本文へ移動
← 読み物の一覧
約9分

ゆでる・炒める・汁ごと食べる:調理で変わる栄養と、野菜をたくさん食べるコツ

同じ野菜でも、ゆでるか、炒めるか、スープにするかで、とれる栄養や食べられる量が変わります。ちょっとした違いを知っておくと、毎日の料理がもっと頼もしくなりますよ。

「野菜は生のほうが栄養がある」と聞いたことはありませんか? たしかに、加熱すると減る栄養素もあります。でも、加熱するとかさが減って、たくさん食べられるというよい面もあります。また、栄養素の種類によっては、油と一緒にとるほうが体に取りこまれやすいものもあります。

この記事では、「ゆでる」「炒める」「汁ごと食べる」の3つの調理で、野菜の栄養がどう変わるのかを整理しました。どれが正解というより、それぞれのよさを組み合わせるのがポイントです。

栄養素には「水に溶けるもの」と「油に溶けるもの」がある

ビタミンには、水に溶けやすいものと、油に溶けやすいものがあります。

種類主な栄養素調理での特徴
水に溶けやすいビタミンC・ビタミンB群(B1・B2・葉酸など)・カリウムゆで汁や煮汁に溶け出しやすい
油に溶けやすいカロテン(ビタミンA)・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンK油と一緒にとると吸収されやすい

(一般的な栄養の知識をもとにした、このサイトのまとめです)

この違いを知っておくと、「この野菜は汁ごと食べよう」「この野菜は油で炒めよう」と、調理法を選びやすくなります。

ゆでると、水に溶ける栄養はゆで汁へ

野菜をゆでると、ビタミンCやカリウムなど水に溶けやすい栄養素の一部が、ゆで汁に移ります。日本食品標準成分表で、生とゆでたものを比べてみましょう。

野菜(100gあたり)ビタミンC(生→ゆで)カリウム(生→ゆで)
こまつな39mg → 21mg500mg → 140mg
ほうれんそう35mg → 19mg690mg → 490mg
ブロッコリー140mg → 55mg460mg → 210mg

(日本食品標準成分表。ゆでたものは、ゆでたあとの重さ100gあたりの値です)

  • こまつな
  • ほうれんそう
  • ブロッコリー
  • 豚汁(汁ごと食べる)

数字だけ見ると「ゆでると損」に見えるかもしれません。でも、ゆでた野菜は食べやすくなり、生よりたくさん食べられることが多いのです。また、ほうれんそうのアクを抜くなど、ゆでることにはおいしく食べるための意味もあります。

ゆでるときのコツ

  • ゆですぎない(色がきれいなうちに引き上げる)
  • 切る前に、大きめのままゆでる
  • 電子レンジで加熱すると、ゆで汁に溶け出す量を減らしやすい
  • 蒸す・蒸し焼きにするのもおすすめ

ブロッコリーは電子レンジで加熱すると、ゆで汁に流れ出す栄養をおさえやすくなります。忙しい日にも便利ですね。

汁ごと食べれば、溶け出した栄養もとれる

ゆで汁に溶け出した栄養素は、捨ててしまうと体に入りません。でも、みそ汁やスープのように汁ごと食べる料理なら、溶け出した分も一緒にとることができます。

料理ポイント
具だくさんのみそ汁青菜・きのこ・豆腐・いもなど、何でも入れられる
豚汁根菜と肉で、副菜と主菜の両方を手伝う
野菜スープ・ミネストローネトマト・たまねぎ・にんじんをたっぷり
鍋もの最後にごはんやうどんを入れて、汁まで食べる
シチュー牛乳も一緒にとれる

(このサイトのまとめです)

  • たまねぎ
  • ぶなしめじ
  • 木綿豆腐

汁物は、汗をかいたあとの水分補給にも役立ちます。共同声明では、運動のあとは失った水分の125〜150%を補うことが目安とされています(成人の競技者の目安)。夕食に汁物を1品つけるだけで、食事の中で水分もとりやすくなります。

鍋ものの最後にごはんやうどんを入れる「しめ」は、汁に溶け出した栄養と一緒に、主食のエネルギーもとれる、サッカー選手にぴったりの食べ方です。

  • うどん
  • ごはん

加熱すると、かさが減ってたくさん食べられる

生の葉もの野菜は、ふんわりしていてかさがあります。サラダボウルいっぱいの生野菜も、ゆでたり炒めたりすると、小鉢1つ分くらいに小さくなります。

これは、加熱で野菜の中の水分が出て、やわらかくなるからです。同じ量でも、加熱した野菜のほうが子どもは食べやすく、結果としてたくさん食べられることが多いのです。

生のまま加熱すると
かさが大きく、かむ回数が多いかさが小さくなり、口に入れやすい
青くささ・苦みを感じやすい甘みが出て、くせがやわらぐ
おなかがふくれやすい主食やおかずと一緒に食べやすい

(一般的な調理の知識をもとにした、このサイトのまとめです)

  • しゅんぎく
  • ほうれんそう

サッカーをする子どもは、主食や主菜もしっかり食べる必要があります。生野菜のサラダでおなかがいっぱいになってしまう子は、野菜を加熱して、かさを減らしてあげましょう。

青菜のおひたし、きのこのソテー、野菜たっぷりのスープ。加熱した野菜は、ごはんのおかずにもなりますね!

