛がる」「これって成長痛?」。子どものかかとの痛みは、サッカーをしている家庭でよく聞く悩みです。
この記事では、子どものかかとの痛みで多いシーバー病(踵骨骨端症)と、よく混同される成長痛のちがい、ストレッチ、かかとのインソールについて、研究と整形外科の資料からわかっていることをお伝えします。
先に答えを言います。運動したときにかかとが痛むなら、シーバー病のことが多く、練習量の調整とストレッチで良くなっていきます。 夕方や夜に、両足の太ももやふくらはぎが痛み、朝には治っているのが成長痛の特徴です。
シーバー病(踵骨骨端症)とは
かかとの骨には、成長期のあいだ、骨が伸びるための成長軟骨があります。走ったり跳んだりするくり返しの負担がこの部分にかかって、痛みが出るのがシーバー病です。医学の言葉では、踵骨骨端症といいます。
日本整形外科学会が紹介している「スポーツ損傷シリーズ」(日本整形外科スポーツ医学会 監修)では、足の慢性障害は、陸上競技やサッカー、バスケットボールなど、ランニングやジャンプ動作の多いスポーツで多く発生するとされ、その1つとして踵骨骨端症が挙げられています。
サッカーをする子に多い
シーバー病の治療の研究をまとめた論文(Hernandez-Lucas ほか 2024)では、シーバー病は子どものかかとの痛みの原因として最も多く、サッカー・オーストラリアンフットボール・バスケットボールなどのスポーツと関係が深いとされています。
オランダの家庭医の記録を調べた研究では、6〜17歳を対象に、登録された患者1,000人あたり3.7人がシーバー病と診断されていました(Wiegerinck ほか 2014)。めずらしい病気ではありません。
スポーツ損傷シリーズが挙げる、足の慢性障害の背景
| 背景 | 内容 |
|---|---|
| 使いすぎ | 走る・跳ぶのくり返し |
| 柔軟性・筋力 | 足の柔軟性の低下、筋力不足 |
| 足の形 | 扁平足など |
| 靴 | 足に合わない靴 |
| 練習場所 | 悪い路面での練習 |
(出典:スポーツ損傷シリーズ 13.足の慢性障害)

かかとの骨にも、背を伸ばすための成長軟骨があります。走って跳んで、よく使っている証拠です!
成長痛とのちがい
「成長痛」と呼ばれる子どもの脚の痛みには、特徴があります。成長痛の研究をまとめた論文(Evans 2008)が示す、成長痛と考えられる特徴は次のとおりです。
| 成長痛の特徴 | 成長痛らしくない特徴 | |
|---|---|---|
| 痛み方 | 痛む日と痛まない日がある | ずっと痛い、だんだん強くなる |
| 場所 | 太ももの前・ふくらはぎ・ひざの裏の筋肉 | 関節が痛い |
| 時間 | 夕方から夜に始まる | 次の朝まで続く |
| 見た目 | 腫れ・赤み・押すと痛いところがない | 腫れ・赤み・押すと痛い・足を引きずる |
| 運動 | 運動は制限されない | 運動ができなくなる |
(出典:Evans 2008 の表をもとに、このサイトでまとめました)
Evans 2008 では、両脚が痛むことも特徴に入っています。いっぽう、デンマークの幼児の研究(Hestbæk ほか 2024)では、片脚だけのこともあると報告され、背が急に伸びる時期とのつながりは見られなかったとして、「成長痛」という名前は実態に合っていないとしています。
つまり
- 運動したときに、かかとが痛む・かかとを押すと痛い → シーバー病などを考える
- 夕方や夜に、筋肉のあたりが痛み、朝には元気 → 成長痛の特徴に近い
という見分け方になります。強い痛み・腫れ・しびれが続くときは整形外科へ。 足を引きずる、朝も痛いといったときも、診てもらいましょう。
休む?続ける?
