背を伸ばしたい子と亜鉛:成長期に1日どれくらい? 牛肉・かき・納豆でとる量と、サプリの前に見直す献立

「背を伸ばすには亜鉛がいいって聞いたけど、うちの子、足りてるのかな?」
知恵袋には、サッカーを週2回している11歳の男の子の保護者から「血液検査で鉄と亜鉛が低めと言われた。牛乳を1日2〜3杯、卵を1日2個、肉も魚も食べている。子ども向けのサプリを足したほうがいい? 食事を変えたほうがいい?」という質問があります。高校1年で寮生活のサッカー部員からは「身長が低いのが悩み。亜鉛をサプリでとるか、食べ物でとるか迷っている」という声も。「亜鉛 身長 サッカー」で知恵袋を探すと、150件近い質問が出てきます。
この記事では、成長期の子が1日にとりたい亜鉛の量と、ふだんの料理で、それがどれくらいとれるかを、食事摂取基準と食品成分表の数字でまとめます。先に答えを書くと、主菜に牛肉・豚肉・卵・納豆が1日にしっかり入っていれば、推奨量は食事で届きます。
亜鉛は「体をつくる」ミネラル
健康長寿ネット(長寿科学振興財団)は、亜鉛のはたらきをこう説明しています。
- 数百種類の酵素(体の中で反応を進めるたんぱく質)の材料になる
- アミノ酸からたんぱく質をつくり直すこと、DNAをつくることに必要
- 味を感じる「味蕾(みらい)」の細胞に欠かせない
足りない状態が続くと、たんぱく質やDNAがうまくつくれず、成長が遅れること、味がわかりにくくなること、皮膚の炎症や、免疫のはたらきが落ちることなどが起こる、とも書かれています。
成長期の子は、骨も筋肉も毎日つくり足している最中です。食べたたんぱく質を体の材料に変える場面で、亜鉛が働いています。

亜鉛は「背を伸ばす薬」ではなく、「体をつくる工場の道具」。たんぱく質とセットで考えると、わかりやすいですよ!
1日の目安:小学生で5〜8mg、中学生で8.5mg
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」は、亜鉛の推奨量(ほとんどの人が足りる量)を、年齢と性別ごとに決めています。
| 年齢 | 男の子 推奨量 | 女の子 推奨量 |
|---|---|---|
| 6〜7歳 | 5.0mg | 4.5mg |
| 8〜9歳 | 5.5mg | 5.5mg |
| 10〜11歳 | 8.0mg | 7.5mg |
| 12〜14歳 | 8.5mg | 8.5mg |
| 15〜17歳 | 10.0mg | 8.0mg |
(日本人の食事摂取基準(2025年版)亜鉛の食事摂取基準 p346)
10〜11歳で、必要な量がぐっと増えます。男の子は8〜9歳の5.5mgから8.0mgへ。ちょうど体が大きくなり始める時期です。高校生の男の子は10.0mgで、大人の男性(18〜29歳 9.0mg)より多い値です。
食品で見る亜鉛の量
亜鉛が多いのは、肉(とくに牛肉)・貝(かき・あさり)・卵・大豆・チーズです。1回に食べる量でくらべると、こうなります。
| 食品 | 1回の量 | 亜鉛 | たんぱく質 |
|---|---|---|---|
| かき(養殖・生) | 60g | 8.4mg | 4.1g |
| 牛ひき肉 | 80g | 4.2mg | 13.7g |
| 牛かた肉 | 80g | 3.6mg | 13.7g |
| 豚ひき肉 | 80g | 2.2mg | 14.2g |
| 豚もも肉 | 80g | 1.7mg | 17.2g |
| 鶏もも肉(皮つき) | 80g | 1.3mg | 13.3g |
| あさり 水煮缶 | 30g | 1.0mg | 6.1g |
| 納豆 | 1パック 40g | 0.8mg | 6.6g |
| 卵 | 1個 50g | 0.6mg | 6.1g |
| プロセスチーズ | 20g | 0.6mg | 4.5g |
| 牛乳 | 200g | 0.8mg | 6.6g |
| ごはん | 200g | 1.2mg | 5.0g |
(日本食品標準成分表から計算。100gあたりの亜鉛:かき 14.0mg・牛ひき肉 5.2mg・牛かた 4.5mg・豚ひき肉 2.8mg・豚もも 2.1mg・鶏もも 1.6mg・あさり水煮缶 3.4mg・納豆 1.9mg・卵 1.1mg・プロセスチーズ 3.2mg・牛乳 0.4mg・ごはん 0.6mg)
かきは、60gで10〜11歳の男の子の1日分(8.0mg)をこえます。ふだんのおかずでいちばん頼りになるのは牛肉で、ひき肉80gで4.2mg。ハンバーグや牛丼1食で、1日の半分です。
