サッカーはどんな競技? 止まっては走る運動と、ごはんの関係

「前半はあんなに走っていたのに、後半になると足が止まる…」。試合を見ていて、そう感じたことはありませんか?
その理由のひとつは、サッカーという競技の性質にあります。そして、その答えの多くは、毎日のごはんの中にあります。
この記事では、サッカーがどんな動きでできている競技なのか、そのとき体の中で何が使われているのかを見ていきます。そのうえで、「だから毎日の食事はこうするといい」という形にまとめます。
サッカーは「止まっては走る」競技
マラソンのように、同じペースで走り続ける競技ではありません。サッカーは、歩く・軽く走る・全力で走る・止まる・方向を変えるを、試合中ずっとくり返します。
- ボールを追ってダッシュする
- 相手に合わせて急に止まる、切り返す
- ジャンプしてヘディングする
- 体をぶつけて競り合う
- 次のプレーに備えて歩きながら位置を直す
このように、強い運動と軽い運動が入れかわりながら続く運動を間欠的(かんけつてき)な運動といいます。サッカーの特徴は、この間欠的な運動の中に、何度もくり返す全力のダッシュが入っていることです。
プロの試合を記録した研究では、全力に近い走りが、試合の最後の15分には最初の15分よりはっきり減ることがわかっています(Mohr ほか 2003、Bradley ほか 2009)。後半に足が止まるのは、気持ちの問題だけではなく、体の燃料の問題でもあるのです。

サッカーは「ダッシュ→ひと息→またダッシュ」のくり返し。燃料をたくさん使う、とってもパワフルな競技です!
全力ダッシュの燃料は「グリコーゲン」
全力で走るとき、体は主に糖質(炭水化物)を燃料にします。ごはんやパン、めん類、いも、果物に入っている炭水化物は、体の中でグリコーゲンという形になり、筋肉と肝臓にたくわえられます。
| 体の中の燃料 | どこにある? | 使われる場面 |
|---|---|---|
| 筋肉のグリコーゲン | 太ももやふくらはぎなどの筋肉 | ダッシュ・切り返し・ジャンプ |
| 肝臓のグリコーゲン | 肝臓 | 血液の中の糖を保ち、頭と体に届ける |
| 脂肪 | 体のあちこち | 歩く・軽く走るなど、ゆっくりした動き |
(このサイトのまとめです)
試合が進むと、筋肉のグリコーゲンはだんだん減っていきます。グリコーゲンが減った筋肉では、ダッシュをくり返す力が落ちます。これが、後半の終わりに走れなくなる疲れとつながっています。
つまり、試合の前に筋肉のグリコーゲンをしっかりためておくこと、そして試合や練習のあとにすぐ補充することが、サッカーの食事のいちばんの柱になります。
ごはん
食パン
うどん
子どもの試合は短い。でも、燃料が大事なのは同じ
日本の少年サッカーでは、U-12は8人制で、試合時間は前後半それぞれ15〜20分ほどです。大人の45分ハーフよりずっと短くなっています。
それでも、子どものサッカーにも燃料が大切な理由があります。
- 1日に何試合もある:大会では、午前と午後に2〜3試合することもよくあります
- 練習が毎日のように続く:週に何日も練習があると、前の日の疲れを次の日に持ちこみます
- 成長にもエネルギーを使う:子どもの体は、運動の分に加えて、体を大きくする分のエネルギーも必要です
1試合が短くても、1日、1週間で考えると、たくさんの燃料を使っています。
サッカーをする子に必要な炭水化物の量
UEFAの専門家グループの声明では、ジュニアのサッカー選手に必要な炭水化物の量は、体重あたりで大人と同じように考えるとされています。
| 練習の強さ | 1日の炭水化物 | 体重30kgの子 | 体重40kgの子 |
|---|---|---|---|
| とても軽い〜中程度の練習の日 | 3〜6g/kg体重 | 90〜180g | 120〜240g |
| 強い〜とても強い練習の日 | 6〜8g/kg体重 | 180〜240g | 240〜320g |
(の体重あたりの値で計算)
試合の前日・当日・翌日も、1日に体重1kgあたり6〜8gが目安です。
数字だけだとイメージしにくいので、よく食べる主食の炭水化物を見てみましょう。
| 食品と量 | 炭水化物 |
|---|---|
| ごはん 茶わん1杯(150g) | 54.2g |
| ごはん 大盛り(200g) | 72.2g |
| おにぎり 1個(100g) | 39.3g |
| 食パン 6枚切り1枚(60g) | 26.5g |
| うどん(ゆで)1玉(200g) | 41.4g |
| バナナ 1本(100g) | 21.1g |
| カステラ 1切れ(50g) | 31.3g |
| ヨーグルト(ドリンクタイプ)1本(200g) | 23.0g |
(日本食品標準成分表で計算。利用可能炭水化物の値)
体重40kgの子が強い練習をした日なら、240〜320g。ごはん200gを3食で約217g、これにおにぎりやバナナの補食を足すと届く量です。主食を毎食しっかり、が合言葉です。

