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練習と補食・約9分

補食はS・M・Lの3サイズで:今日の練習の重さを聞いて、おにぎりとバナナ・牛乳の組み合わせを決める

今日の補食、おにぎり1個でいいのかな? 2個のほうがいいのかな?

知恵袋に、クラブチームでサッカーをする中学2年の男の子の保護者から、こんな相談が出ていました。「身長177cmなのに体重が54〜56kgから増えない。補食も続けているのに。これから運動量が増えたら、もっと減ってしまわないか」。別の質問では、サッカーをしている子が「1日4000kcalをとりたい。空き時間に何を食べればいい?」と聞いています。

補食は「毎日なんとなく同じもの」になりがちです。でも練習は、軽い日もあれば、走りこみや紅白戦でへとへとの日もあります。そこでおすすめなのが、補食をS・M・Lの3サイズで用意して、その日の練習の重さで選ぶ方法です。

  • 練習の重さは、子どもに3つの質問で聞く
  • 補食はS(約200kcal)・M(約300kcal)・L(約550kcal)の3サイズ
  • サイズを選ぶのは子ども。親は「中身」を用意しておく

ジュニアユースの合宿で見えた「足りない」と「自信がない」

小学6年生から中学2年生のジュニアユースのサッカー選手22人(男子21人・女子1人)を対象にした報告です(江川ほか、2022年3月の春季合宿)。栄養の研究室が2泊3日の合宿に帯同し、「練習量に応じた栄養摂取」をテーマに補食のサポートを行いました。

合宿の前に、選手は平日1日と休日1日の食事を記録しています。結果は次のとおりです。

項目結果
標準体重から推定したエネルギー必要量2,782〜3,896kcal
合宿前の食事記録から推定した摂取量平均2,491kcal
必要量より多く食べていた選手3人(小6・中1・中2が各1人)

(江川ほか 2022 より。選手22人)

平均の摂取量は、必要量の下の端より約290kcal、上の端より約1,400kcal少ない計算です(計算)。22人のうち、必要量に届いていたのは3人でした。

もう1つ見えたのが、食べものを選ぶ自信です。合宿の前に「自分で食べものを選ぶ自信」を聞くと、次のようになりました。

食べものを選ぶ自信人数
とても自信がある0人
やや自信がある8人
どちらでもない6人
あまり自信がない7人
全く自信がない2人

(江川ほか 2022 より)

「とても自信がある」と答えた選手は、1人もいませんでした。報告では、練習量に合った栄養をとるには補食の知識を身につけることが必要で、合宿だけでなく日常の練習や1年を通して、食べものを選ぶ力を高めるサポートが課題だとまとめています。

足りない分は「補食」で埋める。そして、選ぶ力は毎日の練習の日に育てるんだね!

合宿では、どんなサポートをしたの?

報告のプログラムは、選手向けと保護者向けの2つでできていました。

対象内容
選手合宿前後の食事記録(平日1日・休日1日)
選手合宿中の飲む量の記録
選手練習量と補食のミニレクチャー
選手お弁当箱ワーク(お弁当箱に主食・主菜・副菜をつめる考え方)
保護者合宿に持ってきたお弁当と補食の栄養バランスを分析して返す

(江川ほか 2022 より)

ポイントは「練習量と補食」をセットで教えていることです。家庭でも同じ考え方が使えます。練習の重さを知る → 補食の量を決める。この流れを毎日くり返すと、子ども自身が選べるようになっていきます。

練習の重さは、3つの質問で聞く

練習の重さは、子どもに聞くのがいちばん早くて確実です。出かける前か、迎えの車で聞いてみましょう。

  1. 「今日の練習、何時間?」
  2. 「走りこみや紅白戦はある?」
  3. 「終わってから夕ごはんまで、どのくらい?」

答えを合わせて、その日を「軽い・ふつう・重い」の3つに分けます。

その日目安
軽い日1時間くらい、ボールを使った基本の練習が中心
ふつうの日1時間半〜2時間、いつもの練習
重い日2時間以上、走りこみ・紅白戦・2部練習がある、夕ごはんまでが遅い

(このサイトの目安)

