背を伸ばす食事って本当にある? 成長期の栄養と睡眠

「背が伸びる食べ物ってあるの?」「牛乳を毎日飲めば、背が高くなる?」。子どもの背を伸ばす食べ物は、保護者のあいだでいつも話題になりますね。
この記事では、子どもの背を伸ばす食べ物について、根拠のあることだけをはっきりお伝えします。
先に答えを言います。これを食べれば背が伸びる、という特別な食べ物はありません。 そのかわり、背がしっかり伸びるための条件はわかっています。エネルギーが足りていること、たんぱく質・カルシウム・ビタミンDがそろっていること、そしてよく眠ること。この記事では、その1つずつを見ていきます。
背の伸びを決めるもの
日本小児内分泌学会は、身長に影響する環境の要因として、栄養・睡眠・運動・心の状態(愛情やストレス)を挙げています。
つまり、ふだんの生活そのものが、背の伸びを支えています。どれか1つの食べ物ではなく、毎日の食事・睡眠・運動・安心して過ごせる毎日がそろうことが大切です。
「身長を伸ばす」と宣伝されるサプリメント
「飲むだけで背が伸びる」とうたうサプリメントや飲み物の広告を見かけることがあります。日本小児内分泌学会は、こうした「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等について、学会の見解を公表しています。
IOCの声明では、運動能力の向上を目的に、若い選手に栄養補助食品をすすめることは適切ではないとされています。UEFAの声明でも、ジュニア選手のたんぱく質は食事で十分にとれ、サプリメントは不要とされています。体をつくるのは、ふだんのごはんです。
広告の読み方はサプリメントの広告の読み方で紹介しています。

魔法の食べ物はないけれど、背が伸びる「条件」はわかっています。それは、毎日のごはんと睡眠!
条件1:エネルギーが足りている
体を大きくするにも、エネルギーがいる
食事摂取基準では、子どもの1日に必要なエネルギーに、体を大きくする分(エネルギー蓄積量)を足しています。成長期の体は、運動の分に加えて、体をつくる分のエネルギーも必要です。
食事摂取基準が計算に使っている、1年に増える体重の目安は次のとおりです。
| 年齢 | 男子 | 女子 |
|---|---|---|
| 8〜9歳 | 3.4kg/年 | 3.6kg/年 |
| 10〜11歳 | 4.6kg/年 | 4.5kg/年 |
| 12〜14歳 | 4.5kg/年 | 3.0kg/年 |
| 15〜17歳 | 2.0kg/年 | 0.7kg/年 |
(出典:日本人の食事摂取基準2025 エネルギー p71 表6)
毎年これだけ体が大きくなるためには、材料だけでなく、組み立てるエネルギーが必要です。
サッカーをする子は、たくさん食べる
| 年齢 | 男子 | 女子 |
|---|---|---|
| 10〜11歳 | 約2,500kcal | 約2,350kcal |
| 12〜14歳 | 約2,900kcal | 約2,700kcal |
(日本人の食事摂取基準2025の参照体重の基礎代謝量×身体活動レベル「高い」+エネルギー蓄積量で計算し、50kcal単位にまるめました)
エネルギーが足りないと、体は食べたものを運動に使ってしまい、体をつくる分が回ってきません。背を伸ばすいちばんの土台は、主食をしっかり食べて、エネルギーを足りさせることです。量の目安は小学生・中学生サッカー選手の食事の量を見てください。
ごはん
鶏むね肉
納豆
条件2:たんぱく質・カルシウム・ビタミンDがそろっている
IOCの声明では、若い選手の健康と正常な成長のために、栄養素の豊富な炭水化物、良質なたんぱく質、十分なカルシウム・ビタミンD・鉄をとることが大切とされています。
| 年齢 | たんぱく質(推奨量) | カルシウム(推奨量) | ビタミンD(目安量) |
|---|---|---|---|
| 10〜11歳 男子 | 45g | 700mg | 8.0μg |
| 10〜11歳 女子 | 50g | 750mg | 8.0μg |
| 12〜14歳 男子 | 60g | 1,000mg | 9.0μg |
| 12〜14歳 女子 | 55g | 800mg | 9.0μg |
(出典:日本人の食事摂取基準2025 たんぱく質 p103・カルシウム p283・ビタミンD p182)
たんぱく質:骨と筋肉の材料