炒めると、カロテンは油と相性がいい

にんじん・ほうれんそう・こまつな・ブロッコリーなどの色の濃い野菜には、カロテンが多く含まれています。カロテンは体の中でビタミンAとして働き、目や皮膚、のど・鼻の粘膜の健康を支えます。

カロテンは油に溶けやすい性質があるため、油で炒めたり、油を含むドレッシングやごまあえにしたり、肉や卵と一緒に調理したりすると、吸収されやすくなることが知られています。

日本食品標準成分表で計算すると、にんじん(皮つき・生)100gのβ-カロテン当量は8600μg、こまつな(生)100gで3100μgです。

野菜油と合わせるメニューの例
にんじんきんぴら・にんじんしりしり(卵と炒める)・グラッセ
ほうれんそう・こまつな卵と炒める・ベーコンとソテー・ごまあえ
ブロッコリーオリーブ油で蒸し焼き・マヨネーズあえ
かぼちゃ天ぷら・バター煮
ミニトマトオリーブ油と焼く・スープに入れる

(このサイトのまとめです)

  • にんじん
  • 卵
  • ミニトマト

油を使った料理は、エネルギーもとれるので、たくさん動くサッカー選手にとってうれしい調理法です。

生のよさも生かす

加熱するとビタミンCが減ることがある一方、生の果物や野菜からは、加熱で減りやすいビタミンCをそのままとることができます。

  • 食後の果物(オレンジ・みかん・キウイなど)
  • ミニトマトやきゅうりをそのまま
  • サラダは「加熱した野菜」と「生の野菜」を両方使う
  • オレンジ
  • えのきたけ

国際オリンピック委員会(IOC)の若い競技者についての合意声明でも、栄養素の豊富な食事が大切だとされています。1つの調理法にこだわらず、生・ゆで・炒め・汁物をいろいろ組み合わせると、とれる栄養の幅が広がります。

1日の野菜の組み合わせ例

食事調理法例
朝汁ごと青菜とたまねぎのみそ汁
昼(お弁当)炒めるにんじんしりしり・ブロッコリーのごまあえ
夕汁ごと・ゆでる具だくさんの豚汁・ほうれんそうのおひたし
食後生オレンジ・ミニトマト

(このサイトの例です)

主食・主菜・副菜・牛乳・乳製品・果物の5つをそろえる基本の形の中で、副菜の調理法を少しずつ変えていくイメージです。

よくある質問

Q. 冷凍野菜は栄養が少ないですか?

冷凍野菜は、下ゆでしてから冷凍されているものが多いですが、手軽に野菜を足せるとても便利な食材です。汁物や炒め物に使えば、使う量もふやしやすくなります。忙しい日は積極的に使いましょう。

Q. ゆで汁は飲んだほうがいいですか?

青菜のゆで汁はアクが出ていることもあるので、そのまま飲む必要はありません。栄養を逃したくないときは、はじめからみそ汁やスープの具として煮て、汁ごと食べるのがおすすめです。

Q. 油を使うと、とりすぎになりませんか?

サッカーをする成長期の子どもは、多くのエネルギーを必要としています。ふだんの料理に使う油は、野菜をおいしく食べ、カロテンを吸収しやすくする助けになります。揚げ物ばかりにならないよう、調理法を組み合わせれば大丈夫です。

子どもへの声かけ

  • 「みそ汁は、具も汁も全部飲むと栄養がまるごととれるよ」
  • 「にんじんは油と一緒に食べると、体に入りやすいんだって」
  • 「ほうれんそう、ゆでたらこんなに小さくなったね。たくさん食べられるね」
  • 「生の果物も食べて、ビタミンCをとろう」

まとめ

  • ビタミンCやカリウムなど水に溶ける栄養は、ゆでるとゆで汁に移る
  • みそ汁・スープ・鍋のように汁ごと食べれば、溶け出した栄養もとれる
  • 加熱すると野菜のかさが減り、子どもがたくさん食べやすくなる
  • カロテンは油と相性がいい。炒め物・ごまあえ・卵と合わせて
  • 生・ゆで・炒め・汁物を組み合わせて、5つの形の中で野菜をたっぷりと

野菜を使ったレシピはレシピを探すで、食材の特徴は食材の基本で確認できます。

出典:米国栄養士会・カナダ栄養士会・米国スポーツ医学会「Nutrition and Athletic Performance」(2016)、IOC 若年競技者に関する合意声明(2015)、日本サッカー協会「JFA栄養ガイドライン」、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(出典の一覧は「出典」のページを参照)

この記事の間違いを知らせる