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スポーツ食品・サプリの広告の読み方:「誰に・どのくらい・何を測ったか」を確かめる

「〇〇で筋肉がつく!」「試合で疲れにくくなる!」。スポーツ用品店やネットで、こんな広告をよく見かけますよね。買う前に、ちょっとだけ立ち止まって読んでみませんか。

子どもがサッカーをがんばっていると、「何かいいものはないかな」と、サプリメントやスポーツ食品の広告が気になるものです。広告には、研究結果や数字が書かれていることも多く、とても効きそうに見えます。

でも、その研究が「誰を対象に」「どのくらいの期間」「何を測ったのか」によって、わが子に当てはまるかどうかは大きく変わります。この記事では、広告を読むときに確かめたいポイントを整理しました。特定の商品をすすめたり、否定したりするものではありません。

まず知っておきたい基本の考え方

国際オリンピック委員会(IOC)の若い競技者についての合意声明では、若い選手に運動能力の向上を目的として栄養補助食品をすすめることは不適切だとされています。そのうえで、栄養素の豊富な炭水化物、良質なたんぱく質、十分なカルシウム・ビタミンD・鉄を、ふだんの食事からとることが大切だとされています。

日本サッカー協会のガイドラインでも、主食・主菜・副菜・牛乳・乳製品・果物の5つをそろえることが、アスリートの基本的な食事の形とされています。

つまり、育成年代の基本は「食事がいちばん(フードファースト)」です。くわしくは食事が先、サプリはあとの記事を参考にしてください。

  • ごはん
  • しろさけ
  • 牛乳

広告を読むときの3つの質問

研究結果が書かれた広告を見たら、次の3つを確かめてみましょう。

質問確かめることわが子に当てはまる?
①誰を対象にした研究?大人か子どもか、トップ選手か一般の人か、男性か女性か大人やトップ選手の結果は、そのまま成長期の子どもに当てはまらないことがある
②どのくらいの期間?1回だけか、数週間か、何か月か短い期間の結果が、長く続けたときも同じとは限らない
③何を測った?実際の成績や体の変化か、血液の数値などの「途中の指標」か途中の指標が変わっても、ほしい結果が出るとは限らない

(このサイトのまとめです)

質問①:誰を対象にした研究?

スポーツ栄養の研究の多くは、大人の競技者を対象にしています。このサイトで紹介している目安にも、「成人の競技者の目安」と書いているものがたくさんあります。

たとえば、1回の食事でとるたんぱく質の量の目安として「20〜40g」という数字が示されていることがあります。これは主に大人を対象にした目安で、体の小さい子どもにそのまま当てはめるものではありません。

広告に「アスリートで効果が確かめられた」と書かれていたら、そのアスリートは何歳くらいで、どんな人だったのかを確かめましょう。わからない場合は、「子どもで確かめられたかどうかはわからない」と考えておくのが安全です。

質問②:どのくらいの期間?

「飲んで30分後に〇〇が上がった」という結果と、「3か月続けて体がどう変わったか」という結果は、まったく別のものです。

  • 1回だけの実験:その場での変化はわかるが、続けたときのことはわからない
  • 数週間の研究:短い期間の変化はわかるが、成長期を通してのことはわからない
  • 長い期間の研究:時間と手間がかかるため、数が少ない

子どもの体は何年もかけて成長していきます。短い期間の結果だけで判断せず、「続けたらどうなるのか」も考えてみましょう。

質問③:何を測った?

ここがいちばん見落としやすいポイントです。

研究で測るものには、大きく分けて2種類あります。

種類例
ほしい結果そのもの試合や練習でのパフォーマンス、けがの数、体調をくずした日数、身長や体重の伸び
途中の指標血液の中のある成分の量、筋肉の中のある物質の量、アンケートの点数

(このサイトのまとめです)

「途中の指標」が変わったという結果は、研究としては大切な一歩です。でも、途中の指標が変わったからといって、ほしい結果(試合でよく動ける、けがが減る、背が伸びるなど)が出るとは限りません。

たとえば「血液の中の〇〇が増えた」は、「試合で走れるようになった」とは別の話。広告では、この2つがつながっているように書かれていることがあるので、注意して読みましょう。

広告によく出てくる言葉の読み方

広告の言葉確かめたいこと
「〇〇%アップ」何と比べて? 何を測った数字?
「研究で実証」誰を対象に、何人で、どのくらいの期間?
「プロ選手も愛用」使っていることと、効果があることは別
「〇〇がたっぷり」ふだんの食事でとれる量と比べてどうか
「成長期に必要な〇〇」食事から十分とれていないかを先に確かめる
「飲むだけで」食事・睡眠・練習の代わりにはならない

(このサイトのまとめです)