たんぱく質は、筋肉だけでなく、骨の土台の材料でもあります。朝・昼・夕の毎食に、肉・魚・卵・大豆製品のおかずを1品入れましょう。
カルシウム:骨を伸ばし、太くする
| 食品と量 | カルシウム |
|---|---|
| 牛乳 コップ1杯(200g) | 220mg |
| ヨーグルト 1カップ(100g) | 120mg |
| プロセスチーズ 1個(20g) | 126mg |
| 木綿豆腐 1/3丁(100g) | 93mg |
| こまつな 80g | 136mg |
| しらす干し(半乾燥品)大さじ2(10g) | 52mg |
(日本食品標準成分表で計算)
牛乳は、カルシウムがとれる便利な食品です。ただ、牛乳だけを飲めば背が伸びる、というわけではありません。たんぱく質・エネルギー・ビタミンD・睡眠とセットで、はじめて骨は伸びていきます。
ビタミンD:カルシウムを骨に届ける
| 食品と量 | ビタミンD |
|---|---|
| しろさけ 1切れ(80g) | 25.6μg |
| しらす干し(半乾燥品)10g | 6.1μg |
| 卵 1個(50g) | 1.9μg |
(日本食品標準成分表で計算)
鮭1切れで、1日の目安量を大きくこえます。週に何回か魚のおかずを入れると、ビタミンDがとりやすくなります。ビタミンDは、日光に当たることで体の中でもつくられます。外で練習するサッカー選手は、その点でも有利です。
骨のことは骨と成長の記事と骨はカルシウムだけじゃないでくわしく紹介しています。
牛乳
こまつな
しらす干し
しろさけ
条件3:よく眠る
子どもの睡眠時間の目安
| 年齢 | 睡眠時間の目安 | 出典 |
|---|---|---|
| 小学生 | 9〜12時間 | 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023 |
| 中学生・高校生 | 8〜10時間 | 厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023 |
| 育成年代のサッカー選手 | 9時間以上 | JFA栄養ガイドライン |
小学生で9〜12時間。朝7時に起きるなら、夜9〜10時には布団に入りたい時間です。
早く寝るための工夫
- 夕食とお風呂を、早めにすませる
- 夜練の日は、帰ったらすぐ夕食
- 寝る前の画面(スマートフォン・ゲーム・テレビ)は、時間を決める
- 休みの日も、起きる時刻を大きくずらさない
睡眠のことは睡眠と成長でくわしく紹介しています。

ぐっすり眠っている間に、体は育っていきます。今夜も早めにおやすみなさい!
背を伸ばす1日の例
小学5〜6年生のサッカー選手の、ふだんの1日の例です。
| 時間 | すること |
|---|---|
| 朝 | ごはん・卵焼き・納豆・みそ汁・牛乳1杯 |
| 昼 | 学校の給食(牛乳つき) |
| 練習の前 | おにぎり1個 |
| 練習のあと | ヨーグルトとバナナ |
| 夕 | ごはん・鮭の塩焼き・豆腐とこまつなのみそ汁・野菜の副菜 |
| 夜9時 | 布団に入る |
(このサイトの例です)
主食・主菜・副菜・牛乳・乳製品・果物の5つがそろい、たんぱく質・カルシウム・ビタミンDがとれて、9時間以上眠れる1日です。特別なものは何も入っていません。これが、背を伸ばすいちばん確かな1日です。
背の伸びが気になるときは
日本小児内分泌学会によると、身長は性別・年齢ごとの成長曲線で見ます。100人のうち2〜3人ほどの子は、標準の範囲(−2.0SD)より低くなりますが、成長曲線にそって伸びていれば心配ないことが多いとされています。
- 学校の身体測定の記録を、成長曲線に書きこんでみる
- 伸びが曲線から大きくはずれてきたら、小児科で相談する
記録を見ながら、毎日の食事と睡眠を続けていきましょう。
成長期の食事でよくある思いこみ
| よく聞く話 | 実際は |
|---|---|
| 牛乳を飲めば背が伸びる | 牛乳は骨の材料になるが、食事全体と睡眠がそろってこそ |
| たくさん食べると背が伸びなくなる | 体を大きくするには、エネルギーが必要 |
| プロテインで背が伸びる | ジュニア選手のたんぱく質は食事で十分 |
| 特定の食べ物で成長ホルモンが出る | そのような食べ物の根拠はない。睡眠と生活全体が大切 |
(このサイトのまとめです)
