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ケガを防ぐウォーミングアップ:FIFA 11+ Kids

「子どものケガを防ぐウォーミングアップって、何をすればいいの?」「FIFA 11+ Kids って聞いたことがあるけど、本当に効くの?」。チームのコーチや保護者から、よく出る質問です。

この記事では、子ども向けのケガ予防のウォーミングアップ「11+ Kids」について、どんな運動でできているか、そしてケガが減ったという研究の結果を紹介します。家庭やチームでの取り入れ方もお伝えします。

先に答えを言います。ふだんのウォーミングアップを11+ Kids に置きかえたチームでは、ケガがおよそ半分に減りました。 特別な道具はいらず、15〜20分ほどでできます。

11+ Kids とは

11+ Kids は、子どものサッカーのケガを防ぐためにつくられたウォーミングアップのプログラムです。FIFA(国際サッカー連盟)の名前がついていて、「FIFA 11+ Kids」とも呼ばれます。

項目内容
対象子どものサッカー選手(研究では9歳以下〜13歳以下のチーム)
運動の数7種類
むずかしさそれぞれ5段階
時間15〜20分ほど
回数研究では、週2回以上

(出典:ANZCTR の試験計画、Rössler ほか 2016・2018)

7つの運動

試験計画(ANZCTR)に書かれた内容をもとに、どんな運動かを、このサイトの言葉で紹介します。

運動どんな運動か主にきたえるもの
1. 合図で止まるランニング走っていて、コーチの合図で片足で止まり、数秒バランスをとる止まる・片足のバランス
2. スケートジャンプ左右ななめに跳んで、反対の足で着地してピタッと止まる着地のバランス
3. 片足立ちのパス2人組で片足で立ったまま、ボールを投げたりパスしたりする片足のバランス
4. 腕立ての姿勢腕立ての姿勢を保ちながら、ボールを転がすなど体幹・上半身
5. 片足ジャンプ片足で前後左右に跳び、同じ足で着地して止まる着地のバランス・脚の力
6. スパイダーマン手と足で体を支えて、はうように動く全身の筋力
7. 横への転がりしゃがんだ姿勢から、ななめに転がって起き上がる安全な転び方

(このサイトのまとめです)

どの運動も、慣れたら次の段階に進むしくみです。段階が上がると、ボールを持つ、ボールを扱いながら行うなど、少しずつむずかしくなります。

7つのうち、バランスと着地の運動が多く、さらに体を支える力と、転び方の練習が入っているのが特徴です。

止まる、着地する、転ぶ。サッカーでケガをしやすい場面を、ウォーミングアップで先に練習しておくイメージです!

ケガは本当に減った? 研究の結果

ヨーロッパ4か国の研究

スイス・ドイツ・チェコ・オランダの、9歳以下・11歳以下・13歳以下のチームを対象にした研究があります(Rössler ほか 2018)。クラブを2つのグループに分け、1シーズンのあいだ、片方はふだんのウォーミングアップを11+ Kids に置きかえ、もう片方はいつもどおりのウォーミングアップをしました。

項目結果
参加した選手3,895人(平均10.8歳)
ケガ全体48%減った
重いケガ74%減った
脚のケガ55%減った
続けた度合いよく続けたチームほど、ケガが少なかった

(出典:Rössler ほか 2018)

このような、チームごとにくじ引きで分けて比べる研究(クラスターランダム化比較試験)は、効果を確かめる方法として信頼性の高いものです。

イランの研究でも

イランの、7〜14歳の男子のレベルの高いチームを対象にした研究でも、11+ Kids を行ったチームは、ケガが50%減りました(Zarei ほか 2020)。運動の最中のケガは、1件もありませんでした。

医療費も減った

スイスのデータを使った研究では、11+ Kids を行ったチームで、ケガによる医療費が51%減っていました(Rössler ほか 2019)。

体の動きもよくなる

7〜12歳の選手が週2回・10週間続けた研究では、片足のバランスや、すばやく方向を変えて走るテストで、よい変化が見られました(Rössler ほか 2016)。ケガを防ぐだけでなく、動きの土台づくりにもなります。動きの練習は運動神経をよくする遊び・練習でも紹介しています。

チームでの取り入れ方

ポイント内容
ふだんのウォーミングアップと置きかえる研究でもそうしている。練習時間はほとんど増えない
週2回以上研究の実施回数
続けるよく続けたチームほど、ケガが少なかった
段階を上げる慣れたら次の段階へ。飽きずに続けられる
ボールを使う段階が上がるとボールを使う運動が増え、子どもも楽しめる

(このサイトのまとめです)

研究では、ウォーミングアップを「足す」のではなく、「置きかえる」形で行われています。新しく時間をつくらなくても始められるのが、チームにとってうれしいところです。

家庭での取り入れ方

チームで取り入れていなくても、家や公園でできる運動があります。

  • 片足立ち:歯みがきのあいだ、片足で立つ
  • 片足ジャンプ:公園で、前後左右に跳んでピタッと止まる
  • 腕立ての姿勢:テレビのCMのあいだ、姿勢をキープ
  • 転がり:ふとんの上で、横にころんと転がって起き上がる

親子で一緒にやると、楽しく続けられます。家でやるときも、まわりに家具などがない広い場所を選びましょう。チームの保護者会などで「こういうウォーミングアップがあるらしい」と話題にしてみるのもよいですね。

ケガをしない体は、毎回の準備運動からつくられる。今日のウォーミングアップも、立派なトレーニングです!