  • 卵
  • 納豆
  • ヨーグルト

「〇〇がたっぷり」は、食事と比べてみる

広告に「たんぱく質〇g」「カルシウム〇mg」と書かれていたら、ふだんの食べ物と比べてみましょう。

日本食品標準成分表で計算すると

  • 卵1個(50g)のたんぱく質は約6g
  • しろさけ1切れ(80g)のたんぱく質は約18g
  • 牛乳コップ1杯(200ml)のカルシウムは約220mg
  • ヨーグルト1個(100g)のカルシウムは約120mg

ふだんの食事で十分にとれている栄養素を、さらに上乗せする必要があるかどうかは、よく考えたいところです。どの栄養素がどのくらい必要かは、わが子の栄養の目安で確認できます。

  • おにぎり
  • バナナ
  • オレンジ

安全面で気をつけたいこと

サプリメントやスポーツ食品には、安全面でも気をつけたいことがあります。

  • とりすぎ:栄養素によっては、とりすぎると体に負担になるものがある
  • 表示と中身:海外の製品などでは、表示されていない成分が入っていることがある
  • ドーピング:競技を続けていく中で、禁止物質が混ざった製品を口にしてしまう心配がある
  • アレルギー:原材料を必ず確認する(アレルギー表示の見方)

鉄のサプリは、検査と医師の判断で

鉄は、成長期のサッカー選手で不足しやすい栄養素のひとつです。UEFA専門家グループの声明では、鉄欠乏の判定に血液検査(血清フェリチン)を使うことが紹介されています。鉄のサプリメントを使うかどうかは、自己判断ではなく、血液検査をしたうえで医師と相談して決めましょう。食事での鉄のとり方は鉄の記事を参考にしてください。

  • 豚レバー

「よかれと思って」が、とりすぎにつながることも。気になるときは、まず食事を見直して、それでも心配なら医療機関に相談してくださいね。

買う前のチェックリスト

  1. ふだんの食事で、5つ(主食・主菜・副菜・牛乳・乳製品・果物)がそろっているか
  2. 練習の前後に、補食がとれているか
  3. 睡眠は足りているか
  4. 広告の研究は「誰に・どのくらい・何を測った」ものか
  5. その結果は「途中の指標」ではなく「ほしい結果」か
  6. 食事でとれる量と比べて、上乗せが必要か
  7. 安全面(とりすぎ・表示・ドーピング・アレルギー)は大丈夫か

1〜3ができていないなら、まずはそこから始めるのがいちばんの近道です。

よくある質問

Q. プロテインは子どもに必要ですか?

成長期の子どもは、ふだんの食事から必要なたんぱく質をとることができます。まずは主菜と牛乳・乳製品をしっかりとりましょう。食事でとれているかどうかは、成長期のたんぱく質の記事で確認できます。

Q. チームの子が使っていて、うちの子も欲しがります

「みんなが使っているから」は、効果の証拠にはなりません。子どもと一緒に広告を読んで、「誰に・どのくらい・何を測ったのか」を確かめてみるのも、よい学びになります。

Q. ゼリー飲料や栄養補助のお菓子はどうですか?

練習や試合の前後で、食事をとる時間がないときの補食として便利な場面があります。ただし、ふだんの食事の代わりにはせず、「足りないときの助け」として使いましょう。

Q. 「無添加」「天然由来」と書いてあれば安心ですか?

「無添加」「天然由来」は、効果や安全性が確かめられたことを意味するわけではありません。何が、どのくらい入っているのか、成分表示と原材料を確かめる習慣をつけましょう。

子どもへの声かけ

  • 「この広告、誰で試したのか書いてあるかな?」
  • 「ごはんと魚と牛乳で、もう同じものがとれてるよ」
  • 「強い選手は、まずご飯をしっかり食べてるんだよ」
  • 「気になるものがあったら、一緒に調べてみよう」

まとめ

  • 育成年代の基本は「食事がいちばん」。若い選手に運動能力の向上のための栄養補助食品はすすめられていない
  • 広告の研究は「誰に・どのくらいの期間・何を測ったか」を確かめる
  • 「途中の指標」が変わっても、ほしい結果が出るとは限らない
  • 「〇〇がたっぷり」は、ふだんの食べ物と比べてみる
  • 鉄などのサプリは、検査と医師の判断で

食事の基本は食事が先、サプリはあとで、献立は1週間の献立で確認できます。

出典:国際スポーツ栄養学会の声明(栄養をとるタイミング、2017)、UEFA エリートサッカーの栄養に関する専門家声明(2021)、国際スポーツ栄養学会の声明(たんぱく質と運動、2017)、IOC 若年競技者に関する合意声明(2015)、日本サッカー協会「JFA栄養ガイドライン」、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(出典の一覧は「出典」のページを参照)

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