「これだけ」の食べ物を探すより、毎日の5つの料理と、9時間以上の睡眠を続けることが、いちばんの近道です。
サッカー選手の成長期に大事な「毎日の3つ」
- 3食と補食で、しっかり食べる:主食を毎食、練習の前後に補食
- 毎食、たんぱく質のおかずと牛乳・乳製品:骨と筋肉の材料をそろえる
- 9時間以上眠る:夕食とお風呂を早めにすませる
どれも、今日からできることです。特別な食品は必要ありません。この3つを毎日続けることが、子どもの体をいちばん大きく育てます。
よくある質問
Q. 牛乳を飲むと、背は伸びますか?
牛乳はカルシウムとたんぱく質がとれる、成長期にうれしい食品です。でも、牛乳だけで背が伸びるわけではありません。食事全体と睡眠がそろってこそ、牛乳が力を発揮します。
Q. 背を伸ばすサプリメントは?
サプリメントに頼る必要はありません。若い選手にはふだんの食事が基本とされています。
Q. サッカーをすると背が伸びにくい?
運動は、日本小児内分泌学会が挙げる、身長に影響する環境の要因のひとつです。しっかり食べて、よく眠りながら、サッカーを楽しみましょう。
Q. 好き嫌いが多くて心配です
苦手な食べ物があっても、同じ栄養はほかの食品からとれます。牛乳が苦手なら牛乳なしでカルシウムをとる方法、魚が苦手なら魚なしの食べ方を見てください。
Q. 体重が増えるのが気になります
成長期は、身長と一緒に体重も増えます。体重が増えるのは、体が育っているサインです。食べる量はしっかり保ちましょう。
Q. 朝ごはんを食べないと、背に関係しますか?
朝ごはんを抜くと、1日に必要なエネルギーや栄養がとりにくくなります。朝からしっかり食べることは、体を大きくする土台になります。朝ごはんのことは朝ごはんの記事を見てください。
Q. 背が伸びる時期はいつ?
身長が大きく伸びる時期は、子どもによってちがいます。食事摂取基準の目安では、男子は10〜14歳、女子は10〜11歳で、1年に4.5〜4.6kgと体重の増え方が大きくなっています。その時期に食べる量が増えるのは、自然なことです。
Q. 夜ふかしの日があっても大丈夫?
たまの夜ふかしは気にしなくて大丈夫です。大事なのは、ふだんの毎日で睡眠時間をとれていることです。次の日は、いつもの時刻に寝るようにしましょう。
Q. 背が低いことを、子どもが気にしています
成長の時期は一人ひとりちがいます。「今は体をつくっている時期だよ」と伝えて、毎日の食事と睡眠を一緒に大切にしていきましょう。
子どもへの声かけ
- 「今日もしっかり食べたね。体が育ってるよ」
- 「早く寝ると、体が大きくなる時間がたっぷりとれるよ」
- 「この前の身体測定、伸びてたね!」

背を伸ばす魔法はないけれど、毎日のごはんと睡眠は、ちゃんと体を育ててくれる。今日も食べて、眠って、大きくなろう!
まとめ
- 「これを食べれば背が伸びる」特別な食べ物はない
- 身長に影響する環境の要因は、栄養・睡眠・運動・心の状態(日本小児内分泌学会)
- 土台はエネルギー。主食をしっかり食べる
- たんぱく質・カルシウム・ビタミンDをそろえる
- 睡眠は小学生9〜12時間、中高生8〜10時間(厚生労働省)。サッカー選手は9時間以上
骨のことは骨と成長、睡眠のことは睡眠と成長、ビタミンDやたんぱく質のことは骨はカルシウムだけじゃないで、さらにくわしく紹介しています。
出典:UEFA エリートサッカーの栄養に関する専門家声明(2021)、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、IOC 若年競技者に関する合意声明(2015)、日本サッカー協会「JFA栄養ガイドライン」、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(出典の一覧は「出典」のページを参照)