3つ目の「夕ごはんまでの時間」も大切です。練習が軽くても、夕ごはんが夜9時になる日は、1サイズ上げて選びます。

補食のS・M・L:中身とエネルギー

家にある身近な食べもので、3つのサイズを決めておきます。

サイズその日組み合わせの例エネルギー
S軽い日バナナ1本+牛乳コップ1杯約212kcal
Mふつうの日おにぎり1個+牛乳コップ1杯約298kcal
L重い日おにぎり2個+バナナ1本+牛乳コップ1杯約552kcal

(日本食品標準成分表のエネルギーと data/ の重さから計算、おにぎり1個100g=170kcal、バナナ1本90g=84kcal、牛乳コップ1杯210g=128kcal)

  • おにぎり
  • バナナ
  • 牛乳

Mサイズの約298kcalは、合宿の報告で見えた「平均の摂取量と必要量の下の端の差」約290kcalとほぼ同じです(計算)。ふつうの日にMを1回足すだけで、その差がうまる量になります。重い日はLで、さらに大きく足していきます。

入れかえ表:飽きたらこれで

毎日おにぎりとバナナでは飽きてしまいます。同じくらいのエネルギーで入れかえられるものを並べました。

入れかえる前入れかえる後エネルギー
おにぎり1個(約170kcal)食パン6枚切り1枚(約149kcal)約149kcal
おにぎり1個(約170kcal)食パン6枚切り1枚+チーズ1個約205kcal
バナナ1本(約84kcal)ヨーグルト100g約56kcal
牛乳コップ1杯(約128kcal)魚肉ソーセージ1本約119kcal

(日本食品標準成分表のエネルギーと data/ の重さから計算、食パン60g=149kcal、チーズ1個18g=56kcal、ヨーグルト100g=56kcal、魚肉ソーセージ1本75g=119kcal)

  • 食パン
  • チーズ
  • ヨーグルト
  • 魚肉ソーセージ

チーズトーストにすれば、主食とたんぱく質が一度にとれます。袋のまま持てる魚肉ソーセージの使い方は、魚肉ソーセージの補食の記事で紹介しています。

練習から帰ってきたサッカーのユニフォームの男の子が、台所のカウンターに並んだS・M・Lの3つのお皿の中から、いちばん大きいおにぎり2個のお皿を指さしてにっこり。お母さんも笑顔!
練習から帰ってきたサッカーのユニフォームの男の子が、台所のカウンターに並んだS・M・Lの3つのお皿の中から、いちばん大きいおにぎり2個のお皿を指さしてにっこり。お母さんも笑顔!

サイズを選ぶのは、子どもにまかせる

合宿の報告では、「とても自信がある」選手が0人でした。選ぶ力は、毎日の小さな練習で育ちます。

家では、こんな流れがおすすめです。

  1. 冷蔵庫に「S・M・L表」を貼る:上の表を紙に書いて、子どもの目の高さに
  2. 子どもが3つの質問に答える:「今日は2時間で、紅白戦あった」
  3. 子どもがサイズを決める:「じゃあ、L!」
  4. 親は中身をそろえておく:おにぎりは冷凍、バナナと牛乳は切らさない
  5. 夕ごはんのときに一言ふり返る:「Lにして、夕ごはんまでおなかもった?」

最初は親が「今日はMかな?」と聞いてもかまいません。慣れてきたら、子どもが自分で決めます。自分で選ぶ力をもっと育てたいときは、補食を自分で選べる子にする記事も参考にしてください。

「今日は重い日だから、L!」って自分で言えたら、もうりっぱな選手だよ!

1週間の例:練習の日ごとに選ぶ

ある中学生の1週間の例です。

曜日練習補食のサイズ中身
月休みSバナナ1本+牛乳コップ1杯
火1時間半Mおにぎり1個+牛乳コップ1杯
水2時間・走りこみLおにぎり2個+バナナ1本+牛乳コップ1杯
木1時間Sヨーグルト100g+バナナ1本
金1時間半Mチーズトースト+牛乳コップ1杯
土3時間・紅白戦Lおにぎり2個+魚肉ソーセージ1本+牛乳コップ1杯
日試合L試合の日の食べ方で

(中身のエネルギーは、上の表の計算と同じ方法)