ごはんも見落とせません。1つ1つの数字は小さく見えても、1食200gを3食しっかり食べると、ごはんだけで1日3.6mgになります。
牛ひき肉
牛かた肉
かき
あさり水煮缶
納豆
卵
プロセスチーズ
ごはん
1日の献立で数えてみる
10〜11歳の男の子(推奨量8.0mg)の、練習がある日の家の食事で数えてみます。学校の給食は入れていません。
| 食事 | 献立と量 | 亜鉛 |
|---|---|---|
| 朝ごはん | ごはん 200g・納豆 40g・卵焼き(卵 50g)・牛乳 200g | 3.3mg |
| 練習前の補食 | おにぎり(ごはん 100g)・プロセスチーズ 20g | 1.2mg |
| 夕ごはん | ごはん 250g・ハンバーグ(牛ひき肉 80g)・豆腐のみそ汁(木綿豆腐 50g)・牛乳 200g | 6.8mg |
| 合計 | 11.3mg |
(日本食品標準成分表から計算。木綿豆腐は100gあたり0.6mg)
家の食事だけで11.3mg。推奨量の8.0mgをこえて、給食の分はまるごと上乗せになります。牛乳を2〜3杯、卵を毎日、肉も魚も食べている知恵袋の家庭は、この形にかなり近い食べ方です。
夕ごはんのハンバーグを鶏の照り焼き(鶏もも 80g・1.3mg)にした日は、夕ごはんが3.9mgになり、合計は8.4mg。それでも推奨量に届きます。

「今日は鶏、明日は牛、あさっては豚」。主菜の肉を日替わりにすると、亜鉛も自然にそろいます!
亜鉛がしっかりとれる、サッカーごはんの主菜
牛肉・貝・卵・大豆を主役にした料理を、手持ちのレシピに入れておきましょう。
| 料理 | 1人分の亜鉛のもと | 亜鉛 |
|---|---|---|
| 牛丼 | 牛かた肉 80g+ごはん 250g | 5.1mg |
| ハンバーグ | 牛ひき肉 80g+卵 10g | 4.3mg |
| 麻婆豆腐 | 豚ひき肉 50g+木綿豆腐 100g | 2.0mg |
| かきのバター焼き | かき 60g | 8.4mg |
| あさりのクラムチャウダー | あさり水煮缶 30g+牛乳 150g | 1.6mg |
| 納豆オムレツ | 卵 100g+納豆 40g | 1.9mg |
(日本食品標準成分表から計算。牛乳 150g は0.6mg)
牛丼は、ごはんの炭水化物と牛肉のたんぱく質・亜鉛・鉄が1杯でとれる、練習のあとにぴったりの丼です。ごはんにいりごまをひとふり(3g・0.2mg)すれば、さらに上乗せできます。
あさりの水煮缶は、亜鉛と一緒に鉄も多い食材です(100gあたり鉄30.0mg)。鉄のとり方は成長期の鉄と貧血でくわしく紹介しています。
ごま
しらす干し
木綿豆腐
牛乳
1週間の夕ごはん、主菜のローテーション例
毎日、牛肉やかきを用意しなくても大丈夫です。夕ごはんの主菜を曜日で回すと、1週間で見て亜鉛がそろいます。下の表は、夕ごはんの主菜とごはん250g(1.5mg)を合わせた亜鉛です。
| 曜日 | 夕ごはんの主菜 | 主菜+ごはんの亜鉛 |
|---|---|---|
| 月 | 牛丼(牛かた肉 80g) | 5.1mg |
| 火 | 鶏の照り焼き(鶏もも肉 80g) | 2.8mg |
| 水 | 麻婆豆腐(豚ひき肉 50g・木綿豆腐 100g) | 3.5mg |
| 木 | 豚もも肉のしょうが焼き(80g) | 3.2mg |
| 金 | ハンバーグ(牛ひき肉 80g・卵 10g) | 5.8mg |
| 土(試合のあと) | あさりのクラムチャウダー+納豆オムレツ | 5.0mg |
| 日 | かきのバター焼き(かき 60g)か、牛肉の焼き肉(牛かた肉 80g) | 9.9mg/5.1mg |
(日本食品標準成分表から計算)
朝に納豆か卵、補食にチーズや牛乳を足せば、どの曜日も推奨量に近づきます。鶏肉の日は、朝の納豆と卵、夜の牛乳をセットにすると安心です。土曜日の試合のあとは、炭水化物の回復も大切なので、チャウダーにパンやごはんを合わせましょう。
吸収のコツは「主食と主菜をそろえる」
健康長寿ネットは、食べた亜鉛のうち体に吸収されるのは約30%が目安で、一緒に食べるものによって変わる、と書いています。穀物や豆に多いフィチン酸や食物繊維は、亜鉛の吸収をじゃまする方向に働きます。
食事摂取基準の推奨量は、この吸収のされ方も見こんで決められた量です。だから、特別なことをする必要はありません。ごはん(主食)に、肉・魚・卵の主菜をそろえる。いつもの「定食の形」で食べていれば、亜鉛は体に入ります。
