本文へ移動
← 読み物の一覧
約10分

練習前の補食:何時間前に、何を食べる? 時間別の選び方と例

学校から帰ってすぐ練習、という日は多いですよね。この記事では「練習前の補食」を、練習までの時間ごとに整理します。

小学生・中学生のサッカーの練習は、夕方に始まることがよくあります。お昼の給食から練習の開始まで、5時間以上あいてしまう日も珍しくありません。おなかがすいたまま走り始めると、動きが重くなったり、集中が切れやすくなったりします。

そこで役に立つのが「補食」です。補食とは、朝・昼・夕の3食だけでは足りない分や、食事と食事の間があきすぎるときに、間に入れる小さな食事のことです。お菓子の「おやつ」とは目的がちがい、練習で使う力を前もって入れておくための食事だと考えてください。

練習前に補食が必要になるのはどんなとき?

日本サッカー協会の栄養ガイドラインでは、トレーニングの開始の2〜3時間前に食事をとることをすすめています。そして、練習の前に空腹のときや、練習後から夕食まで時間があくときは補食をとるとしています。

つまり、次のような日は練習前の補食を考えるタイミングです。

  • 昼食(給食)から練習開始まで、4〜5時間以上あく
  • 学校から帰って着がえたら、すぐに出発する
  • 子どもが「おなかすいた」と言っている
  • 練習が2時間以上ある、または強度の高いメニューの日
  • 前の食事の量がいつもよりとれていなかった

反対に、お昼をしっかり食べて2〜3時間後に練習が始まる日なら、水分だけでよいこともあります。補食は「毎回決まって食べるもの」ではなく、前の食事からの時間とおなかの具合で決めるものです。

「補食を食べると夕食が入らなくなるのでは?」という声もよく聞きます。練習の前に食べた分は練習でしっかり使うので、夕食もちゃんと入ることがほとんどです。

基本の考え方:炭水化物が中心で、消化のよいもの

運動の前に何をとるかについて、米国栄養士会・カナダ栄養士会・米国スポーツ医学会の共同声明は、60分を超える運動の1〜4時間前に炭水化物をとることを目安にしています(成人の競技者の目安)。同じ箇所では、脂質・たんぱく質・食物繊維の多いものは、胃腸の不調を避けるために練習の直前には向かないことがある、とも書かれています。

サッカーのトップ選手についてのUEFA専門家グループの声明でも、キックオフの3〜4時間前には炭水化物の多い食事をとることが示されています。練習も試合も、体が使う燃料の中心は炭水化物です。

ここから、練習前の補食は次の3つを満たすものが選びやすくなります。

  1. 炭水化物(ごはん・パン・めん・いも・果物・和菓子など)が中心
  2. 油が多すぎない(揚げ物・スナック菓子・クリームの多いパンは練習のあとに回す)
  3. 食べ慣れていて、おなかにやさしい

このサイトでは、試合や練習の直前に近い時間の補食を「350kcal以下・炭水化物25g以上・脂質7g以下・食物繊維3g以下」などの線で選んでいます。この線は「直前に胃を重くしない」ためのもので、1日に食べる量を小さくする意味ではありません。1日全体としては、成長と運動の両方に足りるだけ、しっかり食べることが大前提です。

練習までの時間別:何を食べる?

練習までの時間によって、食べられるものの「重さ」が変わります。時間があるほど、食事に近いしっかりしたものを。時間がないほど、すぐに消化できる軽いものを選びます。

練習開始まで向いているもの例
3〜4時間前ふつうの食事に近いものごはん・うどん・具の入ったおにぎり・卵や魚のおかず
2〜3時間前主食が中心の軽い食事おにぎり2個・サンドイッチ・うどん・食パンとバナナ
1〜2時間前主食1つ+果物か乳製品おにぎり1個・カステラ・バナナ・飲むヨーグルト
30分〜1時間前すぐ力になる小さなものバナナ半分〜1本・ようかん1切れ・みかん・ゼリー飲料
30分前を切る飲み物中心水・麦茶・スポーツドリンク(暑い日)

(時間と例はJFA、の考え方をもとにした、このサイトのまとめです)

3〜4時間前:しっかり食べられる時間

休日の午後練習や、遅めの時間から始まる練習の日は、昼食そのものが「練習前の食事」になります。ごはんやめんをしっかり食べ、おかずは焼き魚・卵・鶏むね肉など脂の少なめなものを選ぶと、練習のころにはおなかが落ち着いています。

この時間帯は、主食・主菜・副菜・牛乳・乳製品・果物の5つをそろえる、ふだんの食事の形で問題ありません。

2〜3時間前:主食が中心の軽い食事

平日の夕方練習で、学校から帰ってすぐ食べられるのはこのくらいの時間のことが多いです。おにぎりなら1〜2個、サンドイッチなら具はハムや卵など、脂の多すぎないものを選びます。

