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ポジションで食事は変わる? ゴールキーパーとフィールドプレーヤー

「うちの子はキーパーだから、そんなに食べなくていい?」「ボランチは走る距離が長いから、もっと食べさせたほうがいい?」。ポジションによって食事を変えるべきか、気になりますよね。

先に答えを書きます。食事の基本は、どのポジションでも同じです。 変わるのは、どれだけ走ったかによる量です。

この記事では、ポジションによって試合中の動きがどう違うのかを研究で見たうえで、毎日の食事にどう生かすかを紹介します。

ポジションで、試合中の動きはどう違う?

ゴールキーパーは「長い待ち時間」と「一瞬の全力」

イングランドのプロリーグのゴールキーパー62人を、109試合にわたって記録した研究があります(Di Salvo ほか 2008)。

項目ゴールキーパーの値(1試合の平均)
走った距離の合計約5,600m(5,611m)
強い運動での移動距離56m
全力疾走の距離11m
歩いていた時間試合の73%
強い運動をしていた時間試合の2%

(Di Salvo ほか 2008)

ゴールキーパーは、試合の大部分を歩いたり、位置を直したりして過ごします。そのかわり、シュートに飛びつく、前に飛び出す、高いボールをキャッチするといった一瞬の全力の動きがあり、この研究でも、こうした動きが試合の結果を大きく左右するとまとめられています。

フィールドプレーヤーは、ポジションで走り方が変わる

フィールドプレーヤーでも、ポジションによって走り方は違います。プロの試合の研究では、中盤の選手が、守備や攻撃の選手より長い距離を走っていました(Di Salvo ほか 2007)。

強い運動での走りの距離をポジション別に比べた研究もあります(Bradley ほか 2009)。

ポジション1試合の強い走りの距離
サイドの中盤3,138m
中央の中盤2,825m
サイドバック2,605m
フォワード2,341m
センターバック1,834m

(Bradley ほか 2009。イングランドのプロリーグの試合)

全力のダッシュの距離では、フォワードとサイドバックが、中盤やセンターバックより長かったという研究もあります(Mohr ほか 2003)。

つまり、よく走るポジション、ダッシュの多いポジション、一瞬の動きが中心のポジションと、それぞれ特徴があります。

キーパーは「一瞬の爆発」、中盤は「走り続ける」、フォワードとサイドバックは「くり返すダッシュ」。ポジションごとに、体の使い方に個性があります!

子どものサッカーではどう?

ここまでの研究は、大人のプロの試合です。U-12からU-16の選手を調べた研究では、年齢が上がるほど、1試合で走る距離が長くなっていました。一方で、出場した時間あたりで比べると、年齢による違いは小さかったとされています(Harley ほか 2010)。

子どもの場合は、さらに次のような特徴があります。

  • ポジションが固定されていないことが多い:試合ごと、前後半ごとにポジションが変わる
  • 試合時間が短い:U-12は8人制で、試合は前後半それぞれ15〜20分ほど
  • 練習はみんな同じメニュー:キーパーの子も、フィールドの練習に参加することが多い

子どものポジション別の食事については、研究がまだ十分ではありません。

だからこそ、子どものうちは、ポジションより「その日にどれだけ動いたか」で食事の量を考えるのがわかりやすい方法です。

食事の基本は、みんな同じ

どのポジションでも、毎日の食事の基本は変わりません。JFA栄養ガイドラインでは、主食・主菜・副菜・牛乳・乳製品・果物の5つをそろえる食事を、アスリートの基本の形としています。

基本ゴールキーパーフィールドプレーヤー
主食・主菜・副菜・牛乳・乳製品・果物をそろえる◎◎
たんぱく質は毎食(ジュニアは1.6g/kg体重/日まで:)◎◎
カルシウム・ビタミンD・鉄をしっかり◎◎
練習のあとは2時間以内に食事か補食◎◎
育成年代は9時間以上の睡眠◎◎

(このサイトのまとめです)

ゴールキーパーも、飛びつき、ジャンプ、着地をくり返します。筋肉と骨を強くするたんぱく質とカルシウム、そして瞬発力を支える炭水化物は、フィールドプレーヤーと同じように大切です。

  • ごはん
  • 鶏むね肉
  • 牛乳

量は「どれだけ走ったか」で変える

炭水化物は、練習の強さで決める

UEFAの専門家グループの声明では、ジュニア選手の炭水化物は、練習の強さに合わせて次のように示されています。

練習の強さ1日の炭水化物体重40kgの子
とても軽い〜中程度の練習の日3〜6g/kg体重120〜240g
強い〜とても強い練習の日6〜8g/kg体重240〜320g

(の体重あたりの値で計算)

この表は、ポジションではなく練習の強さで分かれています。よく走った日は上の段、軽い練習の日は下の段、と考えましょう。

こんな日は、多めに

  • 試合でフル出場した日
  • 走りの多い練習(走りこみ、試合形式の練習)があった日
  • 大会で1日に何試合もした日
  • 中盤やサイドで、ずっと上下に走り続けた日

こんな日は、夕食のごはんをおかわりする、練習後の補食を1品足すなどして、使った分を補充しましょう。

キーパーの練習が中心だった日は

キーパーの練習が中心の日は、走る距離は短くても、飛びつきやジャンプで体に強い力がかかっています。食事の量は、子どもの食欲に合わせて大丈夫です。主食・主菜・副菜をそろえて、たんぱく質とカルシウムをしっかりとりましょう。

食欲は、いちばん正直なものさし

走った量を正確に測るのは難しいものです。子どもの食欲は、その日にどれだけ動いたかをよく表しています。「今日はおかわりしたい」と言う日は、しっかり動いた日です。身長と体重が順調に伸びているかを見ていけば、量が足りているかもわかります。

キーパーもフォワードも、食事の形は同じ。たくさん走った日は、おかわりで調整!

