胃腸炎のあと、いつから普通のごはん? 吐いた・下痢をしたサッカー少年の水分のとり方と、練習に戻るまでの食べ方

「夜中に吐いて、朝から下痢……。週末は試合なのに、何を食べさせればいいの?」「野菜ばかり食べて、ごはんが進まない」。おなかの風邪のあとは、親も心配になりますよね。
知恵袋には、こんな質問が寄せられています。
- 小学3年生の息子が、日曜の朝から食欲がなく、午後に熱。小児科で急性胃腸炎と言われた。水分はとれるけれど、水曜になっても野菜しか食べない。何日で治るの?
- 2週間ほど前に胃腸炎にかかり、少しずつ食べ始めた。部活にはいつ戻れる?
- 胃腸炎のあと、スポーツをしている体で何を食べればいい?
最初の質問についた回答には、「おかゆやうどんなど、やわらかいものを」「野菜だけだと燃料が足りないので、炭水化物を」という声がありました。
この記事では、国立成育医療研究センターの小児科の先生の解説をもとに、吐いた・下痢をしたときの水分のとり方、普通のごはんに戻すタイミング、そして練習に戻るまでの食べ方を、量と献立で紹介します。
まずは水分:経口補水液を「ひと口ずつ」
吐いたり下痢をしたりすると、体から水分と塩分が出ていきます。最初にやるのは、経口補水液での水分補給です。
| 段階 | 飲み方(メディカルノートの解説) |
|---|---|
| 飲み始め | ティースプーン1杯(5ml)を、5分に1回くらい。ペットボトルのふたでもよい |
| 吐かずに飲めたら | 1回の量をふやすか、間隔を短くして、だんだん量をふやす |
| 最初の3〜4時間の目安 | 体重1kgあたり50〜100ml |
| そのあと | 嘔吐や下痢のたびに、体重10kg以上の子は120〜240mlを追加 |
体重1kgあたり50〜100mlを、サッカーをする子の体重にあてはめると、こうなります。
| 体重 | 最初の3〜4時間に飲む量の目安 |
|---|---|
| 25kg | 1,250〜2,500ml |
| 30kg | 1,500〜3,000ml |
| 40kg | 2,000〜4,000ml |
(体重1kgあたり50〜100mlで計算)

コツは「ひと口ずつ、何度も」。いっぺんにゴクゴク飲むより、ティースプーン1杯から始めるほうが、おなかに収まります!
嘔吐・下痢のたびに足す量
最初の3〜4時間が過ぎたあとも、吐いたり下痢をしたりしたら、そのたびに飲む量を足します。体重10kg以上の子は1回120〜240mlです(メディカルノート)。小学生のサッカー選手はみんなこちらに入ります。
| 出た回数 | 足す量の目安(体重10kg以上) |
|---|---|
| 1回 | 120〜240ml |
| 2回 | 240〜480ml |
| 3回 | 360〜720ml |
(1回120〜240mlで計算)
コップに目盛りを書いておくか、計量カップで量ると、家族のだれが看病しても同じ量を飲ませられます。何時に何ml飲んだか、冷蔵庫のメモに書いておくのもおすすめです。
ミルクは薄めずに
解説では、赤ちゃんのミルクも、むかしは薄めて飲ませる方法がすすめられていましたが、薄めると回復が遅れ、栄養も足りなくなることがわかり、薄めずに飲める量を飲ませるようになったと書かれています。下にきょうだいがいる家は覚えておくと安心です。「薄めて・少しずつ」より「いつもの濃さで、飲める分を」が、いまの考え方です。