  • おにぎり1個(100g)
  • 食パン(6枚切り)1枚
  • バナナ1本

日本食品標準成分表の値で計算すると、おにぎり(塩むすび)100gのエネルギーは170kcal、炭水化物は約39gです。食パン6枚切り1枚(60g)は149kcal・炭水化物約28g、バナナ1本(可食部100g)は93kcal・炭水化物約23gです。

1〜2時間前:主食1つ+果物か乳製品

練習の1〜2時間前なら、おにぎり1個、またはカステラ1切れに、果物や飲むヨーグルトを組み合わせるのがおすすめです。

  • カステラ1切れ(50g)
  • 飲むヨーグルト(200g)
  • みかん1個

カステラ1切れ(50g)は157kcal・炭水化物約31g。飲むヨーグルト(ドリンクタイプ・加糖)200gは128kcal・炭水化物約24gで、カルシウムも220mgとれます(日本食品標準成分表で計算)。

日本サッカー協会のガイドラインでは、日本代表で用意している補食の例として、おにぎり・干し芋・羊羹・カステラ・きなこ入り甘酒・飲むヨーグルト・オレンジジュースなどが挙げられています。どれも家庭やコンビニで手に入りやすいものばかりです。

30分〜1時間前:すぐ力になる小さなもの

出発直前に「やっぱりおなかがすいた」という日は、バナナやようかんのように、炭水化物が多くて油がほとんどないものが向いています。

  • 練りようかん1切れ(50g)
  • バナナ半分〜1本
  • オレンジ(くし切り2〜3切れ)

練りようかん1切れ(50g)は145kcal・炭水化物約35g、脂質は0.1gほどです(日本食品標準成分表で計算)。小さくても炭水化物がしっかりとれるので、練習バッグに1本入れておくと安心です。

ようかんは常温で持ち歩けて、つぶれにくいのがいいところ。小分けのものが便利です!

30分前を切ったら:飲み物を中心に

練習まで30分を切ったら、固形のものを無理に食べると、走ったときにおなかが痛くなることがあります。水や麦茶をこまめに飲んでおきましょう。暑い日は、塩分と糖分を含むスポーツドリンクも役に立ちます。

なお、共同声明では、45分未満の運動では運動中の炭水化物は必要なく、45〜75分の高い強度の運動では少量でよく、1〜2.5時間の運動(サッカーのように止まったり走ったりする競技を含む)では1時間あたり30〜60gが目安とされています(成人の競技者の目安)。練習が長い日は、練習前の補食に加えて、休憩中の飲み物や小さな補食も考えましょう。

「たんぱく質」は練習前にもとるべき?

練習前は、炭水化物が主役です。たんぱく質は筋肉の材料として大切ですが、肉や卵のおかずをたっぷり食べてすぐに走ると、消化に時間がかかって胃が重くなることがあります。

ただ、まったく入れてはいけないわけではありません。飲むヨーグルト、チーズ、きな粉など、少量で消化に負担がかかりにくいものなら、練習の1〜2時間前の補食に組み合わせやすいです。

  • プロセスチーズ1個(20g)
  • きな粉 大さじ1(約6g)

プロセスチーズ20gのたんぱく質は約4.5g、カルシウムは126mgです。きな粉(青大豆)は100gあたりたんぱく質37g・鉄7.9mgで、牛乳やヨーグルトにまぜたり、おにぎりやもちにまぶしたりできます(日本食品標準成分表で計算)。

たんぱく質をしっかりとりたいのは、どちらかといえば練習のあとです。練習後の補食については練習後の補食で詳しく紹介しています。

コンビニで買うなら

練習場へ向かう途中でコンビニに寄る日も多いと思います。練習前に選びやすいのは次のようなものです。

  • おにぎり:梅・昆布・鮭など、油の少ない具を。ツナマヨや天むすなど油の多い具は練習のあとに
  • バナナ:皮をむくだけで食べられ、ごみも少ない
  • カステラ・どら焼き・大福:和菓子は油をあまり使わず、炭水化物が中心
  • ゼリー飲料:時間がないときに。ただし、それだけで食事の代わりにはしない
  • 飲むヨーグルト・牛乳:1〜2時間前なら組み合わせやすい

反対に、練習の直前に選ぶと胃が重くなりやすいのは、揚げ物のパン、スナック菓子、チョコレートやクリームが多い菓子パン、からあげやフライドポテトなどです。これらは悪い食べ物ではありませんが、タイミングを練習のあとや休日にずらすのがコツです。

コンビニの組み合わせ例はコンビニで買える補食で、栄養の推定値つきで紹介しています。

栄養補助食品・エナジードリンクは使わなくて大丈夫

国際オリンピック委員会(IOC)の若い競技者についての合意声明では、運動能力を上げることを目的に、若い選手に栄養補助食品をすすめるのは適切ではない、としています。エナジードリンクもここに含まれます。

