補食を持たせたのに食べていない:チームとの連携と差し入れ

朝にぎって持たせたおにぎりが、夜、そのままバッグから出てきた。「なんで食べなかったの?」と言う前に、「いつ食べられそうだった?」と聞いてみよう。
補食が手つかずで帰ってくる理由は、たいてい食べる時間と場所がなかったことです。子どもがわがままを言っているのではなく、練習の流れの中に「食べるすき間」がないのです。この記事では、チームとどう話せば補食が子どもの口に届くか、差し入れをするときに何をそろえればよいかを紹介します。
英国のサッカーアカデミーで選手・保護者・スタッフに聞いた研究でも、学校や練習の予定と食事を両立させる難しさが語られていました(Carneyほか 2024)。家庭とチームの予定をつなぐことが、いちばんの近道です。
まず、本人に理由を聞く
| 子どもの答え | 次に試すこと |
|---|---|
| 食べる時間がなかった | チームに、補食を食べてよい休憩があるか聞く |
| 食べる場所がわからなかった | 会場で食べてよい場所を、子どもと一緒に確かめる |
| 練習のすぐ前だった | 集合の前、移動中に食べられるものにする |
| 包みが開けにくかった | ラップおにぎりや、手でむけるバナナに |
| みんな食べていなかった | チームで「補食の時間」を作れるか相談する |
| 忘れていた | バッグのいちばん上、水筒の横に入れる |
責めずに、「次はどこなら食べられそう?」まで一緒に考えます。

チームに聞くことは、具体的に
「補食を食べさせてください」より、家で用意することと、会場で確かめたいことを分けて伝えると、話がすぐ進みます。
| 家で困っていること | チームに確かめること |
|---|---|
| 学校から練習まで、食べる場所がない | 集合前に、会場で食べてよい場所と時間 |
| 練習中に食べる機会がない | 給水休憩のときに、補食を食べてもよいか |
| 夏は持ち歩くと傷みそう | 保冷バッグを置ける日陰の場所 |
| 水筒が空になる | 飲み水を補充できる場所と時間 |
| 終わる時間がのびる | 終了時間の変更を知らせる方法 |
米国の地域のスポーツ施設28か所で行われた研究では、給水設備を整え、水筒を配り、飲むことを伝えた施設で、子どもたちが水を飲む量が増えました(Lawmanほか 2020)。補食も同じで、「食べよう」と言うだけでなく、食べられる場所と時間を用意すると、実際に食べられるようになります。
練習のあとは2時間以内に
練習のあとは、なるべく早く、2時間以内に食べるのが目安です。帰り道が長いチームなら、解散のあとすぐ食べられるように、おにぎりやバナナを持たせておきます。
会場で食べやすい補食
| 補食 | 量の例 | 炭水化物 | 会場で食べやすいところ |
|---|---|---|---|
| ラップおにぎり | 1個(100g) | 39.4g | ラップをむくだけ。手が汚れない |
| バナナ | 1本(可食部100g) | 22.5g | 皮が包み紙がわり |
| カステラ | 1切れ(50g) | 30.9g | 個包装で配りやすい |
| 飲むヨーグルト | 1本(200g) | 24.4g | 保冷バッグで。練習後に |
| ふかしいも | 100g(皮なし) | 31.9g | ラップに包んで |
| オレンジ | くし形2切れ(60g) | 7.1g | 水分もとれる。休憩のひと口に |
(日本食品標準成分表で計算)
おにぎり
バナナ
カステラ
飲むヨーグルト
さつまいも
オレンジ
日本代表で提供している補食の例にも、おにぎり、干し芋、羊羹、カステラが挙がっています。サッカーの現場で、手軽に食べられるものばかりです。
差し入れをするときの3つの確認
試合の日にチームへ差し入れをするなら、買う前に担当者と予定を合わせます。

| 買う前に確かめること | 聞き方の例 |
|---|---|
| すでに用意があるか | 「補食はチームで手配していますか?」 |
| 食べる時間 | 「試合の合間ですか、終わってからですか?」 |
| アレルギー | 「アレルギーのある子の確認は、どなたとすればいいですか?」 |
