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ゴールデンエイジは本当? 過ぎたらもう遅い?

「小学生のうちがゴールデンエイジ。この時期を逃すと、もううまくならない」。少年サッカーの保護者なら、一度は聞いたことのある言葉ですね。

この記事では、ゴールデンエイジという考え方がどこから来たのか、そして実際の研究で何がわかっているのかを整理します。

先に答えを言います。小学生の時期は、いろいろな動きを身につけるのにとてもよい時期です。でも、「過ぎたらもう遅い」という根拠は見つかりません。 始めた年齢で上達が止まるわけではありません。練習すれば上達します。

ゴールデンエイジとは

日本サッカー協会(JFA)のキッズ年代向けハンドブックでは、年代ごとに次のように紹介されています。

年代ハンドブックでの呼び方紹介されている特徴
U-8(小学1〜2年生ごろ)プレ・ゴールデンエイジ神経系が発達し、投げる・打つ・走る・跳ぶ・蹴るなど基本的な動作の獲得に適している
U-10〜U-12(小学3〜6年生ごろ)ゴールデンエイジ動作の習得に最も有利な時期とされ、いろいろな動作をすぐに覚えられる

(出典:JFAキッズ(U-8/U-10)ハンドブック)

同じハンドブックでは、勝つことだけに目を向けず、多様なスキルを多くの反復で身につけていくことが中心だとしています。この部分は、とても大切なメッセージです。

考え方のもとになった「スキャモンの発育曲線」

ゴールデンエイジの説明でよく一緒に出てくるのが、スキャモンの発育曲線です。

アメリカの研究者スキャモンが示した、体の部分ごとの育ち方を4つの型(リンパ型・神経型・一般型・生殖型)に分けたグラフで、20歳を100としたときの育ち方を表しています。日本の自治体の資料でも、「神経型は10歳までにほぼ完成する」と紹介されています(島根県教育委員会のリーフレット)。

スキャモンは、育ちの研究の歴史の中で、よく知られたグラフを残した研究者です。1927年の論文では、昔の記録に残っていた1人の子どもの身長を、生まれてから18歳までグラフにしました。このグラフは、その後たくさんの教科書に載ったと紹介されています(Miller 2018)。

曲線から言えること・言えないこと

曲線から言えること曲線だけでは言えないこと
脳や神経は、体の大きさより早い時期に大きく育つ何歳をすぎると技術が身につかなくなるか
子どもの体は、部分ごとに育つ時期がちがう小学生の時期を逃すと取り返せないか

(このサイトのまとめです)

発育曲線は、体の大きさの育ち方を表したものです。練習でどれだけ上達するかを測ったものではありません。ここが、よく混ざって伝えられているところです。

「神経が早く育つ」ことと、「その時期を過ぎたら覚えられない」ことは、別の話。曲線が示しているのは前のほうだけです!

研究では、どう言われている?

「この時期だけ」という根拠は弱い

イギリスで広まった選手育成モデルを、体の成長の研究から検討した論文があります(Ford ほか 2011)。このモデルは、トレーニングの効果が特に出やすい「機会の窓」があると考えています。論文では

  • モデルのもとになる研究の根拠が足りない
  • もとにしたデータの扱いに、疑問のある前提や方法がある

と指摘されています。「この年齢のうちにやらないと手遅れ」という考え方は、研究の裏づけが弱い、ということです。

練習すれば伸びる

子どもの運動の技術を伸ばすプログラムの研究をまとめると、練習した子は技術がはっきり伸び、自由に遊ぶだけのグループでははっきりした伸びは見られませんでした(Logan ほか 2012)。学校や地域のプログラムの研究をまとめた論文でも、運動の技術に大きな改善が見られています(Morgan ほか 2013)。

つまり、上達を決めるのは「何歳か」より、練習したかどうかです。

小さいうちに、いろいろ動くのは大切

いっぽうで、小さいうちに体を動かす意味は、はっきりしています。文部科学省の幼児期運動指針は、幼児期は基本的な動きを身につけやすい時期で、さまざまな遊びを通して多様な動きを経験することが大切だとしています。

ゴールデンエイジの考え方のよい部分は、この時期に、いろいろな動きとボール遊びをたくさん経験しようというところです。そこはそのまま生かして、「過ぎたら遅い」という部分は気にしなくて大丈夫です。

「過ぎたらもう遅い」は本当?

本当ではありません。運動の技術が何歳で伸びなくなる、という区切りを示した確かな研究は見つかりませんでした。

よく聞く話実際は
ゴールデンエイジを過ぎるとうまくならない何歳で伸びなくなるという区切りは示されていない
小学生のうちに完成させないといけない小学生はよい時期。でも、そこで終わりではない
始めるのが遅い子は追いつけない差は、その後の練習の量で変わる
神経は10歳で完成するから、もう伸びない発育曲線は体の大きさの育ち方。上達の限界を示したものではない

(このサイトのまとめです)

サカメシ!のリフティング記録でも、年長(5〜6歳)以降なら、毎日やれば、だれでもできるようになると考えています。始めた年齢より、続けた日数です。

@lifting: 何歳から始めても、毎日続ければ回数は伸びていく。今日がいちばん早いスタートの日です!