毎食の組み立て方はサッカーする子どもの食事の基本にまとめています。
よくある質問
Q. 亜鉛のサプリを飲めば、背が伸びる?
亜鉛は体をつくる材料の1つで、背を伸ばすのは、食事全体・睡眠・運動がそろったときです。食事摂取基準は、子ども(17歳まで)の亜鉛の耐容上限量を決めていません。一方で、推奨量はふだんの食事で届く量です。サプリを買う前に、この記事の表で、家の献立の亜鉛を一度数えてみましょう。背と食事の関係は背を伸ばす食事って本当にある?、サプリの考え方は子どもにプロテイン・サプリメントは必要?で紹介しています。
Q. 牛肉は高いので、毎日は出せません
豚ひき肉(80gで2.2mg)、卵、納豆、チーズでも積み上げられます。たとえば、朝に納豆と卵、補食にチーズ、夕ごはんに豚ひき肉の麻婆豆腐。これで1日に約4.0mg、ごはん200gを3食食べれば、さらに3.6mg足されて7.6mgです。週に1〜2回、牛肉の日をつくれば十分です。
Q. かきが苦手です
かきは亜鉛がとびぬけて多い食材ですが、なくても大丈夫です。あさりの水煮缶をみそ汁やチャウダー、炊きこみごはんに使うと、貝の亜鉛が手軽にとれます。
Q. 中学生になって、急に食べる量が増えました
12〜14歳の推奨量は8.5mg。体が大きくなる時期にこそ、必要な量も増えます。ごはんのおかわり、肉のおかわりは、そのまま亜鉛のおかわりです。食べる量の目安は小学生・中学生サッカー選手の食事の量は?を見てください。
Q. 女の子も同じ量でいい?
10〜11歳は7.5mg、12〜14歳は8.5mgで、男の子とほぼ同じです。女の子は鉄も多く必要な時期なので、牛肉とあさりのように、亜鉛と鉄が一緒にとれる食材をよく使いましょう。女子選手の食事は女子サッカー選手の食事でも紹介しています。
子どもへの声かけ
- 「今日のハンバーグで、亜鉛が1日の半分とれたよ」
- 「牛丼、ごはんもお肉も全部で体の材料だよ」
- 「味がわかる舌も、亜鉛がつくってるんだって」
- 「背が伸びる時期は、ごはんのおかわりが体づくりのチャンス」

亜鉛は毎日のごはんで届きます。牛丼、ハンバーグ、納豆ごはん。いつものおかずで、ぐんぐん育とう!
まとめ
- 亜鉛は、たんぱく質やDNAをつくるのに必要なミネラル。足りないと成長が遅れる(健康長寿ネット)
- 推奨量は、男の子で6〜7歳 5.0mg・10〜11歳 8.0mg・12〜14歳 8.5mg・15〜17歳 10.0mg(食事摂取基準2025)
- 牛ひき肉80gで4.2mg、かき60gで8.4mg。卵・納豆・チーズ・ごはんも積み上がる
- 練習の日の家の食事の例で11.3mg。主食と主菜をそろえれば、推奨量は食事で届く
- サプリを考える前に、家の献立の亜鉛を数えてみる
亜鉛がとれる料理はレシピ一覧から探せます。
出典
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」微量ミネラル(亜鉛の食事摂取基準の表 p346)https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316469.pdf
- 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「亜鉛・銅の働きと1日の摂取量」(2026年9月3日更新)https://tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/mineral-zn-cu.html
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(出典の一覧は「出典」のページを参照)