外袋ごと渡す
詰め合わせのお菓子は、外袋にアレルギーの表示があっても、中の小袋には書かれていないことがあります(消費者庁 食物アレルギー表示ハンドブック)。小袋だけをかごに移さず、表示のある外袋ごと担当者に渡しましょう。日本サッカー協会も、食物アレルギーの情報を前もって集め、保護者と連携することを示しています。表示の読み方はアレルギー表示の見方で紹介しています。
冷やすものは保冷バッグで
ヨーグルトやゼリー飲料など冷やす食品は、保冷剤と保冷バッグで運び、渡したあとも日陰の涼しい場所に置きます。手作りのおにぎりを配るときは、清潔な手で作り、早めに食べてもらいます(農林水産省「お弁当づくりによる食中毒を予防するために」)。
家庭の様子も、短く返す
JFAアカデミー堺では、選手の食事の記録に加えて、保護者からのコメントを受け取り、家に帰っている間の様子をつかむのに役立てています。家庭からも、できたことと困ったことを、ひとこと返してみましょう。
- 「集合前に食べる場所がわかって、自分でおにぎりを食べられました」
- 「学校から直行する日は、家に寄る時間がありません」
- 「保冷バッグは用意できます。置き場所を教えてください」
米国の指導者・保護者・選手に聞いた研究では、会場の食べ物や飲み物への考え方がそれぞれ違っていました(Marx・Musher-Eizenman 2022)。同じ「補食」という言葉でも、練習前のエネルギーなのか、夕食までのつなぎなのか、具体的に話すと伝わります。
夏と冬で変える補食
| 季節 | 補食の工夫 |
|---|---|
| 夏 | 凍らせたゼリー飲料を保冷剤がわりに。おにぎりは保冷バッグで、早めに食べる |
| 冬 | 温かいお茶やスープを水筒に。肉まんや焼きいもは、帰り道の補食に |
| 雨の日 | 補食はジッパー付きの袋に入れて、ぬれない場所へ |
(このサイトの例です)
天気に合わせた準備は雨・寒い日・暑い日の試合でも紹介しています。
もっと相談したいときのメモ
チームの栄養担当者や、地域の管理栄養士(日本栄養士会の「栄養ケア・ステーション」など)に相談するときは、1枚のメモにまとめると話が早く進みます。
| 項目 | 書くことの例 |
|---|---|
| いちばん困っていること | 練習前に食べる時間がなく、帰るとお腹ぺこぺこ |
| 1日の予定 | 下校・移動・練習の開始と終了・帰宅の時刻 |
| 食べている場所 | 朝食・給食・補食・夕食をどこで食べているか |
| 使えるもの | 冷蔵庫・保冷バッグ・近くの店・食べる場所 |
| 本人の声 | 食べやすいもの、食べにくいもの |
相談の帰りには、「次の練習日に、どこで何を食べるか」まで決めておきましょう。
学校から直行する日の補食リレー
学校から練習へ直行する日は、補食がいちばん届きにくい日です。家を出る朝に、1日の流れを決めておきます。
| 時間 | 食べるもの | どこに入れる |
|---|---|---|
| 朝 | ごはん・卵・みそ汁・牛乳 | 家で |
| 昼 | 給食 | 学校で |
| 下校〜練習の前 | ラップおにぎり1個かバナナ | ランドセルやバッグの取り出しやすい場所 |
| 練習の休憩 | 水分、オレンジやゼリー飲料のひと口 | 水筒の横 |
| 練習のあと | おにぎりか飲むヨーグルト(保冷バッグ) | 帰り道ですぐ |
| 夜 | 夕食 | 家で |
(このサイトの例です)
学校に補食を持っていけないときは、迎えの車の中や、会場に着いてすぐ食べられるよう、保護者が持って行く方法もあります。チームの集合場所で食べてよいかは、前もってコーチに聞いておきましょう。
チームで「補食の時間」を作る例
チームの練習の流れに、補食の時間を入れると、全員が食べやすくなります。保護者会やコーチとの話し合いで、次のような例を出してみましょう。
| 練習の流れ | 補食のタイミング |
|---|---|
| 集合・着がえ | 着がえのあと、5分で食べられるおにぎりやバナナ |
| ウォーミングアップ〜前半の練習 | 給水休憩で水分 |