ごはんは、サッカーのガソリン! 毎食、茶わんにしっかりよそおう。
だから毎日の食事はこうする
サッカーの性質から考えると、毎日の食事のポイントは次の4つにまとまります。
1. 毎食、主食をしっかり
筋肉のグリコーゲンは、ごはん・パン・めん類からつくられます。朝ごはんがパン1枚だけ、夕ごはんはおかずばかり、という日が続くと、燃料が足りなくなります。毎食、主食を主役にしましょう。
2. 主食・主菜・副菜・牛乳・乳製品・果物の5つをそろえる
JFA栄養ガイドラインでは、アスリートの基本の食事の形として、主食・主菜・副菜・牛乳・乳製品・果物の5つをそろえることをすすめています。主食で燃料を、主菜で筋肉の材料を、副菜と果物でビタミンを、牛乳・乳製品で骨の材料をとります。
IOCの声明でも、若い選手には、栄養素の豊富な炭水化物、良質なたんぱく質、十分なカルシウム・ビタミンD・鉄をとることが大切とされています。
3. 練習の前と後に「補食」
練習の2〜3時間前には食事をすませ、おなかがすいていたら補食をとります。練習のあとは、なるべく早く、2時間以内に食事や補食をとりましょう。使った燃料をすぐに補充すると、次の日の練習で元気に走れます。
| タイミング | おすすめの補食 |
|---|---|
| 練習の前(おなかがすいたとき) | おにぎり、バナナ、カステラ |
| 練習のあと(夕食まで時間があるとき) | おにぎりと牛乳、ドリンクタイプのヨーグルト、果物 |
4. しっかり眠る
JFA栄養ガイドラインでは、育成年代の睡眠時間を9時間以上としています。食べた燃料を体にたくわえ、筋肉を修復するのは、眠っている間です。
おにぎり
バナナ
カステラ
たんぱく質は「体をつくる」担当
ダッシュや競り合いで使った筋肉は、たんぱく質で修復されます。UEFAの声明では、強い練習をしている思春期のジュニア選手のたんぱく質は、体重1kgあたり1日1.6gまでで適切で、食事で十分にとれるとされています。体重40kgなら64gです。
| 食品と量 | たんぱく質 |
|---|---|
| 鶏むね肉(皮なし)80g | 18.6g |
| しろさけ 1切れ(80g) | 17.8g |
| 納豆 1パック(40g) | 6.6g |
| 牛乳 コップ1杯(200g) | 6.6g |
(日本食品標準成分表で計算)
毎食、肉・魚・卵・大豆製品のおかずを1品入れれば届きます。炭水化物とたんぱく質を、毎食セットでとるのがサッカーの食事の基本形です。
鶏むね肉
しろさけ
納豆
1日の食事の例
体重40kgで、平日に2時間の練習がある小学6年生〜中学1年生を想定した例です。
| 食事 | 献立 | 炭水化物のめやす |
|---|---|---|
| 朝 | ごはん(200g)・納豆・みそ汁・バナナ1本 | 約95g |
| 昼 | 学校の給食 | 献立による |
| 練習前の補食 | おにぎり1個 | 約39g |
| 練習後の補食 | ヨーグルト(ドリンクタイプ)1本 | 約23g |
| 夕 | ごはん(200g)・鮭の塩焼き・野菜の副菜・具だくさんのみそ汁・オレンジ(100g) | 約83g |
(日本食品標準成分表で、主な食品の値だけをたした目安です)
給食を入れなくても約240g。給食の主食を加えれば、強い練習の日の目安(240〜320g)にしっかり届きます。
よくある質問
Q. 子どもの試合は短いのに、炭水化物をたくさん食べる必要はある?
1試合が短くても、大会では1日に何試合もあり、練習も週に何日も続きます。体重あたりの必要量は大人と同じように考えるとされているので、主食はしっかり食べましょう。
Q. 後半に走れなくなるのは、体力がないから?
体力も関係しますが、筋肉のグリコーゲンが試合の中で減っていくことも大きな理由です。前日と当日の主食をしっかりとることで、後半の走りを支えられます。くわしくは後半に走り負けないための、試合前日・当日の食べ方を見てください。
Q. 甘いお菓子でも燃料になりますか?
なります。カステラやようかん、干し芋は、日本代表の補食にも使われている食品です。ふだんの食事の主食を基本に、補食として上手に使いましょう。
Q. 白いごはんと玄米、どちらがいい?
どちらも炭水化物がしっかりとれます。食べ慣れていて、量をしっかり食べられるほうを選びましょう。試合の前は、食べ慣れた白いごはんが安心です。
Q. 練習のない日も、主食はしっかり食べる?
食べましょう。練習のない日も、成長のためのエネルギーが必要です。練習の日と同じように、毎食主食をそろえておくと、次の練習で元気に走れます。
子どもへの声かけ
- 「ごはんは、ダッシュのガソリンだよ」
- 「後半も走れるように、今日はおかわりしよう」
- 「練習おつかれさま。まずはおにぎりで燃料補給!」

止まっては走る、を最後までくり返せる体は、毎日のごはんでつくれるよ!
まとめ
- サッカーは、歩く・走る・全力ダッシュをくり返す間欠的な運動
- ダッシュの燃料は、筋肉にたくわえたグリコーゲン(もとは炭水化物)
- 試合の終わりに走れなくなるのは、グリコーゲンが減ることとつながっている
- ジュニア選手の炭水化物は、強い練習の日に体重1kgあたり6〜8g
- 毎食主食をしっかり、5つの料理をそろえ、練習の前後に補食、9時間以上眠る
走りを支えるレシピは走り負けないレシピにまとめています。食事の基本はサッカー選手の基本の食事も参考にしてください。
出典:UEFA エリートサッカーの栄養に関する専門家声明(2021)、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、IOC 若年競技者に関する合意声明(2015)、日本サッカー協会「JFA栄養ガイドライン」、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(出典の一覧は「出典」のページを参照)