スポーツ損傷シリーズでは、足の慢性障害がいったん出たら、練習量を減らすか、一定期間の休養が必要とされています。そのうえで、アイスマッサージ、足底装具(インソール)などの対処法が挙げられています。
「様子を見る」でも良くなった研究
8〜15歳のシーバー病の子ども101人を、3つのグループに分けて比べた研究があります(Wiegerinck ほか 2016)。
| グループ | 内容 |
|---|---|
| 様子を見る | 特別な治療をしない |
| かかとを上げるインソール | 靴にインソールを入れる |
| 理学療法 | 専門家の指導で運動する |
10週間の治療の結果、3つのグループすべてで、かかとの痛みがはっきり減りました。 3か月の時点で、グループのあいだに大きな差はありませんでした。6週の時点では、インソールのグループの満足度が高かったと報告されています。
シーバー病は、あせらず練習量を調整すれば、良くなっていく病気だということがわかります。
ストレッチ:ふくらはぎと足首
スポーツ損傷シリーズでは、足の慢性障害の予防に足部と下腿筋(ふくらはぎ)のストレッチが挙げられています。シーバー病の研究のまとめでも、ふくらはぎ・アキレス腱のストレッチが治療の1つとして使われています(Hernandez-Lucas ほか 2024)。
| ストレッチ | やり方 |
|---|---|
| 壁押し | 壁に両手をつき、片足を後ろに引いて、かかとを床につけたまま前の膝を曲げる |
| タオル | 座って足にタオルをかけ、つま先を手前に引く |
| 足指 | 足の指を手で反らせて、足の裏を伸ばす |
(このサイトのまとめです)
- 反動をつけず、ゆっくり
- 練習の前後、お風呂上がりに
- 痛みが出ない範囲で
かかとのインソール・ヒールカップは効く?
スポーツ損傷シリーズでは、足底装具の使用が、治療と予防の方法の1つに挙げられています。
研究では
- かかとを上げるインソールで、痛みが減った(ただし「様子を見る」と大きな差はなかった:Wiegerinck ほか 2016)
- 足に合わせたインソールと、かかとを上げるインソールで、痛みに差はほとんどなかった(Williams ほか 2026 のコクランレビュー)
と報告されています。コクランレビューでは、成長期の骨端の痛みに対する治療の根拠は全体にまだ足りず、確かさは低いとされています。インソールは「使うと楽になる子もいる道具」と考え、高いものにこだわる必要はありません。
足に合ったシューズを選ぶことも、スポーツ損傷シリーズで予防の方法に挙げられています。成長期は足のサイズがすぐに変わるので、ときどき確かめましょう。スパイクだけでなく、ふだんの通学の靴も見てあげると安心です。

痛みがおさまってきたら、少しずつ走る量を戻していこう。ストレッチは毎日の習慣に!
成長期の骨のために、食事も大切
シーバー病は、骨が伸びている時期に起こります。練習を休んでいる間も、体は育ち続けています。食べる量を減らす必要はありません。カルシウムの推奨量は、10〜11歳で男子700mg・女子750mg、12〜14歳で男子1,000mg・女子800mgです。
| 食品と量 | カルシウム |
|---|---|
| 牛乳 コップ1杯(200g) | 220mg |
| ヨーグルト 1カップ(100g) | 120mg |
| プロセスチーズ 1個(20g) | 126mg |
| しらす干し(半乾燥品)大さじ2(10g) | 52mg |
(日本食品標準成分表で計算)
牛乳
ヨーグルト
プロセスチーズ
しらす干し
ごはん
骨のことは骨と成長、わが子の目安は栄養の目安で計算できます。
かかとの痛みと付き合う、毎日の習慣
| タイミング | すること |
|---|---|
| 練習の前 | ふくらはぎと足首のストレッチ |
| 練習のあと | ストレッチと、かかとのアイシング |
| お風呂上がり | 体が温まっているうちに、もう一度ストレッチ |
| 靴をはくとき | かかとまでしっかり入れて、ひもを結ぶ |
| 夜 | よく眠る |
(スポーツ損傷シリーズの内容をもとに、このサイトでまとめました)
練習量の戻し方
痛みがおさまってきたら、いきなり全部の練習に戻すのではなく、少しずつ戻していきましょう。
| 段階 | 練習の内容の例 |
|---|---|
| 1 | 歩く・ボールタッチ・ストレッチ |
| 2 | 軽いジョギング・パス練習 |
| 3 | ダッシュやジャンプを少しずつ |
| 4 | 試合形式の練習 |
(このサイトの例です)
どの段階でも、痛みが強くなったら1つ前に戻ります。練習のあとに、かかとの痛みがどうだったかを親子で確かめる習慣をつけると、戻すペースを決めやすくなります。スポーツ損傷シリーズの「練習量を減らすか、一定期間の休養」という考え方を、段階に分けたものです。
