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試合の日・約9分

試合の後半に足がつる子の食事と準備:つる理由と、前日・当日・ハーフタイムの食べ方

「後半の残り10分、ふくらはぎを押さえて倒れこんで…。また足がつった。水が足りないの? バナナを食べさせればいいの?」

少年サッカーの試合で、後半になると足がつる子はよくいます。大会で1日2試合、3試合となると、2試合目の後半にふくらはぎがつって交代、ということもよくあります。

先に答えを言います。足がつるいちばん大きな理由は「筋肉の疲れ」です。だから、対策の中心は「水を飲むこと」だけではなく、後半まで疲れにくい体と燃料を、食事と練習で準備すること。そして、つったその場ではゆっくり伸ばすことです。

この記事では、足がつる理由と、試合の前日・当日・ハーフタイム・試合のあとの食べ方を、具体的な料理と量で紹介します。

足がつるのは、なぜ?

運動中の足のつり(こむら返り)について、アメリカのアスレティックトレーナー協会の学術誌に、研究をまとめて推奨の強さをつけた総説があります(Miller ほか、J Athl Train 2022)。わかっていることは次のとおりです。

テーマ総説でわかっていること
いちばん有力な理由筋肉を動かす神経のコントロールが乱れること。その大きな原因が筋肉の疲れ
起きやすいタイミング試合の終わりのほう(疲れがたまったころ)
水分・塩分不足昔からある説だが、裏付けは弱く、役割は神経の乱れより「ずっと小さい」
つったときの手当てつった筋肉をゆっくり静かに伸ばす(いちばん強い推奨A)
試合前のストレッチつったときの手当てには効くが、前もってやっても予防にはつながらなかった
予防試合に近い強さ・暑さで練習する、練習と試合のあとにしっかり休む、炭水化物・塩分・水分が足りるバランスのよい食事、運動中に炭水化物や炭水化物と塩分の入った飲み物を飲む

(出典:Miller ほか 2022。研究の対象はおとなの選手です)

総説には、「水を飲むことを強調しすぎるのも危ない」とも書かれています。スポーツドリンクは汗より塩分がうすいので、それだけで塩分を補おうと大量に飲むと、体の塩分がうすまりすぎることがあるからです。

「つる=水が足りない」だけではないんですね。後半まで走れる燃料と、ふだんの練習と休み。食事でできることも、たくさんあります!

茨城県かすみがうら市の健康コラムでも、足がつる原因として脱水・ミネラル不足・筋肉の疲れ・冷えが挙げられ、予防策として次の5つが紹介されています(広報かすみがうら 令和7年8月20日)。

  1. 定期的に適度な運動をする
  2. 緊張している筋肉をストレッチでやわらげる
  3. 入浴や服で体を冷やさない
  4. のどが渇く前に、こまめに水分をとる
  5. 主食・主菜・副菜がそろうバランスのよい食事

同じコラムでは、足がつる人の65%は寝ている間や、寝ていて目が覚めたときにつる、とも書かれています。練習のあとの夜に足がつる子にも、同じ考え方が使えます。

食事でできること:3つの柱

総説とコラムをまとめると、食事でできることは次の3つです。

柱ねらい具体的には
1. 燃料(炭水化物)後半まで筋肉が疲れにくくする前日の夕食・当日の朝・ハーフタイムに、ごはん・パン・麺・果物
2. 水分と塩分汗で出た分を、うすめすぎずに補う塩分0.1〜0.2%・糖質4〜8%の飲み物をこまめに。食事でも塩分をとる
3. 回復次の試合・練習までに疲れを抜く試合のあと早めに、炭水化物とたんぱく質。よく寝る

(このサイトのまとめです)

柱1:後半まで疲れにくい燃料

後半に足がつる子は、後半に「燃料切れ」になっていることが多いです。試合の前日の夕食と当日の朝に、炭水化物をしっかり入れておきましょう。

UEFAの専門家グループの声明では、キックオフの3〜4時間前の食事で、炭水化物を体重1kgあたり1〜3gとることがすすめられています。体重40kgの子なら40〜120gです。

試合の朝ごはんの例(体重40kgの子)

料理と量エネルギー炭水化物
ごはん 茶碗大盛り1杯(200g)312kcal74.2g
バナナ 1本(100g)93kcal22.5g
牛乳 コップ1杯(200g)122kcal9.6g
卵 1個(50g)71kcal0.2g
合計598kcal106.5g

