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試合の日・約8分

試合中にわき腹・お腹が痛くなる子の食べ方:食べる時刻・量・飲み物の選び方

「試合の前半、走っているうちに、わき腹をおさえて止まってしまう」「朝ごはんをしっかり食べさせたのに、試合中にお腹が痛いって言うんです」

走るとわき腹がキリキリ痛む。サッカーをしていると、一度は聞く話です。知恵袋にも「試合中にお腹が痛くなったら、選手はどうしているの?」という質問があり、子ども向けの科学サイトでも「食べてから走ると、どうしておなかが痛くなるの?」がよく読まれています。

この痛みには、スポーツ医学で名前がついています。運動に関係する一過性の腹痛(ETAP)、いわゆる「わき腹の痛み」です。研究からわかってきたのは、食べる量と時刻、そして飲み物の種類で起こりやすさが変わること。この記事では、試合の前の日から当日のハーフタイムまで、わき腹が痛くならない食べ方を紹介します。

わき腹の痛みは、とてもよくあること

スポーツ医学の総説(Morton & Callister 2015)によると、ランナーの約70%が「この1年で経験した」と答えています。1回のレースでも、約5人に1人が痛みを感じています。

調べたこと結果
ランナーで、この1年に経験した人約70%
1回の大会で痛くなった人約5人に1人
20歳未満の運動する人で、経験がある人77%
40歳をこえた人で、経験がある人40%
痛む場所肋骨の下のふち、お腹の真ん中から上のあたり。約80%は「ここ」と指でさせる痛み
右と左右側のほうが、多いと最大で2倍

(出典:Morton & Callister 2015)

ポイントは、若い人ほど多いことです。年齢が上がるにつれて、起こる回数も痛みの強さも小さくなります。10歳より前はあまり見られず、思春期によく起こるとも書かれています。小学校高学年から中学生は、ちょうど痛みが出やすい年ごろです。

体をくり返しひねったり、上下にゆらしたりする運動で起こりやすい痛みです。止まっては走るサッカーも、まさにそうですね。

どうして食べたあとに痛くなるの?

子ども向けの科学サイト(Gakkenキッズネット)では、こう説明されています。食べたあとは、消化のために胃や腸にたくさんの血液が集まります。そこで走ると、血液が足の筋肉に回り、胃や腸に届く血液が足りなくなります。胃や腸がけいれんを起こし、まわりの神経がそれを「痛み」として感じる、というしくみです。

研究でも、食べ物と飲み物はわき腹の痛みと深く関わっています。

  • 運動する人の52%が「運動前に食べると痛くなる」、38%が「飲むと痛くなる」と答えている
  • 大会の前、体重に対して食べた量・飲んだ量が多い人ほど、痛みが多かった
  • 一方で、炭水化物・脂質・たんぱく質・エネルギーといった中身は、痛みと関係がなかった
  • スタートの1〜2時間前に大きな食事をとったランナーは、痛みが出やすかった

(出典:Morton & Callister 2015)

つまり、わき腹の痛みを左右するのは、「何を食べたか」より「直前に、どれだけの量がお腹に入っているか」。ごはんやパンなどの炭水化物が悪いわけではありません。試合の燃料になるごはんは、食べる時刻を前にずらして、しっかり食べるのが正解です。

大きな食事は、キックオフの3〜4時間前に

総説では、わき腹が痛くなりやすい人は、運動前の2時間は、量の多い食事や飲み物を避けること、とくに痛くなりやすい人は3〜4時間前が目安とされています。

これは、試合の日の食事の目安とぴったり重なります。UEFA(ヨーロッパサッカー連盟)の専門家グループの声明では、キックオフの3〜4時間前に、炭水化物の多い食事を、体重1kgあたり1〜3g。水分は2〜4時間前に体重1kgあたり5〜7mlです。