練習前の補食は、おにぎり・パン・果物・和菓子・乳製品など、ふつうの食品で十分にまかなえます。カフェインの入った飲み物は、子どもには向きません。

「みんなが飲んでいるから」とエナジードリンクを欲しがることも。そんなときは、カフェインの入っていない飲み物を一緒に選んであげてください。

時間がない平日のための「準備」のコツ

毎日の補食を用意するのは大変です。前もって準備しておくと、ぐっと楽になります。

冷凍おにぎりをストックしておく

ごはんが余った日に、おにぎりを作ってラップで包み、冷凍しておきます。食べる前に電子レンジで温めれば、すぐに補食になります。具は鮭フレーク、梅、昆布、しらすなどが合います。

「補食かご」を決めておく

玄関や台所の決まった場所に、ようかん・カステラ・バナナなどを入れたかごを置いておくと、子どもが自分で取って出かけられます。「練習の前はこのかごから1つ」と決めておくと、お菓子を選ぶことも減ります。

学校の帰りが遅い日は、持たせる

中学生になると、学校からそのまま練習に向かう日もあります。持ち歩くなら、つぶれにくく常温で傷みにくいもの(ようかん、カステラ、小分けのパン、バナナ)が向いています。夏場は、おにぎりは保冷剤と一緒に持たせましょう。

練習前の補食 1週間の例

同じものばかりだと飽きてしまうので、いくつかの組み合わせを回すのがおすすめです。下は、平日の夕方練習(練習開始の1〜2時間前に食べる)を想定した例です。

曜日補食の例
月おにぎり(梅)1個+みかん
火カステラ1切れ+飲むヨーグルト
水食パン(ジャム)1枚+バナナ
木おにぎり(鮭)1個+チーズ1個
金ようかん1切れ+オレンジ
土うどん(昼食をかねて)+果物
日練習のない日はふつうのおやつと食事で

(例はこのサイトの組み合わせの提案で、量は子どもの体格と食欲に合わせて調整してください)

よくある質問

Q. 補食を食べると、夕食を食べなくなりませんか?

練習前の補食は、練習で使う力になります。2時間ほど体を動かすと、夕食のころにはまたおなかがすいていることがほとんどです。もし夕食が入らない日が続くなら、補食の量より「補食を食べる時間」を見直して、練習開始に近づけすぎないようにしてみてください。

Q. 食べると、走ったときにおなかが痛くなります

食べてから走るまでの時間が短すぎるか、油や食物繊維の多いものを食べていることが多いです。食べる時間を早めにする、ようかんやバナナなど軽いものに変える、などを試してみましょう。痛みが続く場合は医療機関に相談してください。

Q. 甘いものばかりで大丈夫?

練習の前の補食は、すぐ力になる炭水化物が目的なので、和菓子や果物のような甘いものが合っています。1日全体では、朝・昼・夕の食事で主食・主菜・副菜・牛乳・乳製品・果物の5つをそろえることを大切にしてください。

Q. 朝練の前は?

朝練の日は、起きてから練習までの時間が短いので、さらに軽いもの(バナナ、おにぎり小1個、飲むヨーグルトなど)が向いています。詳しくは朝ごはんの記事を参考にしてください。

子どもへの声かけ

  • 「練習まであと何時間? じゃあ今日はこれにしよう」と、時間で選ぶ習慣をつける
  • 「練習の前はおにぎりかバナナ、揚げ物はあとのお楽しみ」
  • 「おなかすいてない?」と、出かける前に一度聞いてみる
  • 「今日の練習、動けた?」と、補食のあとの体の調子をふり返る

練習前にエネルギーを入れておけば、最後まで走りきれる! 毎日の小さな準備が、強い体をつくります。

まとめ

  • 練習の2〜3時間前に食事をとり、空腹のときは補食をとる
  • 練習前は炭水化物が中心で、油の多くないものを選ぶ
  • 練習までの時間が短いほど、軽くて消化のよいものに
  • たんぱく質はチーズや飲むヨーグルトなどを組み合わせる程度で、しっかりは練習のあとに
  • 栄養補助食品やエナジードリンクに頼らず、ふつうの食品で十分

練習前に向く補食は試合前の補食レシピから探せます。試合の日の時間割は試合の日の準備で、キックオフの時間から逆算して作れます。

出典:米国栄養士会・カナダ栄養士会・米国スポーツ医学会「Nutrition and Athletic Performance」(2016)、UEFA エリートサッカーの栄養に関する専門家声明(2021)、IOC 若年競技者に関する合意声明(2015)、日本サッカー協会「JFA栄養ガイドライン」、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(出典の一覧は「出典」のページを参照)

この記事の間違いを知らせる