食べる量が足りないとどうなる?
練習で使う分と、成長に使う分
サッカーをする子どもは、ふだんの生活と練習で使うエネルギーに加えて、体が大きくなるためのエネルギーも必要です。日本人の食事摂取基準(2025年版)では、1〜17歳の推定エネルギー必要量に、成長に伴う分(エネルギー蓄積量)を加えています(T045)。
食べる量が練習量に対して足りない状態が続くことを、「エネルギー不足」といいます。国際オリンピック委員会(IOC)は2023年の合意声明で、これを「スポーツにおける相対的なエネルギー不足(REDs)」としてまとめています(S10)。
「利用可能エネルギー」という考え方
食べたエネルギーから練習で使った分を引き、体の除脂肪量(体重から体脂肪の重さを除いたもの)1kgあたりで表したものを「利用可能エネルギー」といいます(T016の備考)。
- 米国栄養士会などの共同声明は、45kcal/kg除脂肪量/日ではエネルギーの収支と健康が保たれ、30kcal/kg除脂肪量/日を下回る状態が続くと体のさまざまな機能に障害が出るとしています(T016・T017。主に成人の女性の研究)
- 日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター(JISS)の女性アスリート向けガイドブックも、30kcal/kg除脂肪量/日未満を不足の目安として紹介しています(T050)
- ただし、IOCの2023年の声明は、女性で一律に30を線とすることには議論があるとしています(T067)。男性は、もっと低い値(9〜25kcal/kg除脂肪量/日)で不調が出始めるとみられますが、研究が少なく、よくわかっていません(T068)
たとえば、体重45kg・体脂肪率20%の選手なら、除脂肪量は45×0.8=36kgです。30kcal/kgは36×30=1,080kcal、45kcal/kgは36×45=1,620kcalで、これが「練習で使った分を引いたあとに残るエネルギー」の目安になります。家庭で練習の消費量や除脂肪量を正確に測るのは難しいため、このサイトではこの数字で判定はせず、参考として示すだけにします(このサイトの解釈)。IOCの若い競技者についての声明も、若い選手のエネルギー必要量を正確に決めるのは難しいとしています(T065)。
女子は、月経のようすも手がかりに
JFA栄養ガイドラインは、月経の状況に応じた食事の配慮の項目で、エネルギー不足を取り上げています(S15 4.③)。食べる量が練習量に足りない状態が続くと、月経が止まったり、来なかったりすることがあります(S15・S10)。
エネルギー不足が疑われるときについて、次の数値が紹介されています。
| 内容 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 運動量が変わらない場合に、最近の食事に加える量 | 1日300〜600kcal | T049(JISS)・T089(JFA。IOCの指針の引用) |
| 成長期(18歳未満)の体重の目安 | 標準体重の90%以上 | T048(JISS。成長期の女性選手) |
300kcalは、たとえばごはん(精白米・めし)なら約190gです(成分表:こめ[水稲めし]精白米うるち米 100gあたり156kcal。300÷1.56=192g)。主食を少し増やす、補食を1回足すなど、ふだんの食事に上乗せする形がとりやすい方法です(このサイトの解釈)。
月経が止まった・来ない、疲れやすい・息が上がりやすいなどが続くときは、食事だけで判断せず、医療機関(婦人科・スポーツドクターなど)に相談してください。このサイトでは診断はしません。
体重の変化で確かめる
食事摂取基準の推定エネルギー必要量は、個人差が大きく、あくまで目安として扱うものです(T044の備考、S04 p74)。練習量の多い選手では、計算した値が実際より少なくなることもあります。そこでこのサイトでは、計算した目安を出したうえで、体重の変化で確かめる形にしています(このサイトの解釈)。
- 成長期は、体重が増えていくのが自然です。体重が増えたことを問題にする必要はありません
- 気にしたいのは、練習量が多い時期に体重が増えない・減っていく、という変化です(このサイトの解釈)
- 体重を減らす目的で、食事を抜いたり主食を減らしたりすることは、このサイトでは勧めません
まずは毎食そろえて、しっかり食べる
JFA栄養ガイドラインの基本は、主食・主菜・副菜・牛乳・乳製品・果物を毎食そろえることです(T080)。食べる量が足りないかもしれないと感じたら、まずは3食をそろえ、練習の前後に補食を足すところから始めてください(このサイトの解釈)。
このサイトでできること
「体重の記録」で、体重(と身長)の推移をグラフで見られます。増減を責める表示はしません。体重が増えない時期が続くときは、「1日の目安」と「補食・コンビニ」から、ふだんの食事に足せる候補を見てください。
出典:Thomas DT ほか「Nutrition and Athletic Performance」(米国栄養士会・カナダ栄養士会・米国スポーツ医学会の共同声明、2016)、Mountjoy M ほか「2023 International Olympic Committee's (IOC) consensus statement on Relative Energy Deficiency in Sport (REDs)」(2023)、Bergeron MF ほか「International Olympic Committee consensus statement on youth athletic development」(2015)、日本スポーツ振興センター 国立スポーツ科学センター「成長期・成人・妊婦・産後期の女性アスリートのための栄養ガイドブック」(2022)、日本サッカー協会「JFA栄養ガイドライン」、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
出典:T016・T017(共同声明 S01)、T067・T068(IOC S10)、T048〜T050(JISS S13)、T089(JFA S15)、T044・T045(食事摂取基準 S04)、T065(IOC S09)、T080(JFA S15)、日本食品標準成分表(01_foods_nutrients.csv)(出典の一覧は「出典」のページを参照)
