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子どものヘディングはいつから? JFAのガイドライン

「子どもにヘディングをさせても大丈夫?」「海外では禁止されているって聞いたけど、日本は?」「何歳から練習していいの?」。気になっている保護者は多いと思います。

この記事では、子どものヘディングはいつから練習するのか、日本サッカー協会(JFA)の「育成年代でのヘディング習得のためのガイドライン(幼児期~U-15)」の内容を、年代ごとにわかりやすく紹介します。

先に答えを言います。JFAは、ヘディングを禁止するのではなく、年代に合わせて段階的に覚えていく方針です。 小さいうちは風船や新聞ボールで遊び、ボールを使ったヘディング練習が必要になるのは、おおむね小学校高学年から。回数の目安も、年代ごとに決められています。

ガイドラインの基本

JFAの技術委員会と医学委員会は、2021年4月30日に、このガイドラインの第一版をまとめました。この記事を書いた時点で、JFAの案内ページに掲載されているのも第一版です。

JFAの方針

ガイドラインの方針は、ひとことで言うと「禁止ではなく、正しく恐れる」です。

  • ヘディングのリスクを避けるために「禁止」するのではなく、より適切な方法で覚えることを目指す
  • 子どものサッカーではヘディングの回数は少ないが、安全のためにも、正しい技術を身につけることが将来に向けて必要
  • 脳へのダメージが小さい強さ・方法で、幼児期から段階的に覚える
  • すべての指導者がガイドラインを理解して指導することが大切

(出典:JFA ヘディングのガイドライン 1.JFAの方針)

なぜガイドラインができたの?

海外の動き

ガイドラインによると、スコットランドやイングランドのサッカー協会は、若い年代でのヘディングの禁止と、段階的な導入のガイドラインをつくりました。アメリカでも、練習や試合でのヘディングの禁止や制限が行われるようになっています。

きっかけになった研究

そのきっかけの1つが、スコットランドの元プロサッカー選手を調べた研究です(Mackay ほか 2019)。元選手7,676人と、年齢などをそろえた一般の人23,028人を比べたところ、認知症などの神経変性疾患がおもな死因だった人の割合は、元選手1.7%、一般の人0.5%でした。

いっぽうで、この研究は、ヘディングが原因だと確かめたものではありません。JFAのガイドラインも、ヘディングのくり返しが脳の働きにどう影響するかを確かめるのは難しく、科学的な根拠はまだ十分ではないとしています。研究が進むたびに、ガイドラインは見直される予定です。

1回の衝撃と、競り合いのリスク

ガイドラインには、医学の観点から次のことも書かれています。

  • 1回のヘディングの衝撃そのものは小さい
  • 2016〜2019年のJリーグでは、ケガ2,525件のうち脳振盪は80件。そのうち29件(36%)がヘディングの競り合いで起きていた
  • 1人でヘディングして脳振盪になる例は少ない
  • ヘディングそのものより、競り合いで頭どうし・ひじ・地面にぶつかるケガのほうが、重大で回数も多いと考えられる

だからこそ、正しいヘディングと、正しい競り合いを覚えることが、安全につながるというのが、ガイドラインの考え方です。

怖がって避けるより、年齢に合った方法で、正しく覚える。それがJFAの「正しく恐れる」です!

年代ごとの練習の目安

ガイドラインには、U-6からU-15まで、年代ごとの練習の目安の表があります。そのうち、主な項目をまとめました。

年代ヘディング練習の必要性ソフトなボールの導入キャッチボール
U-6〜U-8必要なしとてもすすめるとてもすすめる
U-9〜U-10少しとてもすすめるとてもすすめる
U-11〜U-12必要すすめるとてもすすめる
U-13〜U-15必要少しとてもすすめる

(出典:JFA ヘディングのガイドライン 年代別内容の目安。記号をこのサイトの言葉に置きかえました)

1週間あたりの回数の目安

年代ワンバウンドのボールヘディングでのリフティングペアが投げたボール
U-9〜U-105回――
U-11〜U-1210回10回5回
U-13〜U-1515回20回10回

(出典:JFA ヘディングのガイドライン 年代別内容の目安)

ジャンプしてのヘディングは、U-11〜U-12で「少し」、U-13からが「必要」とされています。

キャッチボールは、すべての年代で「とてもすすめる」になっています。空中のボールに体を合わせる力が、ヘディングの土台になるからです。

年代ごとの練習の中身

幼児期

ゲームの中で、意図的にヘディングをする場面はありません。額でボールにさわる経験や、空中のボールを手でキャッチする力を育てることが大切とされています。

  • 風船を自分で投げ上げて、落とさないようにキャッチ
  • 落ちてくる風船を、体のいろいろなところに当てる
  • 軽いボールを額に乗せてみる、家の人と額ではさんでみる

小学1〜2年生

練習というより、遊び感覚で。風船や新聞ボール、軽いボールで、動くボールに体を合わせる経験をたくさんします。その中で、少しずつ額でボールにさわる機会をつくります。ネットに入れてつるした軽いボールを額に当てる練習も、10回程度の例として紹介されています。

小学3〜4年生

ガイドラインでは、4号球でのヘディングはこの年代では負担が大きいとされ、4号球でのヘディングのくり返しはしないこととされています。軽いボール(バレーボールなど)で、「ボールを当たる瞬間まで見る」「額で当てる」という基本を覚えます。

小学5〜6年生

8人制の試合で、空中のボールを競り合う場面が出てきます。引き続き手でボールを扱う運動を中心にしながら、少しずつ4号球でのヘディングを取り入れます。 ただし、頭への負担(衝撃の大きさと回数)を考えて行います。