ゴールデンエイジの時期にやりたいこと

「遅い」を心配するより、今の時期を楽しく使うほうがずっと大事です。

やりたいこと例
いろいろな動きを経験する鬼ごっこ・木登り・なわとび・ボール投げ
ボールにたくさんさわるリフティング・ドリブル・壁当て
手でボールを扱う遊びもするキャッチボール(JFAのヘディングのガイドラインでもすすめられている)
楽しむ勝ち負けより、できたことをほめる

(このサイトのまとめです)

JFAのヘディングのガイドラインでも、空中のボールを手でキャッチする遊びが、幼児期から中学生まで、すべての年代ですすめられています。サッカー以外の動きも、サッカーの土台になります。遊びの例は運動神経をよくする遊び・練習で紹介しています。

動くための元気を、食事と睡眠で

たくさん動いて、たくさん覚えるには、体のエネルギーと休む時間が必要です。主食をしっかり食べて、よく眠りましょう。

  • ごはん
  • 鶏むね肉
  • 牛乳
  • バナナ

年代ごとに、こんなふうに楽しもう

「遅い・早い」より、その年代でいちばん楽しめることを選ぶのがおすすめです。JFAのキッズ向けハンドブックと、ヘディングのガイドラインの内容をもとにまとめました。

年代楽しみたいこと資料での位置づけ
幼児(U-6)鬼ごっこ・風船遊び・ボール遊びヘディングのガイドラインでは、風船や新聞ボールを使った遊びが例に挙げられている
小学1〜2年生(U-8)少人数のミニゲーム・いろいろな運動ハンドブックでは、基本的な動作の獲得に適した時期とされている
小学3〜6年生(U-10〜U-12)ボールにたくさんさわる・多様なスキルハンドブックでは、多様なスキルを多くの反復で身につける時期とされている
中学生技術を試合で使う・体づくりヘディングのガイドラインでは、体幹や首まわりの強化も取り入れるとされている

(このサイトのまとめです)

どの年代でも共通しているのは、たくさんボールにさわり、いろいろな動きを経験することです。何歳であっても、それが上達のいちばんの近道です。

「遅れている」と感じたときの考え方

チームの中で、わが子だけができないように見えると、焦りますよね。そんなときは、次の3つを思い出してください。

  1. 比べる相手は、昨日のわが子:先月より回数が増えていれば、それが成長
  2. 差は経験の差:早く始めた子は、それだけ多くボールにさわってきただけ
  3. 練習すれば伸びる:運動の技術は、練習で伸びることが研究で示されている(Logan ほか 2012)

サカメシ!のリフティング記録では、自己ベストの伸びをスタンプで確かめられます。小さな伸びを一緒に喜ぶことが、続ける力になります。

よくある質問

Q. 中学生からサッカーを始めても上手になれますか?

なれます。何歳で伸びなくなるという区切りは、研究では示されていません。毎日ボールにさわる時間をつくりましょう。

Q. ゴールデンエイジに、サッカーだけをやらせるべき?

文部科学省の幼児期運動指針は、特定のスポーツだけを続けるより、さまざまな遊びのほうが多様な動きを含むとしています。サッカーを中心にしながら、ほかの遊びも楽しみましょう。

Q. ゴールデンエイジという言葉は、使わないほうがいい?

「いろいろな動きを覚えやすい時期だから、たくさん経験しよう」という意味で使うなら、前向きな言葉です。「過ぎたら遅い」と焦る材料にしなければ大丈夫です。

Q. 今、小学6年生。もう遅いですか?

遅くありません。今日からの練習が、そのまま力になります。サカメシ!のリフティング記録で、毎日の練習を記録してみてください。

Q. 早く始めた子のほうが有利ですか?

早く始めた子は、それだけ練習した日数が多いので、今は上手かもしれません。でも、それは才能の差ではなく、経験の差です。毎日続ければ、差は縮まっていきます。

Q. 大人になってからでも、新しい技術は覚えられますか?

年齢で「もう覚えられない」と決める確かな根拠は見つかりませんでした。お父さん・お母さんも、子どもと一緒にリフティングを始めてみませんか。

Q. スキャモンの発育曲線は、まちがいなの?

体の部分によって育つ時期がちがう、という見方は、今も成長を説明するときに使われています。ただ、その曲線から「この時期を過ぎたら技術が身につかない」とまでは言えません。曲線の役割と、上達の話は分けて考えましょう。

Q. ゴールデンエイジのうちに、たくさん練習させたほうがいい?

たくさんボールにさわるのはよいことです。そのうえで、文部科学省の幼児期運動指針は、特定の動きばかりのくり返しや、頻度や強さが高すぎてケガにつながることに注意するよう書いています。楽しく続けられる量で、毎日コツコツが一番です。

Q. ゴールデンエイジの時期に、食事で気をつけることは?

たくさん動いて、体も大きくなる時期です。主食をしっかり食べて、たんぱく質や牛乳・乳製品をそろえましょう。量の目安は小学生・中学生サッカー選手の食事の量で紹介しています。

子どもへの声かけ

  • 「今が、いろんな動きを覚えるチャンスだね」
  • 「毎日やってるから、どんどんうまくなってるよ」
  • 「何歳からでも、練習した分だけうまくなるよ」

ゴールデンエイジは「急がなきゃ」の言葉じゃなくて、「いっぱい遊ぼう」の言葉。今日も楽しく、ボールにさわろう!

まとめ

  • ゴールデンエイジは、JFAのキッズ向けハンドブックでU-10〜U-12とされる、動作を覚えやすい時期の呼び方
  • もとになるスキャモンの発育曲線は、体の大きさの育ち方を表したもの
  • 「この時期だけ」という育成モデルの考え方は、研究の根拠が弱いと指摘されている(Ford ほか 2011)
  • 運動の技術は、練習すれば伸びる(Logan ほか 2012・Morgan ほか 2013)
  • 小さいうちにいろいろな動きを経験するのは大切。でも「過ぎたら遅い」はない

遺伝との関係は運動神経は遺伝?、遊びの例は運動神経をよくする遊び・練習、練習の続け方はリフティング記録で紹介しています。

出典:(出典の一覧は「出典」のページを参照)

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