| 長い練習の真ん中 | 給水のときに、オレンジやゼリー飲料をひと口 |
| 練習のあと・解散前 | 保冷バッグのおにぎりや飲むヨーグルトを、その場で |
(このサイトの例です)
「解散前に補食の時間を5分とる」と決めるだけで、帰り道で何も食べずに夕食まで待つ子がぐっとへります。チームで配る補食の選び方は市販の補食も参考にしてください。
チームで差し入れをするときの量の例
保護者の当番で差し入れを用意するときは、1人分を決めてから人数分を買うと、足りない・余るがなくなります。
| 1人分の例 | 量 | 炭水化物(成分表で計算) |
|---|---|---|
| 小さめのおにぎり | 1個(70g) | 27.6g |
| バナナ | 1本(可食部100g) | 22.5g |
| みかん | 1個(可食部80g) | 9.6g |
| カステラ | 1切れ(50g) | 30.9g |
| 飲むヨーグルト | 1本(200g) | 24.4g |
(このサイトのまとめです)
練習のあとの差し入れなら、おにぎり1個とバナナ1本で炭水化物50.1g。ここに飲むヨーグルトを足すと、たんぱく質とカルシウムも入ります。暑い季節は、おにぎりと飲むヨーグルトを保冷バッグに入れて、配る直前に出します。
みかんやバナナは皮をむくだけで食べられ、手が汚れにくいので、会場でも配りやすい補食です。個包装のカステラは、外袋ごと渡せばアレルギー表示も確かめられます。
おにぎり
バナナ
みかん
カステラ
よくある質問
Q. チームに言うと、うるさい親と思われそう
「補食を食べられる場所を知りたい」は、どの家庭にも役立つ質問です。困りごとと、家でできることをセットで伝えると、前向きな相談になります。
Q. 差し入れは手作りでもいい?
チームの決まりを先に確かめます。手作りのおにぎりを受け付けるチームなら、清潔に作り、冷やして運び、早めに食べてもらいましょう。
Q. 食べなかった補食、夜に食べさせてもいい?
保冷して持ち歩いたかどうかで決めます。暑い日に常温で長く持ち歩いたおにぎりやヨーグルトは、食べずに処分します。バナナやカステラなど常温で持てるものなら、夕食までのつなぎに食べてOKです。
Q. 補食を持たせると、友だちと分けてしまいます
仲よく分けるのはすてきなことですが、アレルギーのある子もいるので、チームの決まりを先に確かめます。自分の分は自分で食べることを、親子で話しておきましょう。
Q. 練習が長い日は、補食を何回持たせればいい?
練習の前と、練習のあとの2回が基本です。3時間をこえる長い練習や、1日の練習の日は、真ん中の休憩にも、バナナやゼリー飲料などすぐ食べられるものを入れておきます。
Q. 差し入れは、何人分を用意すればいい?
選手の人数に、コーチと当日来るきょうだいの分を数人足して用意します。バナナやみかんのように1つずつ分けられるものなら、数が合わなくても調整しやすく、配る人も楽です。夏はバナナとみかんを箱ごと保冷バッグの横に置き、選手が自分で1つずつ取る形にすると、練習が終わってすぐに配り終わります。冬は、おにぎりとカステラを1人分ずつ袋に分けておくと手早く渡せます。
子どもへの声かけ
- 「いつなら食べられそうだった?」
- 「集合の前に、ここで食べようか」
- 「食べられたね。後半の走り、よかったよ」

食べ物と一緒に、「食べる場所と時間」も準備できたら完ぺき。本人のひと言が、チームの段取りを変えるヒントになるよ!
まとめ
- 補食が残る理由は、たいてい食べる時間と場所がないこと。本人に理由を聞く
- チームには、家で用意することと、会場で確かめたいことを分けて伝える
- 会場で食べやすいのは、ラップおにぎり・バナナ・カステラ・飲むヨーグルト
- 差し入れは、予定・時間・アレルギーを確かめて、外袋ごと渡す
- 家庭の様子をひとこと返すと、家とチームの段取りがつながる
補食の選び方は補食の基本、学校から直行する日は練習前の補食で紹介しています。
出典:日本サッカー協会「JFA栄養ガイドライン」、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(出典の一覧は「出典」のページを参照)