キックオフまで食べ方・飲み方体重35kgの子の場合
3〜4時間前しっかりした食事(ごはん・パン・うどん+卵や魚)炭水化物 35〜105g
2〜4時間前水やお茶を、コップで何回かに分けて175〜245ml
1〜2時間前おなかがすいたら、ひと口サイズの補食バナナ半分・小さいおにぎりなど
試合中・ハーフタイム水・スポーツドリンクを、ひと口ずつこまめに―

1〜2時間前は、大きな食事をとると痛みが出やすい時間帯です(Morton & Callister 2015)。ここで食べるのは、ひと口で食べられて、お腹にたまりにくいものにします。

「朝ごはんを早めに、しっかり」。これが、わき腹の痛みと燃料切れの両方を防ぐ合言葉です!

10時キックオフの日の食べ方の例

体重35kgの小学校高学年の子の例です。炭水化物の量は日本食品標準成分表で計算しました。

時刻食べるもの炭水化物
6:30 朝ごはんごはん 茶碗大盛り1杯(200g)74.2g
焼き鮭(60g)・卵焼き(卵1個)・みそ汁―
バナナ 1本(100g)22.5g
7:00〜8:00水やお茶をコップ1杯ずつ、何回かに分けて―
8:30 会場でおなかがすいたら、みかん1個(100g)またはカステラ1切れ(50g)11.5g/30.9g
ハーフタイム水やスポーツドリンクを、ひと口ずつ―
試合のあとおにぎり 1個(100g)+牛乳39.4g

朝ごはんだけで炭水化物は約97g。35kgの子の目安35〜105gの中に入ります。朝ごはんを3時間半前に食べ終えておけば、キックオフのころにはお腹も落ち着いています。

  • ごはん
  • 鮭
  • 卵
  • バナナ

朝がもっと早い試合の日

9時キックオフで6時に食べるのが難しい日は、前の日の夕食でごはんをしっかり食べておきます。当日の朝は、のどを通りやすいおにぎりやうどんを、起きてすぐに。うどんはゆでたもの200gで炭水化物43.2g、食パン6枚切り1枚(60g)で27.8gです。

  • おにぎり
  • うどん
  • 食パン
  • カステラ

試合当日の時間ごとの食べ方は、試合当日の食事:何時間前に何を食べる?でも紹介しています。

飲み物は「濃い甘さ」に注意して、ひと口ずつ

わき腹の痛みに、いちばん関係が深いと言われているのが飲み物です。研究では、濃い甘い飲み物(体液より濃い飲み物。実験ではコーラなど)がいちばん痛みを起こしやすく、スポーツドリンクのような体液に近い濃さの飲み物は、水よりも痛みが出にくかったと報告されています(Morton & Callister 2015)。

飲み物わき腹の痛みとの関係(研究の結果)試合の日の使い方
濃い甘い飲み物(実験ではコーラ)いちばん痛みを起こしやすかった試合が終わってからのお楽しみに
スポーツドリンク水より痛みが出にくかった試合前・ハーフタイムに、ひと口ずつ
水・お茶―一度にたくさんではなく、こまめに

総説では、運動中は少しずつ、くり返し飲むほうが体になじみやすいこと、そして飲むことにも「慣れ」があり、練習でくり返すと上手に飲めるようになることも書かれています。

ふだんの練習から、「休憩のたびに、ひと口、ふた口」を習慣にしておきましょう。試合の日だけ急にたくさん飲むより、お腹がずっと楽になります。スポーツドリンクの選び方はスポーツドリンクの選び方と飲み方を見てください。

水筒は「一気飲み」より「ちょこちょこ飲み」。練習のときから、そのリズムで!