よくある質問
Q. シーバー病は何歳ごろに多い?
研究では、8〜15歳の子どもが対象になっています(Wiegerinck ほか 2016)。成長期のスポーツをする子に多い病気です。
Q. 練習は完全に休むべき?
スポーツ損傷シリーズでは、練習量を減らすか、一定期間の休養が必要とされています。痛みの強さを見ながら、走る量やジャンプの量を調整しましょう。
Q. 冷やすのと温めるの、どっち?
スポーツ損傷シリーズでは、治療としてアイスマッサージや温浴が、予防としてスポーツ後のアイシングが挙げられています。
Q. 成長痛なら、ほうっておいていい?
Evans 2008 では、成長痛の治療として、太もも・ふくらはぎのストレッチが第一にすすめられています(根拠は小さな研究1つ)。痛む夜は、さすってあげるだけでも子どもは安心します。昼間は元気に遊べているなら、成長痛の特徴に近いと考えられます。
Q. 人工芝で練習すると痛くなりやすい?
人工芝とシーバー病の関係を調べた確かな研究は見つかりませんでした。スポーツ損傷シリーズでは、悪い路面での練習が足の慢性障害の背景の1つに挙げられています。
Q. スパイクは関係ありますか?
スポーツ損傷シリーズでは、足に合わない靴が背景の1つとされています。サイズが合っているか、かかとが安定しているかを確かめましょう。
Q. 朝起きたとき、かかとが痛いと言います
Evans 2008 では、次の朝まで続く痛みは、成長痛らしくない特徴とされています。かかとの痛みが続くときは、整形外科で診てもらいましょう。
Q. はだしで過ごすのはよくない?
はだしとシーバー病の関係を調べた確かな研究は見つかりませんでした。痛みがあるときは、子どもが楽に過ごせるほうを選びましょう。
Q. インソールは高いものを買ったほうがいい?
コクランレビューでは、足に合わせて作るインソールと、かかとを上げるインソールで、痛みにほとんど差はありませんでした(Williams ほか 2026)。まずは、手に入りやすいもので試してみて大丈夫です。
Q. シーバー病は、何度もくり返しますか?
くり返す頻度を調べた確かな研究は見つかりませんでした。痛みがおさまったあとも、ストレッチと足に合った靴を続けましょう。
子どもへの声かけ
- 「痛いところ、教えてくれてありがとう」
- 「かかとの骨が伸びてる途中なんだって」
- 「ストレッチ、一緒にやろうか」

かかとの痛みは、成長期のサイン。あせらず、ストレッチとごはんで、また思いきり走れる日がきます!
まとめ
- シーバー病は、かかとの骨の成長軟骨に、走る・跳ぶの負担がくり返しかかって起こる
- 子どものかかとの痛みで最も多い原因。サッカーをする子にも多い(Hernandez-Lucas ほか 2024)
- 成長痛は、夕方〜夜に筋肉のあたりが痛み、朝には治っているのが特徴(Evans 2008)
- 練習量の調整で、様子を見るグループでも痛みは減った(Wiegerinck ほか 2016)
- ストレッチ・足に合う靴・インソールが方法の1つ。インソールの根拠は弱い(コクランレビュー)
ひざの痛みはオスグッドとサッカー、ケガを防ぐ準備運動はFIFA 11+ Kids、骨のことは骨と成長で紹介しています。
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(出典の一覧は「出典」のページを参照)
