ゆでる・炒める・汁ごと食べる:調理で変わる栄養と、野菜をたくさん食べるコツ

同じ野菜でも、ゆでるか、炒めるか、スープにするかで、とれる栄養や食べられる量が変わります。ちょっとした違いを知っておくと、毎日の料理がもっと頼もしくなりますよ。
「野菜は生のほうが栄養がある」と聞いたことはありませんか? たしかに、加熱すると減る栄養素もあります。でも、加熱するとかさが減って、たくさん食べられるというよい面もあります。また、栄養素の種類によっては、油と一緒にとるほうが体に取りこまれやすいものもあります。
この記事では、「ゆでる」「炒める」「汁ごと食べる」の3つの調理で、野菜の栄養がどう変わるのかを整理しました。どれが正解というより、それぞれのよさを組み合わせるのがポイントです。
栄養素には「水に溶けるもの」と「油に溶けるもの」がある
ビタミンには、水に溶けやすいものと、油に溶けやすいものがあります。
| 種類 | 主な栄養素 | 調理での特徴 |
|---|---|---|
| 水に溶けやすい | ビタミンC・ビタミンB群(B1・B2・葉酸など)・カリウム | ゆで汁や煮汁に溶け出しやすい |
| 油に溶けやすい | カロテン(ビタミンA)・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンK | 油と一緒にとると吸収されやすい |
(一般的な栄養の知識をもとにした、このサイトのまとめです)
この違いを知っておくと、「この野菜は汁ごと食べよう」「この野菜は油で炒めよう」と、調理法を選びやすくなります。
ゆでると、水に溶ける栄養はゆで汁へ
野菜をゆでると、ビタミンCやカリウムなど水に溶けやすい栄養素の一部が、ゆで汁に移ります。日本食品標準成分表で、生とゆでたものを比べてみましょう。
| 野菜(100gあたり) | ビタミンC(生→ゆで) | カリウム(生→ゆで) |
|---|---|---|
| こまつな | 39mg → 21mg | 500mg → 140mg |
| ほうれんそう | 35mg → 19mg | 690mg → 490mg |
| ブロッコリー | 140mg → 55mg | 460mg → 210mg |
(日本食品標準成分表。ゆでたものは、ゆでたあとの重さ100gあたりの値です)
こまつな
ほうれんそう
ブロッコリー
豚汁(汁ごと食べる)
数字だけ見ると「ゆでると損」に見えるかもしれません。でも、ゆでた野菜は食べやすくなり、生よりたくさん食べられることが多いのです。また、ほうれんそうのアクを抜くなど、ゆでることにはおいしく食べるための意味もあります。
ゆでるときのコツ
- ゆですぎない(色がきれいなうちに引き上げる)
- 切る前に、大きめのままゆでる
- 電子レンジで加熱すると、ゆで汁に溶け出す量を減らしやすい
- 蒸す・蒸し焼きにするのもおすすめ

ブロッコリーは電子レンジで加熱すると、ゆで汁に流れ出す栄養をおさえやすくなります。忙しい日にも便利ですね。
汁ごと食べれば、溶け出した栄養もとれる
ゆで汁に溶け出した栄養素は、捨ててしまうと体に入りません。でも、みそ汁やスープのように汁ごと食べる料理なら、溶け出した分も一緒にとることができます。
| 料理 | ポイント |
|---|---|
| 具だくさんのみそ汁 | 青菜・きのこ・豆腐・いもなど、何でも入れられる |
| 豚汁 | 根菜と肉で、副菜と主菜の両方を手伝う |
| 野菜スープ・ミネストローネ | トマト・たまねぎ・にんじんをたっぷり |
| 鍋もの | 最後にごはんやうどんを入れて、汁まで食べる |
| シチュー | 牛乳も一緒にとれる |
(このサイトのまとめです)
たまねぎ
ぶなしめじ
木綿豆腐
汁物は、汗をかいたあとの水分補給にも役立ちます。共同声明では、運動のあとは失った水分の125〜150%を補うことが目安とされています(成人の競技者の目安)。夕食に汁物を1品つけるだけで、食事の中で水分もとりやすくなります。
鍋ものの最後にごはんやうどんを入れる「しめ」は、汁に溶け出した栄養と一緒に、主食のエネルギーもとれる、サッカー選手にぴったりの食べ方です。
うどん
ごはん
加熱すると、かさが減ってたくさん食べられる
生の葉もの野菜は、ふんわりしていてかさがあります。サラダボウルいっぱいの生野菜も、ゆでたり炒めたりすると、小鉢1つ分くらいに小さくなります。
これは、加熱で野菜の中の水分が出て、やわらかくなるからです。同じ量でも、加熱した野菜のほうが子どもは食べやすく、結果としてたくさん食べられることが多いのです。
| 生のまま | 加熱すると |
|---|---|
| かさが大きく、かむ回数が多い | かさが小さくなり、口に入れやすい |
| 青くささ・苦みを感じやすい | 甘みが出て、くせがやわらぐ |
| おなかがふくれやすい | 主食やおかずと一緒に食べやすい |
(一般的な調理の知識をもとにした、このサイトのまとめです)
しゅんぎく
ほうれんそう
サッカーをする子どもは、主食や主菜もしっかり食べる必要があります。生野菜のサラダでおなかがいっぱいになってしまう子は、野菜を加熱して、かさを減らしてあげましょう。