ハーフタイムの補給

ハーフタイムは、後半に向けて燃料を足す時間です。ここでも、一度にたくさん詰めこまないのがコツ。ゼリーやスポーツドリンクを数口、バナナなら2〜3切れが食べやすい形です。後半の補給についてはハーフタイムに何を食べる? 飲む?で詳しく紹介しています。

痛くなったときの手当て

総説では、約600人の経験者が実際にやっている方法が紹介されています。

方法やっている人の割合
深く呼吸をする40%
痛いところを手で押す31%
痛いところを伸ばす22%
前かがみになる18%

(出典:Morton & Callister 2015)

いちばん確実なのは、いったん動きをゆるめること。走るのをやめると、痛みはすぐにおさまっていきます。試合中なら、近くのコーチや審判に手で合図をして、プレーを一度ゆるめましょう。

お腹にボールや相手の体が強く当たったあとの痛みは、わき腹の痛みとは別のものです。そのときは、すぐにコーチや大人に伝えるよう、子どもと話しておきましょう。

体づくりでも防げる

総説では、食べ方のほかに、姿勢をよくすること、体幹をきたえること、体力をつけることで痛みが出にくくなるとも書かれています。ふだんからしっかり食べて、しっかり練習している子ほど、わき腹の痛みとうまくつきあえるようになります。

  • 牛乳
  • ヨーグルト
  • みかん
  • ブロッコリー

よくある質問

Q. 痛くなるのがいやで、朝ごはんを食べたがりません

朝ごはんを抜くと、後半に燃料が切れてしまいます。研究で痛みと関係があったのは食事の中身ではなく、直前の量です。食べる時刻を早めて、ごはんをしっかり食べれば大丈夫。どうしても朝早い日は、前の日の夕食をしっかり食べておきましょう。

Q. 何も食べていないのに痛くなりました

総説では、何時間も食べたり飲んだりしていなくても、痛みが出ることがあると書かれています。食べ方だけでなく、深い呼吸や体幹づくりも合わせてやっていきましょう。

Q. 右と左、どちらが痛くなりやすいの?

右側のほうが多く、多いと左の2倍と報告されています(Morton & Callister 2015)。

Q. 甘いジュースが好きで、試合の前も飲みたがります

コーラのような濃い甘い飲み物は試合の直前より、試合のあとや食事のときに向いています。試合前とハーフタイムは、水・お茶・スポーツドリンクにしましょう。「試合が終わったら、好きなジュースで乾杯しよう」と決めておくと、子どもも納得しやすくなります。

Q. 大会で1日2試合あるときは?

1試合目と2試合目の間が短いときは、大きなお弁当を一度に食べず、おにぎりやバナナを何回かに分けて食べます。大会の日のお弁当で、試合と試合の間の食べ方を紹介しています。

Q. 練習でもよく痛くなります

練習の直前におやつをたくさん食べていないか、見てみましょう。練習前の補食の時刻と量は練習前の補食:何時間前に、何を食べる?にまとめています。

子どもへの声かけ

  • 「朝ごはんは6時半。早めに食べて、お腹を軽くして試合に行こう」
  • 「水筒は、ひと口ずつ。休憩のたびに飲もうね」
  • 「ジュースは、試合が終わってからのごほうびね」
  • 「痛くなったら、深呼吸して、手で合図してね」
  • 「後半も走れたね! 朝ごはんを早く食べたおかげだね」

食べる時刻を前にずらして、飲み物はひと口ずつ。わき腹を気にせず、最後まで走りきりましょう!

まとめ

  • わき腹の痛み(ETAP)は、ランナーの約70%が1年に経験する、よくある痛み。若い人ほど多い
  • 痛みと関係があるのは、食べ物の中身ではなく、直前にお腹に入っている量
  • 大きな食事は、キックオフの3〜4時間前に。炭水化物は体重1kgあたり1〜3g
  • 1〜2時間前は、バナナやみかんなど、ひと口サイズの補食
  • 濃い甘い飲み物は試合のあとに。試合前・ハーフタイムは水やスポーツドリンクをひと口ずつ
  • 飲むことにも慣れがある。ふだんの練習から「こまめに飲む」を習慣に
  • 痛くなったら、深呼吸して、いったん動きをゆるめる

試合の朝に作りやすい料理はレシピ一覧から探せます。

出典:UEFA エリートサッカーの栄養に関する専門家声明(2021)、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(出典の一覧は「出典」のページを参照)

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