中学生に教える「ごはんと油は何のため?」:たんぱく質は知っている。糖質と脂質の働きを、食卓で3分の話

うちの子、「たんぱく質!」はよく言うのに、ごはんはおかわりしないし、揚げ物は「太るから」って残すんだよね……
知恵袋には、サッカーをしている中学生から「はじめてプロテインを飲みたい。体づくりにはどんな食事がいい?」という質問があります。別の質問では「サッカー選手は焼肉みたいなパワー系の食事がいいのか、サラダやチキンみたいな脂の少ないあっさりした食事がいいのか」と迷っています。
中学生になると、テレビや動画で「たんぱく質」という言葉を覚えてきます。ところが、中学生のサッカー選手55人を調べた報告では、たんぱく質の働きは約7割が知っていたのに、糖質と脂質の働きがわからない子が多いという結果でした。
- たんぱく質は、もう知っている
- 教えたいのは、ごはん(糖質)と油(脂質)の働き
- 食卓で、1日1つずつ3分で話す
中学生のサッカー選手55人を調べた報告
定期的にサッカーの練習をしている中学生の男子55人と、その保護者52人を対象にした報告があります(吉野)。体を測り、スマホやパソコンで使える栄養計算のアプリで食事を記録し、食べものへの興味や知識をアンケートで聞いています。
まず、体の平均です。
| 学年 | 身長 | 体重 | 体脂肪率 |
|---|---|---|---|
| 中1 | 152.3cm | 41.1kg | 14.1% |
| 中2 | 157.2cm | 46kg | 8.2% |
| 中3 | 165.6cm | 53.8kg | 7.5% |
(吉野 より。学年ごとの平均)
報告では、身長・体重ともに全国平均を下回っていて、「体を大きくすることを目指したほうがよい」とまとめています。
「たんぱく質」は知っている。「糖質・脂質」は知らない
アンケートで、栄養素の働きを問題にして答えてもらった結果がこちらです。
| 栄養素 | 結果 |
|---|---|
| たんぱく質 | 自分の理解度の評価に関わらず、約7割が正解 |
| 糖質・脂質 | 「よくわからない」と答えた子は、全員が不正解 |
| ビタミン・ミネラル | 「わかる」と答えた子で正解は約5割、「わからない」子は約8割が不正解 |
(吉野 より)
食べものや栄養への興味は「ある」が28.8%、「少しある」が51.9%でした。そして、希望する栄養サポートの1位は筋力アップ、2位は体力アップです。
つまり中学生は、「筋肉=たんぱく質」はもう知っていて、ここに関心があります。足りないのは、ごはんと油が何をしているかの知識です。

「たんぱく質は知ってる」ところから始めると、話がすっと入るね!
食べている量も見てみよう
報告では、1日に食べている量の平均も出ています。
| 項目 | 平均 | エネルギーの割合(計算) |
|---|---|---|
| エネルギー | 2,771.6kcal | ― |
| 炭水化物 | 387.4g | 約56% |
| たんぱく質 | 97.8g | 約14% |
| 脂質 | 85.0g | 約28% |
(吉野 より。割合は炭水化物・たんぱく質1gを4kcal、脂質1gを9kcalとしてこのサイトで計算)
脂質の割合は約28%(計算)です。国の食事摂取基準では、12〜14歳の脂質の目標量はエネルギーの20〜30%なので、平均はちょうどその中にあります。油は「悪者」ではなく、ちゃんと必要な量があるのです。
ただし報告では、ほとんどの子のエネルギーが適正な範囲から外れていて、主食・主菜・副菜が毎食そろっていたのは55人中わずか4人でした。3食食べていても、中身がそろっていない子が多かったのです。
3つの栄養素を、ひと言で
子どもに伝えるときは、むずかしい言葉は使わず、サッカーにたとえるとわかりやすくなります。
| 栄養素 | ひと言で | 多い食べもの |
|---|---|---|
| 糖質(炭水化物) | 走るためのガソリン。頭を動かす燃料にもなる | ごはん・パン・めん・バナナ・いも |
| 脂質(油) | 長く動くための燃料タンク。体の材料にもなる | 油・バター・ごま・肉の脂・卵・納豆 |
| たんぱく質 | 筋肉・骨・血をつくる材料 | 肉・魚・卵・大豆・牛乳 |
(このサイトのたとえ)
ポイントは、糖質と脂質がエネルギーになるから、たんぱく質が材料として使えるということです。燃料が足りないと、せっかく食べた肉や卵も、燃料のほうに回ってしまいます。