補水が済んだら、普段の食事へ
ここがいちばん大事なところです。解説では、補水が済んだら普段どおりの食事をしてかまわないとされています。さらに、症状がよくなったら、少しずつ硬くしていくのではなく、速やかに普段の食事に戻すことが栄養の面で大切とされています。
「何日もおかゆだけ」にしなくていい、ということです。サッカーをする子は、ふだんからたくさんエネルギーを使っています。早く普段のごはんに戻すほど、体も早く元気になります。
食べ始めにおすすめされているのは、こんなものです。
- おかゆ、よく煮たうどん
- 半熟卵(かたゆでより消化がよい)
- すりおろしたりんご
- 煮る・蒸すでやわらかくした料理を、食べやすい大きさに
焼く・炒める・揚げる料理は消化が悪くなるので、食べ始めは煮物・蒸し物を中心にします(メディカルノート)。
おかゆ
うどん
卵
りんご
豆腐
鶏むね肉
食べ始めの1品は、どれくらいの燃料になる?
質問の子のように「野菜しか食べない」と、走る燃料の炭水化物が足りません。食べ始めの料理の中身をくらべました。
| 食べ物(量) | エネルギー | 炭水化物 | たんぱく質 |
|---|---|---|---|
| 全がゆ(200g・茶わん1杯分) | 130kcal | 31.6g | 2.2g |
| うどん ゆで(200g) | 190kcal | 41.4g | 5.2g |
| ごはん(150g) | 234kcal | 54.1g | 3.8g |
| バナナ(100g) | 93kcal | 21.1g | 1.1g |
| りんご 皮なし(100g) | 53kcal | 13.0g | 0.1g |
| 卵(1個50g) | 71kcal | 0.2g | 6.1g |
| 木綿豆腐(100g) | 73kcal | 0.9g | 7.0g |
| 鶏むね肉 皮なし(60g) | 63kcal | 0.1g | 14.0g |
(日本食品標準成分表。炭水化物は利用可能炭水化物)
全がゆは水分が多いので、200gでも炭水化物は31.6g。同じ200gでも、ゆでうどんなら41.4g、ごはん150gなら54.1gです。おかゆが食べられたら、次はうどん、その次はごはんと、燃料の多いものへ早めに進めましょう。

