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練習と補食・約9分

補食を自分で選び、作れる子に:親子の声かけと台所

「お母さん、今日の補食なに?」。毎回聞かれるたびに、いつか自分で選べるようになってほしい、と思いませんか。

補食を自分で選べる子は、合宿でも、大会の日のコンビニでも、中学生になって部活の帰り道でも、自分の体に合ったものを手に取れます。選ぶ力は、「いつ・何を・どう持つ」の3つの問いと、台所での小さな出番で育ちます。 この記事では、家で今日から使える声かけと、子どもに任せやすい補食づくりを紹介します。

国内の中学生女子サッカー選手と保護者を対象にした研究では、食事の写真をもとに栄養の専門家とやりとりを続けることで、食品を選ぶ力が伸びていました(吉田・井上 2020)。知識を一度教えるより、実際の食事で選んで、振り返るくり返しが力になります。

3つの問いで選ぶ

問い親子で話す例
いつ食べる?練習の前? 練習のあと夕食までの間?
何を食べる?練習前ならおにぎりやバナナ。練習後なら主食に牛乳やヨーグルトを足す
どう持っていく?家で食べる? バッグに入れる? 冷やすものは保冷剤と一緒に

JFAの栄養ガイドラインでは、1回の食事で食べきれないときや、食事の時間がとれないときに、補食を使う考え方が示されています。練習のあとは、なるべく早く、2時間以内に食べるのが目安です。

食べ慣れた補食の候補から選び、持ち物をそろえる
食べ慣れた補食の候補から選び、持ち物をそろえる

補食の候補カード

冷蔵庫に貼っておくと、子どもが自分で選べます。

補食量の例炭水化物ほかに向いている時間
おにぎり1個(100g)39.4g―練習前・練習後
バナナ1本(可食部100g)22.5g―練習前・練習中の休み
カステラ1切れ(50g)30.9g―練習前
食パン6枚切り1枚(60g)27.8g―家で食べる練習前
飲むヨーグルト1本(200g)24.4gカルシウム220mg練習後
牛乳コップ1杯(200g)9.6gたんぱく質6.6g練習後
プロセスチーズ1個(20g)0.3gたんぱく質4.5g練習後におにぎりと
ゆで卵1個(50g)0.2gたんぱく質6.3g練習後におにぎりと

(日本食品標準成分表で計算)

  • おにぎり
  • バナナ
  • カステラ
  • 飲むヨーグルト
  • プロセスチーズ
  • ゆで卵

選び方のルールは2つだけ。練習前は「主食」をひとつ。練習後は「主食」+「牛乳・乳製品か卵」。これを覚えれば、コンビニでも宿でも選べます。

カードの裏に「中身」を書いておく

候補カードの裏に、1回分の量と中身を書いておくと、子どもが自分で組み合わせを考えられます。

補食1回分の量成分表で計算した中身
おにぎり1個(100g)炭水化物39.4g
バナナ1本(可食部100g)炭水化物22.5g
カステラ1切れ(50g)炭水化物30.9g・たんぱく質3.6g
飲むヨーグルト1本(200g)炭水化物24.4g・カルシウム220mg
プロセスチーズ1個(20g)たんぱく質4.5g・カルシウム126mg
ゆで卵1個(50g)たんぱく質6.3g

(このサイトのまとめです)

練習前は、炭水化物の多い上の4つから。練習のあとは、おにぎりにチーズやゆで卵を組み合わせると、炭水化物とたんぱく質がいっしょにとれます。「おにぎり+チーズで、どっちも入るね」と、子どもが自分で気づけるのがこのカードのよさです。

カードは、冷蔵庫の扉に貼っておくと、毎朝の「何持っていく?」が早く決まります。

「どっちにする?」から始める

最初は大人が2つの候補を出し、子どもが選びます。

  • 「練習まで1時間あるね。おにぎりとバナナ、どっちにする?」
  • 「今日は夕食が遅いから、練習のあとはおにぎりと飲むヨーグルトにしようか」

選んだら、理由を聞きます。「すぐ食べられるから」「おにぎりは置く場所がないから」。理由がわかると、その子の練習の環境に合った候補が増やせます。福岡県の小学4〜6年生と保護者の調査では、親が気をつけさせていることと、子ども自身が気をつけていることの答えにちがいがありました(西村ほか 2020)。本人の言葉を聞くのが、いちばんの近道です。