(日本食品標準成分表で計算。調味料・みそ汁の具は含みません)

合計の炭水化物は106.5g。40kgの子の目安40〜120gの中に、しっかり入ります。朝が早くてごはんが入らない子は、ごはんの半分をおにぎりにして、会場へ向かう車の中で食べても大丈夫です。

  • ごはん
  • バナナ
  • 牛乳
  • 卵

前日の夕食の考え方は試合前日の食事、後半に走るための食べ方は後半に走り負けないための、試合前日・当日の食べ方でくわしく紹介しています。

柱2:水分と塩分は「こまめに・ちょうどよく」

日本スポーツ協会は、運動中の飲み物として、食塩0.1〜0.2%(100mlあたり0.1〜0.2g)と糖質4〜8%を含むものを、5〜15℃に冷やして飲むことをすすめています。市販のスポーツドリンクが手軽です。

ポイントは「一度にたくさん」ではなく「こまめに」。試合前のアップ、ハーフタイム、交代でベンチに戻ったときに、数口ずつ飲みます。

食事でも塩分はとれます。

食べ物量食塩相当量
おにぎり(市販品の値)100g0.5g
食パン6枚切り1枚(60g)0.7g
梅干し(塩漬)10g1.8g
米みそ(淡色辛みそ)のみそ汁みそ12g1.5g

(日本食品標準成分表で計算)

暑い日の大会なら、梅干しのおにぎりと、朝のみそ汁。これで食事からも塩分が入ります。暑い日の飲み方は暑い日の水分と塩分、飲み物の選び方はスポーツドリンクの選び方と飲み方で紹介しています。

  • おにぎり
  • 梅干し
  • みそ
  • 食パン

ハーフタイムと、試合と試合の間

UEFAの声明では、ウォーミングアップのあとやハーフタイムに、炭水化物を30〜60gとることがすすめられています。

補給の例量炭水化物
バナナ1本(100g)22.5g
カステラ1切れ(50g)30.9g
オレンジ1/2個分の果肉(100g)11.8g
小さいおにぎり1個(60g)23.6g

(日本食品標準成分表で計算)

バナナ1本とオレンジ100gで34.3g、カステラ1切れだけでも30.9g。スポーツドリンクと合わせると、目安の30〜60gに届きます。

1日に何試合もある日は、試合と試合の間が「次の後半」の準備時間です。試合が終わったら、まず飲み物とバナナやカステラ、時間があればおにぎりを1個。次の試合の30分前までに食べ終えるようにすると、おなかも重くなりません。

ハーフタイムのくわしい食べ方はハーフタイムに何を食べる? 飲む?、連戦の日は大会で連戦の日の食事で紹介しています。

  • バナナ
  • カステラ
  • オレンジ
  • おにぎり

アップのあと、ハーフタイム、交代のとき。「数口ずつ・こまめに」が合言葉です!

柱3:試合のあとの回復ごはん

疲れが残ったまま次の練習や試合を迎えると、また足がつりやすくなります。総説でも、練習と試合のあとにしっかり休むことが予防に挙げられています。

試合が終わったら、早めに「炭水化物+たんぱく質」。家に帰ったら、しっかりとした夕食です。

試合の日の夕食の例

料理と量エネルギーたんぱく質
ごはん 茶碗大盛り1杯(200g)312kcal5.0g
鶏のから揚げや照り焼きなど、肉のおかず――
木綿豆腐のみそ汁(豆腐100g)73kcal7.0g
ヨーグルト(100g)+バナナ(100g)149kcal4.7g
牛乳 コップ1杯(200g)122kcal6.6g

(日本食品標準成分表で計算。肉のおかずは料理によって変わるので数字を入れていません)

夕食のあとは、ぬるめのお風呂で体を温めて、早めに寝ましょう。かすみがうら市のコラムにあるように、体を冷やさないことも予防のひとつです。試合翌日の食べ方は試合の翌日(MD+1)の食事、眠り方はサッカーする子どもの睡眠時間で紹介しています。

  • ごはん
  • 豆腐
  • ヨーグルト
  • 牛乳

試合に向けた1週間の準備

総説では、試合に近い強さや暑さの中で練習しておくことも、予防として推奨されています。食事と合わせて、1週間をこう組み立てます。

いつ食事体の準備
ふだんの週3食と補食で、主食・主菜・副菜・乳製品・果物をそろえる練習で試合と同じくらい走る時間をつくる
試合の前日夕食でごはんをしっかり。汁物で水分と塩分早めに寝る
試合の朝キックオフの3〜4時間前に、炭水化物中心の朝ごはん起きてから少しずつ飲む
試合中アップ後・ハーフタイムに炭水化物30〜60g、飲み物はこまめにつったらゆっくり伸ばす
試合のあと早めに炭水化物とたんぱく質、夕食をしっかりお風呂で温めて、よく寝る