ごはん(糖質)は、走るためのガソリン
主食に入っている炭水化物の量を、成分表で計算してみました。
| 食べもの | エネルギー | 炭水化物 |
|---|---|---|
| ごはん 茶碗中(150g) | 234kcal | 55.7g |
| ごはん 茶碗大(200g) | 312kcal | 74.2g |
| おにぎり1個(100g) | 156kcal | 37.1g |
| 食パン6枚切り1枚(60g) | 149kcal | 27.8g |
| バナナ1本(可食部90g) | 84kcal | 20.3g |
(日本食品標準成分表より計算)
報告の平均387.4gの炭水化物を茶碗中のごはんだけでとるとすると、およそ7杯分になります(計算)。実際にはパン・めん・おかず・果物にも入っているので、毎食のごはんをしっかり1杯以上、練習の前後におにぎりやバナナ、という形で積み上げていきます。
ごはん
食パン
バナナ
油(脂質)は、長く動くための燃料タンク
油は1gで9kcal。ごはんやたんぱく質の2倍以上のエネルギーがあります。だから、少しの量で大きなエネルギーになります。
| 食べもの | エネルギー | 脂質 |
|---|---|---|
| サラダ油 小さじ1(4g) | 35kcal | 4.0g |
| バター 小さじ1(4g) | 28kcal | 3.2g |
| いりごま 小さじ1(3g) | 18kcal | 1.6g |
| 卵1個(可食部52.5g) | 75kcal | 5.4g |
| 納豆1パック(45g) | 83kcal | 4.5g |
| 牛乳コップ1杯(210g) | 128kcal | 8.0g |
(日本食品標準成分表より計算)
炒めものに使う小さじ1の油で、35kcal(計算)。食の細い子や、量がなかなか入らない子には、油を使った料理がエネルギーを足す強い味方になります。
「揚げ物は太る」と残す中学生には、「油は燃料タンク。体育やサッカーで使う分だよ」と伝えましょう。からあげやとんかつは、ふだんの日のおいしいおかずです。試合の日の油の考え方は、試合の日のからあげの記事にまとめています。
サラダ油
バター
いりごま
卵
たんぱく質は、材料。もう知っている
たんぱく質の多い食べものも、比べてみましょう。
| 食べもの | エネルギー | たんぱく質 | 脂質 |
|---|---|---|---|
| 豚もも肉(脂身つき)100g | 171kcal | 20.5g | 10.2g |
| 卵1個(可食部52.5g) | 75kcal | 6.4g | 5.4g |
| 納豆1パック(45g) | 83kcal | 7.4g | 4.5g |
| 牛乳コップ1杯(210g) | 128kcal | 6.9g | 8.0g |
(日本食品標準成分表より計算)
肉・卵・納豆・牛乳には、たんぱく質と一緒に脂質も入っています。「たんぱく質がとれる食べもの」は、燃料も一緒に運んでくれる食べものでもあります。
報告の平均のたんぱく質は97.8gでした。プロテインを足さなくても、ふだんの食事でしっかりとれています。プロテインについては子どもにプロテインは必要?の記事で詳しく紹介しています。
豚もも肉
納豆
牛乳
食卓で3分。1日1つの話
中学生は、長いお説教は聞きません。夕ごはんのときに、目の前のおかずを指さして、1日1つだけ話します。
| 曜日 | 夕ごはん | 3分の話 |
|---|---|---|
| 月 | 豚のしょうが焼き・ごはん | 「ごはんはガソリン。今日の練習で使った分を入れよう」 |
| 火 | 鮭のバター焼き・ごはん | 「バターは燃料タンク。小さじ1で28kcal」 |
| 水 | 親子丼 | 「卵は材料と燃料、両方入ってる」 |
| 木 | 野菜炒め・納豆ごはん | 「油で炒めると、野菜もエネルギーになるよ」 |
| 金 | カレーライス | 「ルウの油もごはんも、明日の練習のガソリン」 |
| 土 | からあげ・ごはん | 「からあげは、燃料と材料のセット」 |
| 日 | 手巻き寿司 | 「今週の話、どれを覚えてる?」 |
(このサイトの例)
日曜日は、クイズにすると盛り上がります。「ごはんは何の役?」「油は?」と聞いて、子どもが答えられたら合格です。
主食・主菜・副菜を「そろえる」練習