「いつもの補食、飽きた」と言われたら

子どもの答え次に試すこと
同じ味に飽きたおにぎりの具を鮭・おかか・ツナマヨで回す
大きくて時間内に食べきれない小さめのおにぎり2個に分ける
包みが開けにくい家で一度開けてみる。ラップおにぎりにする
練習前はお腹に入らないバナナやカステラなど、軽く食べられるものに

新しい補食は、試合の日ではなく、ふだんの練習の日に試します。

台所で、補食を「作る」出番

選べるようになったら、次は作る番です。最初から全部ではなく、ひとつの工程を任せます。

大人が見守る台所で、子どもが料理の一工程を担当する
大人が見守る台所で、子どもが料理の一工程を担当する
補食・料理任せる工程の例大人が受け持つこと
ラップおにぎりラップにごはんをのせて、にぎって形を作るごはんを触れる温度に冷ます、具の準備
バナナヨーグルト切ったバナナを器に入れ、ヨーグルトをかけるバナナを切る
チーズトースト食パンにチーズをのせるトースターの出し入れ
卵サンドゆで卵の殻をむいて、つぶして混ぜる卵をゆでる

おにぎりはラップを使うと、手が汚れず、そのまま持っていけます。作る前は手を洗い、できたおにぎりは早めに食べるか、保冷剤と一緒にバッグへ。

国内の小学4〜6年生向けの調理プログラムでは、参加後に「自分だけで作れる料理」の数が増えていました(坂本ほか 2019)。

頼み方は「何を・どこまで」

「手伝って」より、「このごはんを3個のおにぎりにして、お皿に並べて」と、やることと終わりを伝えます。できたら「形がそろったね」「ぎゅっとにぎれたね」と、できた作業をそのまま言葉にします。次の休みにも同じ工程を任せると、だんだん手際がよくなります。

都内の小学3・4年生と保護者の調査では、料理への気持ちは親子で同じではありませんでした(吉井ほか 2018)。子どものやる気と大人のゆとりは、日によってちがいます。平日は盛りつけ、休日はにぎるところまで、と家の予定に合わせます。

声かけは「栄養」より「味と場面」

4〜18歳の子ども70人に、食についての話をどう感じるかを聞いた研究では、子どもたちは味や楽しさ、料理や味見の体験、自分の意見を聞いてもらうことに関心を持っていました(Quigleyほか 2025)。

場面声かけの例
おにぎりを選ぶ「鮭とおかか、今日はどっち?」
練習のあと「お腹の空き具合はどう? おにぎり2個いける?」
新しい補食「この味、どう? 次も入れる?」
食べ残した日「食べる時間はあった?」

「体にいいから食べて」だけで終わらず、「夕食まで時間があるから、今のうちに」「持ち歩きやすいね」と、選ぶ理由を具体的に話します。

帰ってきたら、30秒の振り返り

  • 食べる時間はあった?
  • 自分で開けて食べられた?
  • 練習中、お腹の具合はどうだった?
  • 次も同じにする?

点数をつけるのではなく、次の準備のヒントにします。ポルトガルの13〜18歳の男子サッカー選手を対象にした食育の試みでは、知識の点数が上がりました(Vicenteほか 2025)。家では、知ったことを毎回の補食で使うことで、食べ方につながっていきます。

補食を忘れた日は

気づいたら、まずチームの大人に伝えます。近くで買えるなら、「主食をひとつ」のルールで選びます。友だちに分けてもらうときは、アレルギーがあるので大人に確かめてから。帰ったら「次はどこに入れると気づくかな」と、持ち物の置き場所を一緒に決めましょう。