青菜のおひたし、きのこのソテー、野菜たっぷりのスープ。加熱した野菜は、ごはんのおかずにもなりますね!
炒めると、カロテンは油と相性がいい
にんじん・ほうれんそう・こまつな・ブロッコリーなどの色の濃い野菜には、カロテンが多く含まれています。カロテンは体の中でビタミンAとして働き、目や皮膚、のど・鼻の粘膜の健康を支えます。
カロテンは油に溶けやすい性質があるため、油で炒めたり、油を含むドレッシングやごまあえにしたり、肉や卵と一緒に調理したりすると、吸収されやすくなることが知られています。
日本食品標準成分表で計算すると、にんじん(皮つき・生)100gのβ-カロテン当量は8600μg、こまつな(生)100gで3100μgです。
| 野菜 | 油と合わせるメニューの例 |
|---|---|
| にんじん | きんぴら・にんじんしりしり(卵と炒める)・グラッセ |
| ほうれんそう・こまつな | 卵と炒める・ベーコンとソテー・ごまあえ |
| ブロッコリー | オリーブ油で蒸し焼き・マヨネーズあえ |
| かぼちゃ | 天ぷら・バター煮 |
| ミニトマト | オリーブ油と焼く・スープに入れる |
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にんじん
卵
ミニトマト
油を使った料理は、エネルギーもとれるので、たくさん動くサッカー選手にとってうれしい調理法です。
生のよさも生かす
加熱するとビタミンCが減ることがある一方、生の果物や野菜からは、加熱で減りやすいビタミンCをそのままとることができます。
- 食後の果物(オレンジ・みかん・キウイなど)
- ミニトマトやきゅうりをそのまま
- サラダは「加熱した野菜」と「生の野菜」を両方使う
オレンジ
えのきたけ
国際オリンピック委員会(IOC)の若い競技者についての合意声明でも、栄養素の豊富な食事が大切だとされています。1つの調理法にこだわらず、生・ゆで・炒め・汁物をいろいろ組み合わせると、とれる栄養の幅が広がります。
1日の野菜の組み合わせ例
| 食事 | 調理法 | 例 |
|---|---|---|
| 朝 | 汁ごと | 青菜とたまねぎのみそ汁 |
| 昼(お弁当) | 炒める | にんじんしりしり・ブロッコリーのごまあえ |
| 夕 | 汁ごと・ゆでる | 具だくさんの豚汁・ほうれんそうのおひたし |
| 食後 | 生 | オレンジ・ミニトマト |
(このサイトの例です)
主食・主菜・副菜・牛乳・乳製品・果物の5つをそろえる基本の形の中で、副菜の調理法を少しずつ変えていくイメージです。
よくある質問
Q. 冷凍野菜は栄養が少ないですか?
冷凍野菜は、下ゆでしてから冷凍されているものが多いですが、手軽に野菜を足せるとても便利な食材です。汁物や炒め物に使えば、使う量もふやしやすくなります。忙しい日は積極的に使いましょう。
Q. ゆで汁は飲んだほうがいいですか?
青菜のゆで汁はアクが出ていることもあるので、そのまま飲む必要はありません。栄養を逃したくないときは、はじめからみそ汁やスープの具として煮て、汁ごと食べるのがおすすめです。
Q. 油を使うと、とりすぎになりませんか?
サッカーをする成長期の子どもは、多くのエネルギーを必要としています。ふだんの料理に使う油は、野菜をおいしく食べ、カロテンを吸収しやすくする助けになります。揚げ物ばかりにならないよう、調理法を組み合わせれば大丈夫です。
子どもへの声かけ
- 「みそ汁は、具も汁も全部飲むと栄養がまるごととれるよ」
- 「にんじんは油と一緒に食べると、体に入りやすいんだって」
- 「ほうれんそう、ゆでたらこんなに小さくなったね。たくさん食べられるね」
- 「生の果物も食べて、ビタミンCをとろう」
まとめ
- ビタミンCやカリウムなど水に溶ける栄養は、ゆでるとゆで汁に移る
- みそ汁・スープ・鍋のように汁ごと食べれば、溶け出した栄養もとれる
- 加熱すると野菜のかさが減り、子どもがたくさん食べやすくなる
- カロテンは油と相性がいい。炒め物・ごまあえ・卵と合わせて
- 生・ゆで・炒め・汁物を組み合わせて、5つの形の中で野菜をたっぷりと
野菜を使ったレシピはレシピを探すで、食材の特徴は食材の基本で確認できます。
出典:米国栄養士会・カナダ栄養士会・米国スポーツ医学会「Nutrition and Athletic Performance」(2016)、IOC 若年競技者に関する合意声明(2015)、日本サッカー協会「JFA栄養ガイドライン」、文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(出典の一覧は「出典」のページを参照)