練習のない月曜日もSを1回。成長期の体は、練習がない日もエネルギーを使っています。練習がない日のごはんは、練習がない日の記事へ。練習前に何時間前に何を食べるかは、練習前の補食の記事で時間別に紹介しています。

保護者のチェック:合宿の前に「補食の袋」を見直す

報告では、保護者に「合宿に持ってきたお弁当と補食の栄養バランス」の分析結果を返していました。家でも、合宿や遠征の前に補食の袋を親子で見直すと、量がよく見えます。

  • お菓子だけになっていない?:おにぎり・パンなど主食が入っているか
  • 重い日の分、入っている?:1日2回練習の日は、Lサイズを2回分
  • 飲みものとセット?:牛乳やヨーグルトドリンクを、保冷バッグで

合宿の食べ方は、合宿の記事で詳しく紹介しています。

3サイズを切らさない買い置きのコツ

  • おにぎりは週末にまとめて冷凍:Lの日が2回ある週なら、4個以上を目安に。朝、冷凍庫から出しておけば帰るころに食べられる
  • バナナは1房を2回に分けて買う:熟れすぎる前に食べきれる
  • 牛乳は1本予備を:Sの日もMの日もLの日も、牛乳は毎回の基本
  • チーズ・魚肉ソーセージは冷蔵庫の手前に:子どもが自分で取り出せる場所に置く

よくある質問

Q. Lサイズを食べると、夕ごはんが入らなくなりませんか?

A. 練習の重い日は、補食と夕ごはんの両方を食べてちょうどよい量です。夕ごはんまでの時間が短い日は、Lのうちおにぎり1個を夕ごはんに回して、ごはんのおかわりにしましょう。

Q. 体重が増えない子は?

A. 毎日のサイズを1つずつ上げてみましょう。SだったところをM、MだったところをLに。1回で食べきれないときは、Lを練習の前と後の2回に分けます。食が細い子の工夫は、食が細い子の記事へ。

Q. 小学生でもLでいいの?

A. 重い日はLで大丈夫です。報告の選手も、小学6年生から中学2年生でした。体の大きさや食べる量は、食事の量の目安の記事で学年別に紹介しています。

Q. 1日2回練習の日は?

A. 1回目のあとと2回目のあとに、それぞれサイズを選びます。2回練習の日の流れは、1日2回練習の日の記事へ。

Q. 子どもが毎日「S」を選びます。

A. 3つの質問を一緒に答えてみましょう。「2時間で走りこみもあったなら、どれかな?」と表を指さすと、子どもが自分で気づきます。

子どもへの声かけ

  • 「今日の練習、何時間だった?」
  • 「走りこみ、あった? じゃあ今日は何サイズにする?」
  • 「Lにしたんだね。いい選び方!」
  • 「夕ごはんまでおなか、もった?」
  • 「明日の練習は重い? おにぎり、多めに冷凍しておくね」
  • 「自分で選べるようになったね!」

練習の重さを聞いて、サイズを選ぶ。毎日の小さな練習で、選べる子になろう!

まとめ

  • ジュニアユースの選手22人の報告では、必要量2,782〜3,896kcalに対して、合宿前の摂取量は平均2,491kcal。必要量に届いていたのは3人だった
  • 食べものを選ぶ自信が「とても自信がある」選手は0人。日常の練習で選ぶ力を育てることが課題とされた
  • 練習の重さは「何時間?」「走りこみや紅白戦は?」「夕ごはんまでどのくらい?」の3つで聞く
  • 補食はS(バナナ+牛乳、約212kcal)・M(おにぎり1個+牛乳、約298kcal)・L(おにぎり2個+バナナ+牛乳、約552kcal)の3サイズ(計算)
  • サイズを選ぶのは子ども、中身をそろえるのは親。冷蔵庫に表を貼って、夕ごはんで一言ふり返る

出典

  • 江川賢一・猿田綸咲・金綱真一郎ほか. ジュニアユースサッカー選手の春季合宿における練習量に応じた補食サポート事例. 日本スポーツ栄養研究誌. vol.16 一般発表抄録 P-10. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsn/16/1/16_87/_article/-char/ja
  • 文部科学省「日本食品標準成分表」

出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(出典の一覧は「出典」のページを参照)

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