1週間の補食を、子どもが決める

慣れてきたら、日曜の夜に1週間の予定を見て、子どもが補食を決める日を作ってみましょう。大人は買い物メモに書くだけです。

曜日予定子どもが決めた補食理由(子どもの言葉)
月17時から練習鮭おにぎり1個学校から帰ってすぐ食べられる
火練習なしおやつにヨーグルトとバナナ好きだから
水17時から練習、終わるのが19時半練習前におにぎり、練習後に飲むヨーグルト夕食まで長いから
木練習なしチーズトースト(自分で作る)作ってみたい
金18時から練習カステラ1切れ練習まで時間が短い
土試合おにぎり2個、バナナ、オレンジ試合の間に少しずつ

(このサイトの例です)

理由の欄が書けるようになったら、選ぶ力はしっかり育っています。合宿や遠征の前に、この表を一緒に作ると、宿でも自分で補食を選べます(合宿・遠征の食事)。

おにぎりの具を自分で選ぶ

おにぎりは、具を変えるだけで、たんぱく質やカルシウムも一緒にとれます。

具量の例ひとこと
鮭フレーク大さじ1定番。子どもが好きな味
ツナマヨツナ缶1/4(18g)たんぱく質3.2g(ツナ缶 油漬 ライトで計算)
しらす大さじ2(10g)カルシウム52mg(しらす干し 半乾燥品で計算)
チーズプロセスチーズ1/2個(10g)カルシウム63mg
おかか小袋1つしょうゆを少したらして

(日本食品標準成分表で計算)

具を2〜3種類並べておき、「今日はどれにする?」と聞くと、子どもは自分の好きな組み合わせを見つけていきます。

中学生になったら:コンビニで自分で選ぶ

中学生になると、部活やクラブの行き帰りに、自分のおこづかいで補食を買う場面がふえます。家で「主食をひとつ」のルールが身についていれば、コンビニでも迷いません。

場面コンビニで選ぶ例
練習の前おにぎり1〜2個、バナナ、カステラ、蒸しパン
練習のあと、夕食まで1時間以上おにぎり+飲むヨーグルトか牛乳
練習のあと、すぐ夕食牛乳やヨーグルトドリンクを1本
暑い日おにぎり+スポーツドリンク、冷たいゼリー飲料

(このサイトの例です)

レジに行く前に、「主食はある?」「練習のあとなら、牛乳かヨーグルトもある?」と、自分で確かめるくせをつけておきましょう。ラベルの読み方は市販の補食で紹介しています。

よくある質問

Q. 何年生から自分で選ばせていい?

2つの候補から選ぶのは、低学年からできます。高学年になったら、予定を聞いて自分で候補を出すところまで任せてみましょう。

Q. お菓子ばかり選んだら?

練習前のカステラは、炭水化物がしっかりとれる補食です。チョコ菓子やスナック菓子を選んだときは、「おにぎりと一緒ならOK」と主食を足す形にすると、本人の選択を生かせます。

Q. 包丁や火は、いつから任せる?

年齢より、台所に立った回数で決めます。大人がやって見せ、横で一緒に何度か行ってから、ひとりの工程にしましょう。

Q. 選んだ補食が、練習の量に足りない気がします

練習のあとにお腹がすいていたら、次の回はおにぎりを1個ふやすか、飲むヨーグルトを足します。「今日はお腹すいた?」と帰り道に聞いて、量を一緒に決めていきましょう。

子どもへの声かけ

  • 「今日は何時に食べる? じゃあ、何にする?」
  • 「おにぎり、自分でにぎってみる?」
  • 「自分で選んだ補食、どうだった?」

自分で選んで、自分でにぎったおにぎり。練習のあとの1個は、いつもよりおいしいね!

まとめ

  • 選ぶ力は「いつ・何を・どう持つ」の3つの問いで育つ
  • 練習前は主食をひとつ、練習後は主食+牛乳・乳製品か卵
  • 台所では、ひとつの工程から任せる。頼み方は「何を・どこまで」
  • 声かけは、栄養の説明に、味と場面の話を足す
  • 帰宅後の30秒の振り返りが、次の補食選びにつながる

補食の基本は補食の基本、練習前は練習前の補食、買うときは市販の補食で紹介しています。

出典:日本サッカー協会「JFA栄養ガイドライン」、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(出典の一覧は「出典」のページを参照)

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