牛乳でお腹がゴロゴロする子のサッカーごはん:乳糖の量で選ぶ、ヨーグルト・チーズ・飲む時刻の工夫でカルシウムをしっかりとる

練習のあとに牛乳をゴクゴク……のはずが、うちの子は飲むとお腹がゴロゴロ。骨のために牛乳を飲ませたいのに、どうしよう?
知恵袋には、「骨を太くしたいけれど、牛乳を飲むとお腹が痛くなる。サッカーを毎日していた」という質問があります。ほかにも、サッカーをしている中学生の「最近よくお腹をこわす。牛乳のアレルギー?」という質問や、「牛乳でお腹をこわしやすいので、サッカーの前後に飲むものを変えたい」という質問が出ています。
牛乳でお腹がゴロゴロするのは、多くの場合、牛乳に入っている乳糖(にゅうとう)という糖が原因です。ここがわかると、やることはとてもシンプルになります。
- 乳糖がほとんどないチーズ、乳糖の消化を助ける菌が入ったヨーグルトで、乳製品のカルシウムをしっかりとる
- 牛乳は1回に飲む量を分けて、1日の乳糖の合計で考える
- 試合や練習の直前は牛乳を避け、運動のあとや夕ごはんにまわす
お腹がゴロゴロするのは「乳糖」のせい
MSDマニュアル家庭版では、乳糖不耐症を「消化酵素のラクターゼの欠乏により乳糖が消化できない状態」と説明しています。
| 項目 | MSDマニュアル家庭版の説明(要約) |
|---|---|
| 起こること | 下痢、腹部のけいれん痛 |
| 出るまでの時間 | 乳糖を含む食事のあと30分から2時間で、急な便意 |
| どれくらいで出るか | 大人では、ふつう250〜375ml以上の牛乳を飲んだとき |
| 牛乳アレルギーとのちがい | 牛乳アレルギーは免疫の反応で、乳糖不耐症とは別のもの |
(MSDマニュアル家庭版「乳糖不耐症」より)
ここで大事なのは、牛乳アレルギーとは別ものだということです。牛乳アレルギーの子は、乳の成分そのものを食べられません。乳糖不耐症は、乳糖の量しだい。乳糖がほとんど入っていない乳製品なら、おいしく食べられます。牛乳アレルギーの子のごはんは、牛乳アレルギーの子のサッカーごはんの記事で紹介しています。
国際酪農連盟(IDF)のファクトシートでは、乳糖不耐症の人が1日15gをこえて乳糖をとると症状が出る可能性があるとされています。目安は「1日の乳糖の合計」です。

カギは「乳糖の量」! 乳糖がほとんどない乳製品なら、カルシウムはしっかりとれるよ!
乳製品の「乳糖」をくらべてみよう
日本食品標準成分表には、食品ごとの乳糖の量がのっています。カルシウムといっしょに見てみましょう。
| 食品 | 量 | 乳糖 | カルシウム |
|---|---|---|---|
| 牛乳 | コップ1杯 200g | 約8.8g | 約220mg |
| 牛乳 | コップ半分 100g | 約4.4g | 約110mg |
| ヨーグルト(無糖) | 100g | 約2.9g | 約120mg |
| プロセスチーズ | 20g | 0g | 約126mg |
| チェダーチーズ | 20g | 約0.02g | 約148mg |
(日本食品標準成分表の100gあたりの値から計算)
プロセスチーズは乳糖が0g。それでいて、20gでカルシウムが約126mg、牛乳コップ半分より多いくらいです。IDFのファクトシートでも、チーズを作るときに牛乳の乳糖のほとんどがホエイ(乳清)といっしょに取りのぞかれると説明されています。MSDマニュアル家庭版にも、チーズの乳糖は牛乳とくらべてわずかで、多くの場合は食べられるとあります。
ヨーグルトはどうでしょう。IDFのファクトシートによると、ヨーグルトを作る菌は乳糖を分解する酵素(βガラクトシダーゼ)を作り、この酵素が食べたあとも働いて、乳糖の消化を助けます。MSDマニュアル家庭版にも、ヨーグルトは多くの場合食べられるとあります。
プロセスチーズ
チェダーチーズ
ヨーグルト
牛乳
1日の組み合わせ例:乳糖はほどほど、カルシウムはたっぷり
同じ「乳製品」でも、組み合わせを変えると、乳糖の合計がぐっと変わります。
| 組み合わせ | 乳糖の合計 | カルシウムの合計 |
|---|---|---|