おかゆは食べやすいけれど、水分が多いぶん燃料は軽め。卵や豆腐をのせると、たんぱく質も一緒にとれますよ。
1日の燃料を、食べ始めの料理で組み立てる
普段のごはんに戻す日に、どれくらいの炭水化物がとれるかを、表の数字で足してみました。
| 食事 | 中身 | 炭水化物 |
|---|---|---|
| 朝 | 全がゆ200g+バナナ100g | 52.7g |
| 昼 | 卵とじうどん(ゆでうどん200g+卵1個) | 41.6g |
| 補食 | すりおろしりんご100g | 13.0g |
| 夜 | ごはん150g+鶏むね肉のやわらか煮 | 54.2g |
| 合計 | 161.5g |
(日本食品標準成分表で計算)
おかゆの朝にバナナを1本足すだけで、炭水化物は31.6gから52.7gになります。食べられる量がまだ戻らない日も、「おかゆ+果物」「うどん+卵」のように、2つを組み合わせると燃料と体の材料がそろいます。
家の買い置きリスト
夜中に吐いたとき、すぐ用意できるように、ふだんから台所にそろえておくと安心です。
- 経口補水液(ペットボトル)とティースプーン
- 冷凍うどん(よく煮るだけで食べ始めの1品に)
- 卵・豆腐(おかゆやうどんにのせて、たんぱく質を)
- りんご・バナナ(すりおろし・そのまま)
- 冷凍ごはん(おかゆにも雑炊にもなる)
冷凍の買い置きの段取りは、忙しい週も回るサッカーごはんでも紹介しています。
普通のごはんに戻るまでの献立例
「補水が済んだら普段の食事へ」をもとに、食べ始めから練習に戻るまでの流れを献立にしました。
| 段階 | 朝 | 昼 | 夜 |
|---|---|---|---|
| 吐き気がおさまった日 | 経口補水液をひと口ずつ | 経口補水液、すりおろしりんご | 全がゆ+半熟卵 |
| 食べ始めた日 | 全がゆ+豆腐のみそ汁 | 煮込みうどん(卵とじ) | やわらかいごはん+鶏むね肉と大根の煮物 |
| 普段のごはんに戻す日 | ごはん+卵焼き+みそ汁+バナナ | おにぎり+具だくさん汁 | ごはん+鶏むね肉の蒸し物+煮た野菜+ヨーグルト |
| 練習に戻る日 | いつもの朝ごはん | いつもの昼ごはん | いつもの夕ごはん+補食 |
食べ始めの3品
- 卵とじうどん:ゆでうどん200gをだしで煮て、卵1個でとじる。炭水化物41.6g・たんぱく質11.3g
- 豆腐と卵の雑炊:全がゆ200gに木綿豆腐50gと卵1個。たんぱく質は11.8g
- 鶏むね肉のやわらか煮:鶏むね肉60gをそぎ切りにして、大根と一緒にだしで煮る。たんぱく質14.0g
数字は日本食品標準成分表で、それぞれの材料を足したものです。
練習に戻るときの補食
食事が普段どおりに戻ったら、練習にも戻っていきます。休んでいた分、練習前の補食で燃料を入れておきましょう。
| 補食 | 炭水化物 |
|---|---|
| バナナ1本(100g) | 21.1g |
| おにぎり1個(ごはん100g) | 36.1g |
| おにぎり1個+バナナ1本 | 57.2g |
(日本食品標準成分表)
練習前の補食の選び方は練習前の補食、水分のとり方はスポーツドリンクの選び方と飲み方で紹介しています。
よくある質問
Q. 野菜しか食べたがりません
野菜はやさしい味で食べやすいのですが、燃料の炭水化物はほとんど入っていません。野菜を入れた煮込みうどんや雑炊にすると、野菜と一緒に炭水化物もとれます。
Q. スポーツドリンクではだめ?
吐いた・下痢をしたときに使う飲み物として、解説で紹介されているのは経口補水液です。体調が戻って練習に出る日は、スポーツドリンクの選び方と飲み方を参考にしてください。
Q. 何日おかゆを続ければいい?
解説では、補水が済んだら普段の食事に、症状がよくなったら速やかに普段の食事に戻すとされています。おかゆを何日も続ける必要はありません。食べられたら、うどん、ごはんへと進めましょう。
Q. 卵は、かたゆでと半熟のどちらがいい?
解説では、半熟卵のほうが、かたゆでの卵より消化がよいとされています。おかゆにのせる、うどんに落としてとじる、ふわっとした卵とじにするなど、とろりと仕上げる料理が食べ始めに向いています。卵1個(50g)で、たんぱく質は6.1gとれます。
Q. 揚げ物や焼き肉はいつから?
焼く・炒める・揚げる料理は消化が悪くなると解説されています。食べ始めは煮る・蒸す料理にして、普段のごはんが食べられるようになったら、いつものおかずに戻していきましょう。鶏むね肉は、蒸しても煮てもやわらかく仕上がり、60gでたんぱく質14.0gとれるので、つなぎのおかずにぴったりです。
Q. 熱が出る風邪のときの食事は?
熱が下がったあとの食べ方は、風邪をひきやすい冬のサッカーごはんにまとめています。
Q. 食欲が戻らない日が続きます
食が進まない日の工夫は、食が進まない日にの記事を参考にしてください。
子どもへの声かけ
- 「スプーン1杯ずつ飲もうね。ゆっくりで大丈夫」
- 「おかゆ食べられたね! 次はうどんにしてみる?」
- 「卵をのせると、体の材料もとれるよ」
- 「ごはんが食べられたら、もうすぐボールが蹴れるね」
- 「練習の前に、バナナを1本食べていこう」
- 「きょうは何ml飲めたか、冷蔵庫のメモに一緒に書こう」
- 「卵とじうどん、おいしくできたよ。ゆっくり食べてね」

おなかが元気になったら、ごはんもいつもどおり。しっかり食べて、またグラウンドで走ろう!
まとめ
- 吐いた・下痢をしたら、まずは経口補水液。ティースプーン1杯(5ml)を5分に1回から、最初の3〜4時間で体重1kgあたり50〜100ml(メディカルノート)
- 補水が済んだら普段の食事に。少しずつ硬くするより、速やかに普段の食事に戻すのが栄養の面で大切
- 食べ始めはおかゆ・よく煮たうどん・半熟卵・すりおろしりんご。煮る・蒸す料理を中心に
- 全がゆ200gは炭水化物31.6g、ゆでうどん200gは41.4g、ごはん150gは54.1g。燃料の多いものへ早めに進める
- 練習に戻る日は、おにぎりとバナナで補食をしっかり
体にやさしい煮込み料理はレシピ一覧から探せます。
出典
- メディカルノート「子どもの胃腸炎—家庭でのケア」(監修:国立成育医療研究センター 吉村聡、窪田満)https://medicalnote.jp/contents/160125-032-DF
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(出典の一覧は「出典」のページを参照)