報告では、毎食そろっていたのは55人中4人でした。栄養素の働きがわかると、そろえる理由もわかります。
| そろえるもの | 主な栄養素 | 役割 |
|---|---|---|
| 主食(ごはん・パン・めん) | 糖質 | ガソリン |
| 主菜(肉・魚・卵・大豆) | たんぱく質・脂質 | 材料と燃料タンク |
| 副菜(野菜・きのこ・海そう) | ビタミン・ミネラル | エンジンを回す点火プラグ |
| 牛乳・乳製品 | カルシウム・たんぱく質 | 骨の材料 |
| 果物 | 糖質・ビタミン | ガソリンと点火プラグ |
(このサイトのたとえ)
そろえ方の基本は、毎日の食事の基本の記事で紹介しています。
食事の記録は「3日」でいい
報告では、アプリで食事を記録し、1日以上は全員が、3日分は約7割の子が提出しました。家でも、スマホで写真を撮るだけで記録になります。
- 3日だけ、夕ごはんの写真を撮る
- 写真を見て、ガソリン(主食)・材料(主菜)・点火プラグ(副菜)を指さす
- 足りなかったものを、次の日に1つ足す
数字を細かく計算しなくても、「今日はガソリンをもっと入れたかったね、明日はおかわりしよう」と親子で話せれば十分です。
栄養成分表示も、親子で一緒に
報告では、お店で栄養成分表示を「よく活用する」のは子ども7.7%、親7.5%で、親子でほぼ同じでした。コンビニで補食を買うとき、子どもと一緒に袋の裏を見てみましょう。「炭水化物」がガソリン、「脂質」が燃料タンク、「たんぱく質」が材料です。見方は市販の補食の記事にまとめています。

よくある質問
Q. 子どもが「ごはんは太る」と言って、おかわりしません。
A. 報告では、中学生の体重・身長は全国平均を下回っていて、体を大きくすることが目標でした。「ごはんは走るガソリン。サッカーで全部使うよ」と伝えて、茶碗を中から大に変えると、+78kcalです(計算)。
Q. 揚げ物や油は、なるべくやめたほうがいい?
A. 報告の平均の脂質は約28%(計算)で、食事摂取基準の目標量20〜30%の中でした。油は燃料タンクです。ふだんの日は、揚げ物も炒めものも、おいしく食べましょう。
Q. 糖質と炭水化物は、ちがうもの?
A. 炭水化物は、糖質と食物繊維を合わせたものです。子どもには「ごはん・パン・めんがガソリン」と伝えれば大丈夫です。
Q. 筋肉をつけたいなら、たんぱく質を一番に増やす?
A. 報告の平均のたんぱく質は97.8gで、すでにしっかりとれていました。まずはガソリンのごはんを満タンにすると、たんぱく質が材料として使えます。高校生の例はごはんをもう1杯の記事へ。
Q. どれくらい食べればいいの?
A. 学年別の目安は食事の量の目安の記事で紹介しています。
子どもへの声かけ
- 「たんぱく質は材料。ごはんはガソリン。両方そろって走れるよ」
- 「油は燃料タンク。後半まで動ける体にしよう」
- 「今日のからあげは、燃料と材料のセットだね」
- 「ごはん、茶碗大にしておいたよ」
- 「この3つの役、言えたらデザートね」
- 「今日の写真、ガソリンはどれかな?」

ガソリン・燃料タンク・材料。3つの役がわかったら、もう食べ方の名人!
まとめ
- 中学生のサッカー選手55人の報告では、たんぱく質の働きは約7割が知っていたが、糖質・脂質の働きがわからない子が多かった
- 希望する栄養サポートは1位が筋力アップ、2位が体力アップ。たんぱく質への関心から話を始める
- 平均の脂質は約28%(計算)で、食事摂取基準の目標量20〜30%の中。油は燃料タンク
- 主食・主菜・副菜が毎食そろっていたのは55人中4人。役割がわかると、そろえる理由もわかる
- 夕ごはんのときに、1日1つ、3分の話から
出典
- 吉野佳織. 中学生男子(サッカー選手)の食生活状況と食意識について. 日本スポーツ栄養研究誌. vol.10 抄録 03-16-2. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsn/10/1/10_91/_article/-char/ja
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
- 文部科学省「日本食品標準成分表」
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(出典の一覧は「出典」のページを参照)