中学生

ボールはほとんど5号球になります。中学1年生は、ボールが重くなるので負担に注意が必要とされています。軽いボールや4号球で正しい技術をくり返し練習し、体幹や首まわりの強化も取り入れます。

ボールの重さ

ガイドラインには、サッカーボールの重さの参考も載っています。

サイズ重さ軽量タイプ
3号300〜320g―
4号350〜390g180〜300g
5号400〜450g340〜410g

(出典:JFA ヘディングのガイドライン 参考:サッカーボールの重量)

ヘディングを始めたばかりの子は、ボールが怖いと感じることがあります。ガイドラインでは、ボールの重さや表面の素材に配慮して、軽い負担から少しずつ強くボールを飛ばせるようにしていくことが大切とされています。

怖くないボールから、少しずつ。正しいフォームを覚えれば、ヘディングはもっと楽しくなります!

ガイドラインが大切にしている3つの力

ガイドラインでは、ヘディングの指導内容を「技術」「コーディネーション」「フィジカル」の3つに分けて示しています。

分野主な内容
技術額でボールにさわる、額でボールをコントロールする、体の軸を安定させて遠くへ飛ばす
コーディネーション空間の認知、動くボールへの体の適応、力の加減、空中や着地のバランス、ジャンプのタイミング、空中での競り合い
フィジカル全身で押す・登る・引っぱる・抱えるなどの運動経験、体幹の安定、首まわりの強化

(出典:JFA ヘディングのガイドライン 5.ヘディングに関する指導内容)

ヘディングは、頭だけでする技術ではありません。ボールの落ちる場所を予測して、タイミングよく跳び、バランスよく着地する。全身を使う技術だからこそ、小さいうちのいろいろな遊びが土台になります。ガイドラインが、すべての年代でキャッチボールをすすめているのも、そのためです。

家庭でできること

年代家でできる遊び
幼児〜小学2年生風船キャッチ、風船を額に当てる、新聞ボールのキャッチボール
小学3〜4年生軽いボールでキャッチボール、高いボールをキャッチ
小学5〜6年生テニスボールでキャッチボール、ジャンプして高いところでキャッチ

(ガイドラインの課題の例をもとに、このサイトでまとめました)

家では、ヘディングそのものより、空中のボールを手で捕る遊びがおすすめです。ガイドラインでも、すべての年代でキャッチボールがすすめられています。ほかの遊びは運動神経をよくする遊び・練習で紹介しています。

頭を打ったときは

ガイドラインでは、競り合いでの頭どうし・ひじとの衝突や、転んで頭を打つことで、脳振盪が起こる可能性があるとし、指導者と選手が脳振盪への対処を理解しておくことが必要だとしています。

頭を打ったあとは、子どもの様子をよく見てあげましょう。いつもとちがう様子があって心配なときは、医療機関で診てもらいましょう。

よくある質問

Q. 日本ではヘディングは禁止されていますか?

禁止されていません。JFAは、禁止ではなく、年代に合わせて正しく覚える方針です。

Q. 小学生のヘディング練習は何歳から?

ガイドラインの目安では、ボールを使ったヘディング練習が「必要」とされるのはU-11(小学5年生ごろ)からです。それより前は、風船や軽いボールを使った遊びや、ネットでつるしたボールなどで、少しずつ慣れていきます。

Q. 試合中のヘディングは止めたほうがいい?

ガイドラインでは、低学年の少人数のサッカーでは、意図的にヘディングする場面はほとんどないとされています。高学年の8人制では場面が出てきますが、大人の試合より回数は少ないとされています。

Q. ヘディングをすると頭が悪くなる?

ガイドラインでは、ヘディングのくり返しが脳の働きに与える影響は、科学的な根拠がまだ十分ではないとしています。だからこそ、年代に合ったボールと回数で練習する、という方針です。

Q. チームの練習でヘディングが多い気がします

ガイドラインには、年代ごとの回数の目安があります。気になるときは、JFAのガイドラインのことをコーチに話してみましょう。

Q. 首をきたえたほうがいい?

ガイドラインでは、中学生の年代で、首まわりの強化や体幹のトレーニングを取り入れるとされています。

Q. ヘディングが怖いと言います

ガイドラインでも、初心者が怖さを感じるのは自然なこととされています。風船や軽いボールから始めて、「当たっても痛くない」経験を積み重ねましょう。

子どもへの声かけ

  • 「ボールを最後までよく見られたね!」
  • 「おでこで当てると、痛くないでしょ」
  • 「頭をぶつけたら、すぐに教えてね」

ヘディングは、年齢に合わせて少しずつ覚えるもの。正しく恐れて、楽しく上手になろう!

まとめ

  • JFAは2021年に「育成年代でのヘディング習得のためのガイドライン(幼児期~U-15)」をまとめた。方針は「禁止ではなく、正しく恐れる」
  • ヘディングのくり返しの影響は、科学的な根拠がまだ十分ではない。研究に合わせて見直される
  • 競り合いでの衝突のほうが、重大で回数も多いリスクと考えられている
  • ボールでのヘディング練習が必要になるのはU-11ごろから。小学3〜4年生は4号球でのくり返しをしない
  • キャッチボールは、すべての年代ですすめられている

遊びの例は運動神経をよくする遊び・練習、ケガを防ぐ準備運動はFIFA 11+ Kidsで紹介しています。

出典:(出典の一覧は「出典」のページを参照)

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