| 牛乳コップ2杯(400g) | 約17.6g | 約440mg |
| 牛乳コップ1杯(200g)+プロセスチーズ20g+ヨーグルト100g | 約11.7g | 約466mg |
| 牛乳コップ半分(100g)+プロセスチーズ20g+ヨーグルト100g | 約7.3g | 約356mg |
(日本食品標準成分表の100gあたりの値から計算)
牛乳コップ2杯だと、乳糖はIDFの「1日15g」をこえます。ところが、牛乳1杯をチーズとヨーグルトに置きかえると、乳糖は約11.7gに、カルシウムは約466mgに。牛乳2杯よりカルシウムが多くなります。
| 時間帯 | おすすめの乳製品 |
|---|---|
| 朝ごはん | チーズトースト、オムレツにチーズ |
| お弁当・補食 | 個包装のプロセスチーズ |
| 練習のあと | ヨーグルト+バナナ |
| 夕ごはん | 牛乳コップ半分、グラタンやシチューにチーズ |
チーズとヨーグルトのくわしい食べ方は、チーズは毎日食べていい?の記事とヨーグルトは毎日食べていい?の記事で紹介しています。

試合の日は「牛乳はあとで」
MSDマニュアル家庭版では、乳糖を含む食事のあと30分から2時間で急な便意が出ることがあるとされています。ちょうど、試合前の補食を食べる時間帯と重なります。
そこで、牛乳でお腹がゴロゴロする子は、試合の日は次の順番にしましょう。
| タイミング | 食べるもの |
|---|---|
| 朝ごはん | ごはん・卵・みそ汁。乳製品はチーズで |
| 試合の2〜3時間前 | おにぎり・バナナ・うどん |
| ハーフタイム | 水・お茶・スポーツドリンク |
| 試合のあと | ヨーグルト、チーズ、おにぎり |
| 夕ごはん | 牛乳、シチュー、主食・主菜・副菜のそろった献立 |
牛乳は、試合が終わって家に帰ってからの「ごほうびの1杯」に。お腹を気にせずに試合に集中できます。試合当日の時間の組み方は、試合当日の食事:何時間前に何を食べる?の記事で紹介しています。

試合の前はチーズとおにぎり! 牛乳は帰ってからのお楽しみにしよう!
牛乳以外のカルシウムも、毎日のおかずに
乳製品にくわえて、ふだんのおかずからもカルシウムがとれます。
| 食品 | 量 | カルシウム |
|---|---|---|
| 煮干し | 5g | 約110mg |
| こまつな(生) | 70g | 約119mg |
| 木綿豆腐 | 100g | 約93mg |
| しらす干し | 10g | 約28mg |
| 豆乳 | 200g | 約30mg |
(日本食品標準成分表の100gあたりの値から計算)
知恵袋の回答にも「小魚」「ヨーグルト」がありました。煮干し5gで約110mg、牛乳コップ半分と同じくらいです。みそ汁のだしに使った煮干しをそのまま食べたり、ふりかけにしたりすると、手軽にとれます。こまつなは、みそ汁やおひたしで。
豆乳は乳糖が0gですが、カルシウムは200gで約30mg。牛乳コップ1杯の約220mgとはずいぶん差があります。豆乳を飲むなら、カルシウムはチーズや小魚、こまつなでたっぷり足しましょう。乳製品以外でのカルシウムのとり方は、牛乳が嫌いな子も安心!牛乳以外でカルシウムをとる記事でくわしく紹介しています。
煮干し
こまつな
木綿豆腐
しらす干し
豆乳
乳糖を分解した牛乳もある
IDFのファクトシートでは、乳糖を分解して「乳糖フリー」(乳糖0.1%未満)にした乳製品が作られていると説明されています。MSDマニュアル家庭版にも、乳糖を抑えた牛乳などの製品が多くのスーパーで手に入るとあります。
牛乳の味が大好きな子は、こうした牛乳をえらぶと、コップ1杯をゴクゴク飲めます。スーパーの牛乳売り場で、パッケージに「乳糖」と書かれたものを探してみましょう。
よくある質問
Q. 牛乳アレルギーなのか、乳糖のせいなのか、わかりません。
A. MSDマニュアル家庭版では、牛乳アレルギーは免疫の反応で、乳糖不耐症とは別のものとされています。アレルギーの判定は正確さが大事なので、小児科で受けましょう。お腹のゴロゴロだけなら、まずはチーズとヨーグルトに置きかえて、様子を見てみましょう。