ポジション別の補食のアイデア

食事の基本は同じですが、補食の選び方で、その日の動きに合わせることもできます。

その日の動き補食のアイデア
たくさん走った(中盤・サイド)おにぎり+バナナ、カステラ+牛乳
ダッシュが多かった(フォワード・サイドバック)鮭おにぎり+ヨーグルト
飛びつき・ジャンプが多かった(ゴールキーパー)おにぎり+牛乳、ヨーグルト+果物

(このサイトのまとめです)

補食炭水化物たんぱく質
おにぎり1個(100g)39.3g2.7g
バナナ1本(100g)21.1g1.1g
カステラ1切れ(50g)31.3g3.6g
牛乳 コップ1杯(200g)10.6g6.6g
ヨーグルト 1カップ(100g)4.6g3.6g

(日本食品標準成分表で計算)

  • おにぎり
  • バナナ
  • ヨーグルト

1日の食事の例(どのポジションでも共通)

体重40kgの小学6年生〜中学1年生が、平日に練習をする日を想定しています。

食事献立
朝ごはん・卵焼き・納豆・みそ汁・牛乳
昼学校の給食
練習後の補食おにぎり1個+牛乳1杯(よく走った日はバナナも)
夕ごはん・鮭の塩焼き・こまつなのおひたし・豆腐のみそ汁・オレンジ(よく走った日はごはんをおかわり)

(このサイトのまとめです)

形はどのポジションでも同じです。違いは、かっこの中の「よく走った日」の分だけです。

  • しろさけ
  • こまつな
  • オレンジ

チームで同じ食事をとるときは

合宿や遠征では、チームのみんなが同じ食事をとることが多いです。それで大丈夫です。基本の食事はどのポジションでも同じなので、同じメニューで問題ありません。量の違いは、ごはんのおかわりで調整しましょう。ビュッフェ形式なら、主食・主菜・副菜・牛乳・乳製品・果物の5つを、まず1皿ずつそろえることから始めます。選び方はビュッフェの選び方の記事も参考にしてください。

よくある質問

Q. キーパーは走らないから、ごはんは少しでいい?

キーパーも、飛びつき、ジャンプ、ダッシュをくり返します。また、練習ではフィールドの練習に参加することも多く、成長のためのエネルギーも必要です。主食はしっかり食べましょう。量は、食欲と体重の伸びを見て決めれば大丈夫です。

Q. 走る距離の長い中盤の子は、特別な食事が必要?

特別な食事はいりません。基本の食事に、よく走った日の主食や補食を足すだけで十分です。

Q. ポジションが毎回変わります

子どものうちは、それがふつうです。ポジションに関係なく、その日にどれだけ動いたかで量を決めましょう。

Q. キーパーは体が大きいほうがいいから、たくさん食べさせたい

体の大きさは、成長の時期や家族の体格によっても変わります。たくさん食べさせるより、主食・主菜・副菜をそろえた食事を毎日続けて、よく眠ることが、体を大きくするいちばん確かな方法です。くわしくは当たり負けない体は、食事と睡眠でつくるを見てください。

Q. 試合に出られなかった日は、食べる量を変える?

試合に出ていなくても、ウォーミングアップや、試合のあとの練習で体を動かしていることが多いものです。食欲に合わせて、いつも通りに食べましょう。

子どもへの声かけ

  • 「キーパーの飛びつきにも、ごはんのパワーが必要だよ」
  • 「今日はたくさん走ったね。おかわりする?」
  • 「どのポジションでも、毎食おかずを1品ね」

キーパーもフィールドも、食事の基本はみんな同じ。たくさん動いた日は、たくさん食べよう!

まとめ

  • ゴールキーパーの1試合の移動距離は約5,600mで、歩く時間が長く、一瞬の全力の動きが勝負(Di Salvo ほか 2008)
  • フィールドプレーヤーでも、中盤はよく走り、フォワードとサイドバックはダッシュが多いなど、ポジションで動きが違う(Bradley ほか 2009・Mohr ほか 2003)
  • 子どものポジション別の食事の研究はまだ十分ではない
  • 食事の基本は、どのポジションでも同じ
  • 量は、ポジションではなく「どれだけ走ったか」と食欲で決める

体づくりに向くレシピは当たり負けない体づくりのレシピにまとめています。

出典:UEFA エリートサッカーの栄養に関する専門家声明(2021)、IOC 若年競技者に関する合意声明(2015)、日本サッカー協会「JFA栄養ガイドライン」、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(出典の一覧は「出典」のページを参照)

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