(このサイトのまとめです)

つったときの手当て

つったときは、慌てずに次の順で。

  1. プレーを止めて、つった筋肉をゆっくり静かに伸ばす(ふくらはぎなら、ひざを伸ばしてつま先を手前に引く)
  2. つりがおさまったら、楽な姿勢で休む
  3. 飲みたい分だけ、スポーツドリンクを飲む

総説では、つりがおさまったあとも、しばらくはゆっくり伸ばしたり、休んだりを続けると、またつるのを防ぎやすいとされています(Miller ほか 2022)。

つったときは「伸ばす・休む・飲む」。落ち着いて対応すれば大丈夫です!

よくある質問

Q. バナナを食べると足がつらなくなるって本当?

バナナは炭水化物がとれる、すぐれた補食です。1本(100g)で炭水化物22.5gとれるので、ハーフタイムや試合と試合の間の燃料にぴったり。後半まで疲れにくくする、という意味で、試合の日の強い味方です。

Q. 足がつる子には、水をたくさん飲ませればいい?

水だけを大量に飲むより、塩分と糖質の入った飲み物を、こまめに飲むほうが合っています。総説でも、水分のとりすぎで体の塩分がうすまりすぎる危険が書かれています。のどが渇く前に、数口ずつが基本です。

Q. 試合前にストレッチをすれば防げる?

総説では、試合前のストレッチでつりにくくなるという結果は出ていません。ストレッチは「つったときの手当て」として使いましょう。試合前は、チームのウォーミングアップをしっかりやれば十分です。ウォーミングアップはケガを防ぐウォーミングアップ:FIFA 11+ Kidsで紹介しています。

Q. 塩のタブレットや塩あめは必要?

総説では、「塩をもっととろう」と一律にすすめることには慎重な立場です。試合の日は、スポーツドリンクと、梅干しのおにぎりやみそ汁など、ふだんの食事で塩分をとれば足ります。

Q. 夜、寝ているときに足がつります

かすみがうら市のコラムでは、足がつる人の65%が寝ている間や目が覚めたときにつるとされ、寝ている間の汗による水分・ミネラル不足や冷えが原因に挙げられています。練習の日は、夕食をしっかり食べ、寝る前にコップ1杯の牛乳や水を飲み、お風呂で温まってから寝ましょう。

Q. 毎回、同じ子だけがつります

総説では、前につったときの様子をくわしく振り返って、原因になりそうなことに手を打つことがすすめられています。その子の「いつ・どこで・どんな日に」つったかをメモしておくと、朝ごはんが少なかった日、暑かった日、連戦の2試合目など、パターンが見えてきます。パターンがわかれば、その日に合わせて補食を1つ足す、飲み物を1本ふやす、と準備できます。

子どもへの声かけ

  • 「後半まで走るための燃料、朝ごはんで入れていこう」
  • 「ハーフタイムは、バナナとドリンク。数口ずつね」
  • 「つったら、すぐ手をあげて。伸ばせば大丈夫」
  • 「今日もよく走ったね。夕ごはんしっかり食べて、早く寝よう」

つっても、次の試合でまた走れるように。食べる・飲む・休むで、しっかり準備しましょう!

まとめ

  • 運動中に足がつるいちばん有力な理由は、筋肉の疲れによる神経のコントロールの乱れ。試合の終わりのほうに起きやすい(Miller ほか 2022)
  • 水分・塩分不足の役割は小さい。水だけを大量に飲むより、塩分0.1〜0.2%・糖質4〜8%の飲み物をこまめに
  • 試合の3〜4時間前に炭水化物を体重1kgあたり1〜3g、ハーフタイムに30〜60g
  • つったら、ゆっくり静かに伸ばして、休んで、飲む
  • 試合のあとは早めに回復ごはん。体を温めて、よく寝る

試合の日のおにぎりや補食のレシピはレシピ一覧から探せます。

出典:UEFA エリートサッカーの栄養に関する専門家声明(2021)、日本スポーツ協会「熱中症予防のための運動指針」、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(出典の一覧は「出典」のページを参照)

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