ケガを防ぐのは、準備運動だけじゃない

睡眠

12〜18歳のスポーツ選手を調べた研究では、睡眠が1日平均8時間未満の選手は、8時間以上の選手よりケガをした割合が1.7倍でした(Milewski ほか 2014)。小さな研究ですが、よく眠ることもケガ予防の1つと考えられます。JFAの栄養ガイドラインでは、育成年代の睡眠は9時間以上です。

食事

体をつくり、練習で疲れた体を回復させるのは、毎日の食事です。主食・主菜・副菜・牛乳・乳製品・果物をそろえましょう。練習のあとの食事は練習後の食事で紹介しています。

  • ごはん
  • 鶏むね肉
  • 牛乳
  • バナナ

運動ごとの「ねらい」をもう少しくわしく

止まる・着地する練習(1・2・3・5)

サッカーでは、走っていて急に止まる、ジャンプして着地する、片足でボールを蹴る、といった場面がたくさんあります。11+ Kids の7つのうち4つは、片足でのバランスや着地にかかわる運動です。合図で止まる、跳んでピタッと止まる、片足で立ったままボールを扱う。どれも、試合の動きそのものです。

体を支える練習(4・6)

腕立ての姿勢を保つ運動や、手と足で体を支えて動く運動は、おなかや背中、肩まわりの筋肉を使います。体の軸がしっかりすると、当たられても倒れにくくなります。

転び方の練習(7)

サッカーでは、転ぶことは避けられません。横に転がって起き上がる練習は、転んだときに体を守る動きを身につけるためのものです。小さい子にとっては、遊びのように楽しめる運動でもあります。

研究の数字の読み方

「48%減った」というのは、ふだんのウォーミングアップのチームと比べて、ケガの起こりやすさがおよそ半分になった、という意味です。ヨーロッパ4か国の研究では、1シーズンで合わせて374件のケガが記録され、11+ Kids のグループは139件、ふだんのウォーミングアップのグループは235件でした(Rössler ほか 2018)。

研究対象ケガの減り方
Rössler ほか 2018ヨーロッパ4か国、3,895人全体48%減・重いケガ74%減・脚のケガ55%減
Zarei ほか 2020イラン、962人全体50%減

(出典:各論文の要約)

国も選手のレベルもちがう2つの研究で、どちらもケガがおよそ半分になっています。結果がそろっているのは、チームで取り入れるときの心強い材料です。

続けるためのチームの工夫

工夫例
担当を決めるコーチや上級生が、合図をかける係
段階を見える化「今は段階2」とホワイトボードに書く
楽しむ合図の出し方を変えて、ゲームのように
記録する実施した日をカレンダーに記録

(このサイトのまとめです)

研究では、よく続けたチームほど、ケガが少なかったと報告されています(Rössler ほか 2018)。続けるしくみをつくることが、いちばんの効果につながります。

よくある質問

Q. 何歳から使えますか?

研究は、9歳以下から13歳以下のチームで行われています(Rössler ほか 2018)。イランの研究では7〜14歳が対象でした(Zarei ほか 2020)。

Q. 週1回の練習でも効果はありますか?

研究は週2回以上で行われています。よく続けたチームほどケガが少なかったので、できる回数で続けることが大切です。

Q. 研究ではどのくらい続けた?

ヨーロッパ4か国の研究も、イランの研究も、1シーズン続けて効果を調べています(Rössler ほか 2018・Zarei ほか 2020)。シーズンを通して続けるのが目安です。

Q. ウォーミングアップに時間がかかりませんか?

15〜20分ほどで、ふだんのウォーミングアップと置きかえて行います。練習時間を増やさずに始められます。

Q. どの運動がいちばん大事?

研究は、7つをまとめて行った効果を調べています。どれか1つだけの効果はわかっていないので、7つをそろえて行いましょう。

Q. 保護者がチームに提案してもいい?

もちろんです。研究の結果を伝えると、コーチも検討しやすくなります。「ふだんのウォーミングアップと置きかえられる」「15〜20分ほどでできる」という点を伝えると、話が進みやすいでしょう。

Q. 雨の日や体育館でもできますか?

7つの運動は、広い場所や特別な道具がなくてもできるものが中心です。転がる運動は、床がかたい場所ではマットを使うなど、工夫しましょう。

Q. 11+ Kids をやっていれば、ほかのケガ予防はいらない?

11+ Kids でケガは減りましたが、ゼロにはなりませんでした。よく眠ること、しっかり食べること、痛みがあるときに早めに伝えることも、あわせて大切にしましょう。

Q. 家族で一緒にやってもいい?

もちろんです。片足立ちや片足ジャンプは、大人にとってもよい運動です。親子でやると、子どもも楽しく続けられます。

子どもへの声かけ

  • 「ピタッと止まれたね! かっこいい」
  • 「次の段階、やってみる?」
  • 「準備運動も、うまくなるための練習だよ」

ケガなく、長く、サッカーを楽しむ。そのための15分を、今日から始めよう!

まとめ

  • 11+ Kids は、子ども向けのケガ予防のウォーミングアップ。7種類×5段階、15〜20分ほど
  • バランス・着地・体を支える力・転び方の練習が中心
  • ヨーロッパ4か国の研究で、ケガ全体48%減、重いケガ74%減(Rössler ほか 2018)
  • イランの研究でもケガ50%減(Zarei ほか 2020)、医療費も51%減(Rössler ほか 2019)
  • ふだんのウォーミングアップと置きかえて、週2回以上、続けることが大切

ひざの痛みはオスグッドとサッカー、かかとの痛みはシーバー病と成長痛、動きの練習は運動神経をよくする遊び・練習で紹介しています。

出典:日本サッカー協会「JFA栄養ガイドライン」(出典の一覧は「出典」のページを参照)

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