Q. 給食の牛乳はどうしたらいい?
A. 給食の牛乳が200gなら、乳糖は約8.8gです。その日の朝と夕ごはんの乳製品をチーズやヨーグルトにすると、1日の合計がIDFの15gをこえません。
Q. 牛乳の味が好きで、たくさん飲みたがります。
A. 1日の乳糖の合計で考えましょう。朝・夕ごはんにコップ半分ずつ(合わせて乳糖約8.8g)にして、ほかの乳製品をチーズにすれば、IDFの15gをこえません。乳糖を抑えた牛乳なら、コップ1杯をそのまま楽しめます。
Q. シチューやグラタンの牛乳も気にしたほうがいい?
A. 料理に使う牛乳は、家族で分けるので1人分はぐっと小さくなります。たとえば4人分のシチューに牛乳200gを使うと、1人分は50g、乳糖は約2.2gです。チーズをのせたグラタンやシチューは、カルシウムもとれる冬の練習の日のおすすめメニュー。具に鶏肉やじゃがいも、にんじん、ブロッコリーを入れると、主菜と副菜がいっぺんにそろいます。
Q. 練習のあとの補食は何がいい?
A. ヨーグルト+バナナ、チーズ+おにぎりがおすすめです。どちらも、エネルギーとたんぱく質、カルシウムがいっしょにとれます。
Q. カルシウムのサプリメントは必要?
A. 必要ありません。チーズ20gで約126mg、ヨーグルト100gで約120mg、煮干し5gで約110mg。食事でしっかりとれます。骨づくりのくわしい話は、成長期の骨づくりの記事へ。
子どもへの声かけ
- 「お腹がゴロゴロするのは乳糖のせい。チーズなら乳糖ゼロだよ」
- 「ヨーグルトの菌が、乳糖を分解するのを手伝ってくれるんだって」
- 「試合の前はおにぎりとチーズ。牛乳は帰ってからね」
- 「煮干しをポリポリ。牛乳コップ半分と同じカルシウム!」
- 「骨はちゃんと育つよ。食べ方を変えるだけ」
- 「シチューやグラタンなら、牛乳もチーズもいっしょに食べられるね」
- 「練習のあとは、ヨーグルトにバナナをのせて、がんばった体にごほうび」
まとめ
- 牛乳でお腹がゴロゴロするのは、多くの場合、乳糖が消化しきれないため。牛乳アレルギーとは別もの
- IDFのファクトシートでは、乳糖不耐症の人は1日15gをこえると症状が出る可能性
- 牛乳200gの乳糖は約8.8g。プロセスチーズは0g、ヨーグルト100gは約2.9g
- 牛乳1杯+チーズ20g+ヨーグルト100gで、乳糖約11.7g、カルシウム約466mg。牛乳2杯よりカルシウムが多い
- 試合の日は、牛乳を試合のあとや夕ごはんにまわす(食後30分から2時間で便意が出ることがあるため)
- 煮干し・こまつな・豆腐でもカルシウムを足す。乳糖を分解した牛乳もスーパーで手に入る
出典
- MSDマニュアル家庭版「乳糖不耐症」(執筆 Zubair Malik, MD、2025年3月、最終更新2025年4月) https://www.msdmanuals.com/ja-jp/home/03-消化器系の病気/吸収不良/乳糖不耐症
- IDFファクトシート 010/2019「乳糖:その技術的側面と利用」(Jミルク訳) https://www.j-milk.jp/jidf/wp-content/uploads/2020/07/J-Factsheet-010_2019-Lactose.pdf
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」および炭水化物成分表 普通牛乳 13003・ヨーグルト 全脂無糖 13025・プロセスチーズ 13040・チェダー 13037・木綿豆腐 04032・こまつな 生 06086・しらす干し 微乾燥品 10055・かたくちいわし 煮干し 10045・豆乳 04052
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(出典の一覧は「出典」のページを参照)
